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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

カランバ王国編

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63.奴隷たちを屈服させる

「奴隷は全部で200名、各地から若く、手垢のついてないものをかき集めました。お望みの『教育前』ですので心にさほど問題ありませんが、健康面で栄養失調気味のものが約二割ほど」

「飯食わせればいいのか?」

「有り体にいえば」

 即答するデルフィナ。

 屋敷から二十メートル離れた空き地に整列する200人の女奴隷。それを眺めるおれと、詳細を報告するデルフィナ。

 買うと決めてから三日目、デルフィナはおれが選んだ奴隷をかき集めてきた。

 商人として、相変わらずの手際の良さだ。

「ミウ」

「はい!」

「しばらくはお前がメシを作ってやれ、とにかく食わせろ」

「わかりました」

「今日の分からな」

「はい!」

 ミウは勢いよく答えて、準備のためだろうか、いったん屋敷に戻っていった。

「ナナ」

「はっ」

 今度はナナを呼ぶ。鎧じゃなくて軽装してる彼女が凜々しい表情のまま返事をする。

「訓練は任せていいか? おれとお前の命令に従うようにやってくれ。命令の優先順が今いった順番」

「主、次にわたし」

「そうだ」

「承知した」

 ナナは小さく頷き、奴隷達の所に向かっていった。

 何かを話している様子を眺めながら、デルフィナと話を続ける。

「彼女達が住む場所はあちらで建造中。急がせてはいますが、二週間ほどはかかるかと」

「二週間くらいでたつのか?」

「たたせます」

 デルフィナはきっぱりと言い切った。なんだかプライドとかそういうのを感じた。きっと建ててくるんだろうな。

「武器と装備は作らせてます、こちらはすぐに揃います」

「そうか。何から何までわるいな」

「商売ですから」

「代金は勝手に持ってってくれ。金をしまってる宝物庫の場所、わかるよな」

 最近は資産が、特に金銀財宝という形で増えてきたから、屋敷の中に宝物庫という名前の部屋を作った。

 金とかは全部そこに入ってる。

「勝手にでよろしいんですか?」

「ああ。金の事はお前を信用する」

「ありがとうございます」

 いつもの物静かで、ちょっと事務的な口調で言うデルフィナ。

 でもよく見たら、口元がちょっと嬉しそうだった。

「主」

 ナナが戻ってきた。

「どうした」

「主に少し協力してもらえないだろうか。何人か気の強いのがいるから、それを叩き折るところからはじめたい」

「わかった」

 頷き、ナナと一緒に奴隷達の所に向かっていく。

 奴隷達の前で立ち止まって、眺める。

 ナナの言うとおり、何人かこっちをにらみつける、気の強いのがいる。

「こちらがお前達の主、魔剣使いの五爵様、カケル・ユウキ様だ」

 魔剣使い、という言葉の直後に奴隷達がざわめいた。視線はおれの腰にある二本の……特に長い方の魔剣に注がれる。

 奴隷のあいだでもエレノアはやっぱり有名みたいだ。

「お前達の生殺与奪の権利はすべて主にある。言いたいことがあったら自分の口から言うといい」

 ナナが言うと、まっさきに一人の奴隷が前に出てきて、言った。

「お前を倒せば奴隷から解放してくれるって本当なのか」

 ナナを見る、ほんのちょっとだけ苦い表情で頷く。

 なるほどそういう話になってたのか。

 まあ、そう言う話ならまったく問題はない。まったく、何も問題はない。

「ああ、それでいいぞ」

「本当だな? 勝った後にやっぱりダメだとか、傷をつけたからとか因縁をふっかけないだろうな」

 そんな事をするヤツいるのかよ……いやいるのか?

「大丈夫だ。で、挑戦するのはお前だけか?」

「わ、わたしも」

「あたいもやる!」

「処罰されないのならわたしも……」

 次々と名乗り出てきた。

 結果、おれに挑戦するものは十人くらいになった。

 で、こいつらの鼻っ面を叩きおるんだっけ。

 なら、普通に勝ってもしょうがないな。

 おれは少し考えて、両足をぐりぐりした。

 土の地面にぐりぐりして、靴を半分くらい地面にめり込ませる。

「主? それは?」

 ナナに微笑みかけてから、奴隷達にいう。

「これからおれはここから動かない。勝負は簡単。どんな攻撃をしてきてもいい、おれを一歩でも動かせたらそっちの勝ち」

 奴隷達がざわめき出す。

 つまりナメプだ。ナメプでもきっちり勝って、力をしめるって作戦だ。

 おれは更にたたみかけた。

「おれが使う武器もこっちだけにする」

 といって、ひかりを抜いた。

 エレノアではなく、ひかり。

 おれからすれば両方とも魔剣なのだが、世間一般的にはそうじゃない。

 魔剣と言えば数百年悪名を轟かせてきたエレノアで、もう一本の短いのは「なにそれ」状態だ。

 だからこれは、ものすごいナメプと認識されるはず。

「あの……今からでも、参加いいですか」

 更に何人かの奴隷が希望した。

 そこまでのナメプなら希望がある、と感じたんだろう。

「よし、やろうか。ナナ、そいつらに武器を渡してやれ」

「はっ」

 奴隷の一人がナナから武器を受け取って、念入りにチェックした。

 一番最初に食いついてきた赤髪の女。

 そいつが最初に挑んできた。

「はあああああ!」

 ロングソードを振りかぶって、突進してきた。

 迷いのない斬撃。刃が空気を裂いて襲いかかる。

 逆手に持ったままのひかりで受け止める。長い剣戟音が響き渡る。

「ぐぐぐ……」

 両手でロングソードを押しつけてくる。それを片手で押し返し、はじく。

 女は更に斬りかかってきた。

 しゃにむにで斬りかかってきた。

 思いっきりはいいが、それだけ。

 何回か好きにやらせた後、剣を受けた直後に手首をはたいてロングソードを落とした。

 そして喉先にひかりの切っ先を突きつける。

「これまでだな?」

「くっ……」

 女は悔しそうだった。だけど物言いがつけられる様なないようじゃないから、その分更に悔しそうだ。

 次々と奴隷達の挑戦を受けた。訓練前の奴隷兵を順にたたきのめした。

 最初は普通に勝てるかもしれない、次に疲れさせれば勝てるかもしれない、最後に運が良ければ勝てるかもしれない。

 挑んでくるものの心境、面白いくらいに表情から読める心境をさばいていく。

 その間、おれは一歩も動かなかった。

 ぐりぐりと踏み込んだ、根を下ろした地面から一歩も動かなかった。

「これで最後だな?」

 最後の一人を片付けた後、奴隷達を見回した。

 目が一様に暗くて、最後の望をたたれた、って顔をしてる。

 今はそれでいいのかな――と思っていると。

「はあああああ!」

 真横から裂帛の気合が飛んできた。

 今までの比じゃない、うなりを上げる斬撃音。慌ててひかりで受け止め……一歩分よろめいた。

「ナナ?」

「でぇぃやあああ!」

 長穂のロングソードを抜いたナナが斬りかかってきた。

 変化自在の斬撃、それはかつて敵同士として戦っていた頃を彷彿とさせる斬撃。

 本気。

 本気のナナにナメプは危険すぎる。おれは踏み込んだ地面から出て、二本の魔剣を構えて応戦した。

 剣戟音が連続で響く、ナナの攻撃を受け止めさばく。

「強くなったな、前に比べて」

「油断!」

 鋭い横の斬撃三連発を受け止め、返す刀でナナのロングソードをはじく。

 長穂のローグソードがぐるぐると天に舞い上がり、やがて地面に落ちてぐさっと深く突き刺さった。

 そして、喉に切っ先を突きつける。

「勝負ありだな?」

「はっ」

 ナナの表情は実にあっさりしていた。

 いきなり襲いかかったのに、それであっさり負けたというのに、その顔は晴れやかだった。

 そもそも攻撃は本気だったけど、殺意は感じなかった。

 なんだったんだろう、今の。

「す、すごい……」

「あの人もすごかったんだ」

「ばか、演出だよ演出」

「そっちこそバカじゃないの? あの攻撃が演出だとしてもあんたの十倍はすごいから」

 奴隷達がざわざわし出した。

 内容を拾っていくと、何となくナナの意図を理解する。

 自分はお前らよりも強い、そして主は更に遙かに強い。

 というのを示したかったんだろう。

「もういないのか? 挑戦するやつは」

 奴隷達を見て、聞く。

 挑戦して来るやつはいなかった。それどころか一部ははやくもおれの事を尊敬の目で見ていた。

 とりあえずはこれで良いだろう。

「ナナ、後は任せる」

「はっ」

 言葉通りナナに後を任せて、おれは屋敷に戻った。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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