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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

コモトリア王国編

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64.「絶対」の安心感

 コモトリア首都に向かう馬車の中には、おれとメリッサの二人、そして伏せたポーズで寝ているチビドラゴンがいた。

「悪いな、一緒について来てもらって」

「ううん、カケルにはいつも助けてもらってるから。それに、コモトリアならあたしが役に立つはずだから」

「オルティアからソロン教の影響力がかなり強い国だって聞いたけど、本当なのか」

「うん。現国王が敬虔な信者だから」

「どんな人なんだ?」

「70歳のおじいさんよ」

「70のじいさんが王か、それなら王子も結構な歳だよな」

 何となくおかしかった、四十か五十になってる王子というのを想像して、つい吹き出した。

 別に四十とか五十とかでも王子っていうのは矛盾はないけど、王子って言うのは若い、かっこいいってイメージがあるからちょっとふいた。

「王太子は今年で9歳になったばかりのはず」

「ふぇ!?」

(へんな声を出すでない)
(おとーさんかわいい)

 魔剣たちに同時に突っ込まれた。

「70のじいさんで、王子は息子だよな? それで9歳なのか」

「うん」

「お盛んだな、大分」

「結構苦労したのよ。それにそれがソロン教に敬虔な理由でもあるし」

「どういう事だ?」

 聞くと、メリッサが答えてくれた。

 もともと晩婚だったコモトリアの方は、最初の子供ができたの自体30歳を越えてからの事だった。

 その時に生まれたのは女の子、つまり王女。

 それは問題なかった。

 次に生まれたのも女の子だった。

 まだ問題はなかった。

 三人目に生まれたのも女の子だった。

 雑音があちこっちから聞こえるようになった。

 四人目も五人目も六人目も女の子だった。

 七、八、九、十――十三人目まで女の子を産み続けた。

 何人ものきさきに産ませた子供は全部子供、十三人連続で子供。

 王は呪われている、ともっぱらのうわさになった。

「実際何かに取り憑かれてたらしい。それを10年前ソロン教の大司祭様が取り除いて、それでようやく男の子が生まれたの」

「そういうことか」

 ようやく跡継ぎを産ませてくれた、そりゃ信者にもなるな。

 しかし年取ってから跡継ぎか、なんとなく豊臣秀吉を思い出すな。

 秀吉も若い頃は人たらしとか言われてたけど、晩年は我が子可愛さで暴君化したらしいしな。

 その国王は大丈夫なんだろうか。

「みゅー?」

 伏せていたチビドラゴンが頭を上げた。

 最初は首をかしげていたけど、壁に向かってみゅーみゅーなきだした。

(おーちゃん?)

「なんかあるのか。とまれ」

 御者に命令して、馬車を止めた。

 馬車から降りてチビドラゴンが啼いた方角をじっと見つめた。

 一見して何もないが、じっと目を凝らすと、一キロ以上先に何者かが襲われている光景を見つけた。

 騎士のようなものが、馬車を襲っている。

「エレノア、ひかり、いくぞ」

(うむ)
(うん!)

「メリッサはここにいて、チビもだ」

「なにかあるの?」

「説明は後でする」

 事は急を急ぐようだ。おれは疾走した。

 一キロ以上ある距離を三十秒足らずで駆け抜けた。

 馬車の中の人間はすでに引きずり下ろされていた。

 13、4歳くらいの女の子で、服装的にお嬢様だかお姫様だかって感じだ。

 そして襲ってるのは見た事のある紋章――コモトリア軍の紋章付きの鎧を着た騎士達だ。

「主君を裏切るなんて最低な男!」

「裏切りではありません。ご命令なのです」

「なんですって!」

「申し訳ございません。お覚悟!」

 騎士は問答無用に、剣を女の子に振り下ろした。

 ガキーン! エレノアを抜き放ち、その剣をはじいてあいだに割って入る。

「何者?」

「誰だ!」

 襲われている女の子、襲ってる騎士。双方同時に聞いて、そして両方が驚いた。

 丸腰の女の子、襲ってる騎士。

 瞬間で判断して、女の子を助けた。

 女の子を襲ってる騎士全員を切り伏せた後、女の子に言った。

「大丈夫だったか」

「ええ」

 気丈な目の女の子だ。

「おれは結城カケル、お前は?」

「アウラ・トリデカ・コモトリアと申します」

「コモトリア? まさか王女なのか?」

「十三王女アウラよ。それよりもユウキカケルって、まさか大賢者オルティアの?」

「ああ、そうだ」

 知ってるのなら話は早いと、おれは頷いた。

 しかし、なんか話は面倒臭そうだ。

 十三王女が、国の紋章の入った鎧を着けた騎士達に襲われた。

 なんか結構面倒臭そうだった。

     ☆

 アウラをつれて、自分の馬車に戻ってきた。

 騎士達は縛りあげて、放置してきた。

「アウラ様!」

「聖女様?」

 どうやら二人は顔見知りで、顔をつきあわせた途端同時に驚いた。

 話を聞いてて、二人が知りあいの可能性がかなり高いって思ってたおれは驚かなかった。

「聖女様はなんでここにいるの?」

「カケルと一緒にクラデスに向かう途中。アウラ様こそどうしたの?」

「わかんないわよ! なんでいきなりああなったのか」

「カケル?」

 どういうことだ? と聞いてくるメリッサ。

 おれはアウラに聞いた。

「さっきの男、あの男はお前の部下なのか?」

「お父様の部下よ、かなり信頼してる男」

「そいつがお前を襲う理由に心当たりは」

「ないわよ!」

 アウラ姫はいらいらした様子でいった。まあ殺されそうになってたし仕方ない。

「……なにか心当たりがあるんだ」

「む?」

 メリッサを見た。メリッサは意味深な顔でアウラを見た。

 アウラは下唇をかむ、何かをガマンしてる顔だ。

 心当たりは――あるみたいだ。

 沈黙が五分以上流れて、それからアウラが重々しくいった。

「去年から、お姉様達が立て続けに事故で死んだの」

「立て続けに?」

「アストレアお姉様、クロラスお姉様、シーマお姉様、ダフネお姉様、そしてエウニスお姉様。去年一年間だけで、お姉様が五人も事故死したの」

「お前のお姉様っていうと、十三人連続で生まれた王女のことか」

 アウラが頷く。

「一年で五人も事故死か。……偶然じゃなさそうだな」

「レダお姉様とレナお姉様は病気で亡くなった」

「……偶然じゃないな」

 連続しすぎてる。ここまで来るともはや陰謀のにおいしかしない。

「心当たりは?」

「……」

 また下唇を噛んで、何も言わない。

 まさか、って思った。

 歳行ってから跡継ぎができた豊臣秀吉の事を思い出した。

 まさか、な。

 言わないアウラ、それに変わって、メリッサが切り出す。

「アウラ様。この人に、カケルに助けてもらうのはどう?」

「この人に?」

 アウラはうさんくさそうにおれを見た。一方でメリッサは信頼しきった目でおれを見た。

「そう。カケルならどんな相手でもちゃんと助けて、解決してくれるから」

 絶対に、と、メリッサは強く言いきった。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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