挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

くじ引きの異世界編

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

6/288

5.陰謀を追う

「そろそろ、この街で銅貨を集めるのが危険になってきたな」
「そうだな、だいぶ少なくなってきたし、これ以上は目をつけられて危険になる」
「いまある分を運びだそう。手配しておけ」
「わかった」

 男の声で、会話してるのは二人みたいだ。

「お客さん?」
「うわ!」

 目の前にヒラヒラとふった手が見えた。いきなりの事で、おれはビックリした。

「どうしたんですかお客さん、ドアを食い入るように見つめて」
「ああ、いや」

 おれは言葉を濁した。
 聞こえてきた声はドアの向こう、店の外からだ。

「ごめん、ちょっと急用を思い出した」
「えっ? でも料理がまだ――」
「また来ます」

 おれはそう言って、店を飛び出した。
 そして、耳を澄ます。
 雑多の中から、さっきの声を拾う。
 音楽を聴いてるとき、いろんな音の中から――例えばドラムの音だけに集中してそれを拾う感覚だ。

「ったく、儲かるのはいいけどよ、運ぶ手間がなあ」

 さっき聞いた声を捕らえた。
 おれはそれを追いかけた。
 さっきの二人がまた一緒にいて、おしゃべりしている。
 だからおれはそれを追いかけた、声を頼りに追いかけた。

 いくつかの路地を曲がって、人気ない所に入る。
 いきなり声が小さくなった。

「どこかに入ったのか?」

 おれは辺りを見回した。
 路地の裏、様々な建物がある。
 おれは中に入れそうな――ドアがある建物の前に立って、その度に耳を澄ませた。
 そして、五つ目のドアで再びさっきの男達の声が聞こえてきた。

「これで全部だな、よし、今夜に運び出してしまうぞ。別の街にいる連中と合流して、溶解炉の所におくるんだ」
「なあ、これでどれくらい儲かるんだ?」
「今の銅の相場だと……溶かして売ったらざっと倍にはなるな」
「うへえ、前よりあがってるじゃねか。ってこたあこれ、倍の金額になるって事だよな」
「そういうこった」
「うっはあ」

 男達の言葉。最初に聞いたときに感じたもの通り、ヤバイ内容だった。

「銅貨を……(かね)を溶かして原材料にして売り払う?」

 国が作ってる(かね)を許可なく溶かすなんて、どこの国でも禁止してる重大な犯罪だ。
 このまま踏み込もうと思ったけど、話を聞いてると取引相手もいるし、協力相手もいる。
 ここで踏み込んでもトカゲのしっぽ切りになるのは間違いない。

「……」

 おれは場所をしっかり覚えて、その場から離れた。

     ☆

「ここか」

 街の人に聞いて、やってきたのはこの街の役所。
 警察のようなもの、犯罪者を取り締まる所って聞いたらここを教えてもらったのだ。

「待て! 何者だ」

 はじめてこの街に来た時と同じように、武装した門番がおれをとめた。
 まあ当然の反応だが、こっちも用意はしている。
 おれはヘレネー姫からもらった扇子を取り出して、門番に見せた。

「姫様の使いだ。ここの責任者にあわせろ」
「姫様……? むっ、それは王家の紋章……しかも本物」

 門番は魔法(のようなもの?)で扇子の真偽を確認した。
 途端に、態度が別人の様に変わった。

「少々お待ち下さい、すぐに知らせてきます」
「ああ」

 門番が中に駆け込んだ。
 おれはしばしそこで待った。
 約十分くらいして、門番が出てきた。

「お待たせしました。アルモッソ様が中でお待ちです。どうぞ」

 門番に通され、中に入った。
 そのまま先導についていき、執務室のような所にやってきた。
 部屋の中に中年の、身なりのいい男がいた。
 男はおれを見るなり立ち上がり、真剣な顔で聞いてきた。

「ケフカ・アルモッソと申します」
「結城カケルです」
「聞き慣れない名前ですが、どのようにお呼びすれば」
「好きな様に」
「ではカケル様と。姫殿下の使いだと言うことですが」
「ああ、これが証拠だ」

 騙り、二回目。嘘なのでちょっと後ろめたかったけど、我慢して扇子を見せた。

「これは……確かにヘレネー・テレシア・メルクーリ殿下の持ち物。失礼いたしました。疑うつもりではありませんが、門番から『見慣れない服装の男』と言われたので、念のためにと」
「それはいい」

 ある程度疑われるのは覚悟の上だ、だからこそヘレネー姫のものを持ち出したんだ。

「それよりも大事な話がある」
「どのような話でしょう」
「この街で銅貨を集めて、それを溶かしてる連中がいる」
「……それは、冗談ではすまされない話ですぞ」

 アルモッソの顔色が激変した。
 事の大きさを思えば当たり前の反応だ。

「冗談なんかじゃない」

 おれは聞いてきた話、見てきたことを話した。
 食堂で小銭が足りないことと、男達が話していた言葉を。
 そっくりそのまま、アルモッソに伝えた。

「銅貨の減少は報告に受けている。行商人の行き来が活発な街なので、商売のついでに持ち出されたものだとばかり思っていましたが……」
「実際そういうことが起きてる。なんとかしないとまずいんじゃないのか」
「そうですな。ところでこのことを姫殿下はご存じで?」
「……いや、知らない」

 おれはそう言った。ヘレネー姫……王族がこういう時どういう風に反応するのかわからないからだ。

「姫様に言われて、銅貨の事を探ってただけだ」

 と、当たり障りのない、バレにくい嘘をつく。

「そうでしたか。いえ、ともかくまずは何とかしましょう、どのみち貨幣の毀損は重罪、捕らえてから判断を仰げば良いでしょう」
「そうだな」
「兵を呼びます」

 アルモッソはパンパン、と手を叩いた。
 すぐにドタドタドタと足音がして、武装した兵士が三人入ってきた。
 三人か、少ないけど、まあいないよりはマシだろ。
 なにせ何とかしないといけない相手が複数いて、おれ一人じゃ物理的に……文字通りてが回らないからだ。
 そう思っていた所に。

「その男を捕らえなさい」
「はっ」
「えっ?」

 いきなりの事で、状況について行けなくて驚いていると、兵士の一人がおれを押さえつけ、後ろから手錠をかけてきた。

「お前っ……」
「申し訳ありませんな、そういうことなのですよ」
「お前もグルだったのか!」
「その通りです」
「なんでそんな事をする!」

 押さえつけられたまま、アルモッソに聞く。

「儲かるからですよ。元々我々の様な街を統治する官吏にはある程度の鋳造権が与えられているんですよ。破損した貨幣を回収・両替して、ちゃんとした貨幣に鋳造し直す。この手数料は自由に決められるのでかなり美味しいのですが――」

 アルモッソはにやりと笑った。
 おぞましい笑顔だッ。

「――やはり銅のまま売った方がもっと美味しいのでね。裏の人間と組んで一山当てようとしていたのですが、まさかヘレネー殿下に目をつけられるなんて」
「……」
「しかし、どうやら風はまだわたしに吹いているようだ。聞けば殿下はまだこの話をご存じない。つまりここであなたを始末し、回収した銅貨を新しく銅貨に鋳造し直せば、まだまだ誤魔化せるということです」
「……」
「ですので、あなたには悪いですが……ここで消えてもらいますよ。恨むなら自分の無鉄砲さを恨むのですね」
「恨むつもりはない」

 おれは言った。
 自分でもちょっとビックリするくらいの、冷たい声だった。
 アルモッソが驚く、何を言い出すんだ、と言う顔で。

「どういう意味なのです?」
「こういう意味、だ」

 おれは立ち上がった。
 後ろから押さえつけられているけど、普通に立ち上がった。

「ふん!」

 力を入れて、手錠を引きちぎった。
 鉄製のものだったけど、簡単にぶっちぎった。
 アルモッソが目を丸くする、信じられない様な顔だ。
 その顔がまたむかつく。

「どうやら、まずはお前からとっ捕まえた方がいいらしいな」

 おれは宣言した。
 制裁の時間だ。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ