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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

カランバ王国編

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60.要塞攻略

「では、行って参ります」

「い、行ってきます」

 出陣する前のナナとイオ。

 ナナはいつもと変わらないけど、イオはみるからに緊張してる。

 そのイオに能力を貸し出した。

『イオ・アコスに雷の魔力を貸し出します。残り59分59秒』

 期間限定くじ引きで引いた一等賞、一番持続時間の長い貸し出し。

 そして、同じようにくじ引きで引いた魔法の玉を全部渡した。

「これを持っていけ、使い方はわかってるな」

「うん、投げればいいんですよね」

「そうだ、黒いのは攻撃魔法、白いのは回復魔法」

「わかりました」

 ナナとイオが兵とエリアが待ってる所に戻っていく。

 ほぼ全軍を率いて、砦を出て、撤退をはじめた。

 おれと、メテオラから連れてきたわずかな兵を残して。

 遠くからさっそく怒声が聞こえてくる。

「こっちも行くか」

(どこにだ?)

 エレノアが聞いてきた。

「このままここにいたらコモトリア軍がこっちを襲うだろ? あっちが『全軍撤退』したっていう形にしないと、思う存分追撃してもらえないだろ」

(ふむ、しかしこっちも少人数とはいえ、どこかに動けばそっちを襲ってくるのではないか? それならまだこの砦の中で息を潜めていた方がよくないか)

「こうすればいいんだ」

 ワープの羽を使って、兵ごと瞬間移動した。

 数百人の兵を連れてまとめて、山ウシの草原に移動した。

「ここでしばらく待って、ある程度時間経ってから砦に戻って、そこから進軍だ」

(なるほど)

 エレノアが納得した。

 一方で、いきなりの瞬間移動で兵達がざわつく。

「静かにしろ」

 おれは低い声で言った。エレノアとひかりを使って黒いオーラを纏う。

 ざわつくのが収まる。言葉より、得体の知れない黒いオーラの方が説得力があったみたいだ。

 おれは目をつむった、そして待った。

 時間が経過する。

 徐々に徐々に、時間が経過する。

 そろそろいいか?

 そう思ったけど、ぐっとこらえた。

 中途半端な所で戻ると、奇襲の効果が薄くなる。

 更に待った。時間が経つ。

 もういいか? いやまだだ。

 もういいか? いやいやもっとだ。

 おそらくいま、ナナとイオが必死に戦っているはずだ。全力でしんがりをして、本隊の撤退を必死に援護する――事を演出するために戦っているはずだ。

(おとーさん)

「うん?」

(おねーちゃんたち、大丈夫かな)

 ひかりもの心配そうな声が脳内に響く。

(ばかもの)

 エレノアがおれをしかった。

(貴様がたてた作戦だろうが。ならば泰然としておれ。自分の女を信じるのなら最後まで信じ切って見せろ)

「……ああ」

 頷く。

 そうだ、あの二人を信じよう。

 おれは信じて、まった。

 逸る気持ちは、それ以降出てこなかった。

 ナナとイオ、あの二人ならば。

 気持ちが静かに落ちていく。時が過ぎていく。

『雷の魔法の貸し出し終了しました』

 声が聞こえた。

 待っていた声だ。

 目を開けて、兵達を確認し、ワープで飛んだ。

 砦の中に飛んだ。直前にいたのとまったく同じ場所だ。

 兵達がまたざわついたが、さっきよりかなり小さめだった。

「今からサリラを急襲する、全員、おれに続け!」

「うおおおおおお!」

 兵達の怒号を背負って、二振りの魔剣を構えて、サリラに向かって進軍した。

     ☆

 サリラは一目でわかる難攻不落の城だった。

 高台に建設されてて、まわりを深い堀が囲んでる。

 城門に続く道はたった一本で、しかも登り坂だ。

 攻めようとすればそこから駆け上がるしかないけど、上ろうとすれば集中攻撃を浴びせかけられる。

 が、引くわけにはいかない。そもそも時間すら掛ける余裕はない。

 おれは真っ先に坂に上って行った。

(おとーさん、あぶない)

 城の方から大量の矢がとんできた。

 まるで雨の様な、空を覆い尽くさんばかりの矢がおれめがけてとんできた。

 が、所詮は矢だ。

 エレノアとひかり、魔剣を振り回してはたき落としつつ、坂を上っていく。

 その程度でおれはとめられん。

「男爵様! あれを」

 兵の一人が叫んだ。

 指さす先は城門、門が開いて、大きな岩が転がってきた。

 人間よりも数倍大きな岩が坂道で速度を上げて転がってくる。

「うわあああ」

「に、逃げろ!」

 兵達から悲鳴が上がった。

 一本道に転がってくる岩。恐れをなして逃げようとするのは当たり前。

 が、所詮は岩だ。

「エレノア、ひかり。いくぞ」

(斬るのか?)

「砕く」

(任せて、おとーさん!)

 兵達とは逆に、おれは速度をあげて岩に向かって突進していった。

 背後から悲鳴と驚嘆が聞こえてくる中、まずエレノアを大岩にたたきつけた。

 ずしりとした手応え。気を抜けた押し戻されそうだ。

「これしき……のことでええええ!」

 エレノアで止めて、ひかりでたたき割った。

 ぱかっと真っ二つに割った岩を、更に細かく砕く。

 人間サイズくらいになった岩がコースから、坂道からそれた。

 足を止めずに、さらに駆け上がる。

 矢が飛んできた、魔法がとんできた、丸太が転がってきた。

 全部、先頭きって排除した。

 やがて一気に駆け上って、兵達と共にサリラになだれ込む。

 国境の要衝、サリラを落としたのはそれから一時間もしないうちの出来事だった。

     ☆


 兵をサリラに残して、おれはワープで砦を中継地点にして、本隊を追いかけた。

 一人で動いて、単身でコモトリア軍の背後から突っ切って、しんがりをしてる二人の所にたどりつく。

「ナナ! イオ!」

 さすがにしんがりというだけあって、二人が率いてる兵は最初の頃に比べてかなり減っていた。

 が、二人は目立った怪我をした様子はない。

 ナナを先頭に、イオが後ろから魔法の玉を投げて援護する、という形になってた。

「主!」

「カケルさん!」

「よく持たせた」

「では……?」

「サリラは?」

「ああ、落としてきた」

 二人の表情が明るくなった。イオに至ってはちょっと気抜けした位だ。

 おれは振り向き、エレノアを地面にたたきつけた。

 黒いオーラが爆発して、小さなクレーターができる。

 その衝撃で、戦闘が一時中断する。

 何事かと言う顔をするコモトリア軍に向かって叫ぶ。

「聞け! サリラは既に落ちた!」

「何を馬鹿な事を」

 敵兵のうち、一番身なりのいい男が鼻で笑った。

 そいつに兵の一人、望遠鏡をもった兵士が慌てて言った。

「将軍! サリラが、サリラにカランバの旗が!」

「なんだと!?」

 そいつが兵士が持つ望遠鏡奪って、遠くを見た。

 サリラは間違いなくカランバの旗が立ってる。それを確認したそいつがわなわなと震えだした。

「ば、ばかな、そんな事が。サリラがこんな短期間で落ちるとは……内通者でも出たのか」

 なるほどそう考えるか。

「わかりません」

「くっ」

「さあ今すぐ決めろ。ここで降伏するか、挟み撃ちにあってこのまま死ぬか」

 エレノアを突きつけて、要求を突きつけた。

 そいつは迷った後、降伏した。

     ☆

「あきれたお方、まるで一人で戦争してるみたい」

 要衝サリラ。

 指揮官用の建物の中で、エリアが複雑そうな顔で言った。

「決まればなんだっていいだろ。それに今回は一人じゃない」

 ナナとイオが頑張ってくれたからだ。

 サリラの抵抗が薄かったのは二人が全力でしんがりをして、本物の撤退っぽく演出したから、敵兵を上手くつり出したから。

 おれ一人がとかじゃない。

「それよりも後は全部任せていいか。ここの守りとか、メテオラへの報告とか、丸ごと」

「それは大丈夫ですが……男爵様は?」

「おれはもっと大事な用事があるから」

 そういってエリアに別れを告げて、そこから出た。

 別の部屋、ナナとイオが待ってる部屋に入る。

 二人は座っていた、しかしおれを見て立ち上がろうとした。

 イオは上手く立ち上がれず、ナナもちょっと動きが鈍い。

 しんがりの戦いがいかに過酷なものだったのかを物語っている。

「カケルさん、これ」

 イオが手を差し出した、おれがわたした魔法の玉が、かなり数を減らして帰って来た。

 とくに、白玉――回復の玉が激減している。

「白も使ったのか?」

「はい、ほとんどわたしが……」

「ほとんど? ナナも使ったのか」

「面目ございません」

 ナナは申し訳なさそうに頭を下げた。

「別にいい。それよりも今から屋敷に帰るぞ」

「え? か、帰るですか? まずは女王様に報告とかするんじゃないんですか」

「まずは屋敷だ。あれだけの戦いの後だ、することがあるだろ?」

 イオが盛大に顔を赤くして、ナナが「あっ」と小さく動揺した。

 戦いの後。戦いの度合いに比例してむらむらするおれ。

「戦いの後疲れてると思うが、悪いな」

「ううん、お願いします! カケルさん」

「是非、ご褒美を」

 二人があまりにも可愛くて、俺は二人の腰を抱いて部屋に連れ込んだのだった。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
+注意+
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