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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

カランバ王国編

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56.はじめてのおつかい

 昼下がり、お茶を飲んでケーキを食べて、優雅にくつろいでた。

 横にナナとひかりがいて、ナナはひかりに読み書きを教えている。

「あれえ、これ、なんかナナおねーさんが書いたのと違うね。どうしてだろ」

「ここ、ここが逆になってる」

「あっ、そっか、左じゃなくて、右にくるっとかくんだよね」

 実際はみてないけど、間違え方が何となく想像できた。

 「あ」と「お」を間違えるとか、「さ」と「ち」を間違えると、「ね」と「れ」を間違えるとか。

 そういう、子供にありがちな間違えをしてるっぽい。

 それを、ナナが根気よく教えている。

(意外と、子供すきなのかな)

「彼女の事か?」

(うむ。無骨一辺倒の女だと思っていたが、普通に優しい接していて驚いた)

 それはおれもちょっと思った。

 実際に剣を交えた相手で、今もおれのことを「主」って呼んで、堅苦しい喋り方をするナナだから、今の光景はちょっと驚きだ。

 だからみてて楽しい、微笑ましいって感じる。

「ご主人様」

 メイドのミウが部屋に入ってきた。なんでかちょっと申し訳なさそうな顔をしてる。

「どうした」

「ごめんなさいご主人様。買い忘れたものがあるから、ちょっと買い物に行ってきてもいいですか?」

 家を離れるから聞いてきたみたいだ。やっぱり近いうちにもう一つメイドを増やしておこう。

 一人じゃ物理的に回らない事がおおい。

「いいぞ、気にしないでいってこい」

「ありがとうございます」

「みうおねーさん、お買い物?」

「はい、そうですよ」

「そのお買い物、ひかりが行く」

「え?」

「ひかりが行く」

 同じ台詞をリピートするひかり。とてもかわいかった。

     ☆

 街中、おれとナナが離れてひかりを尾行していた。

 ひかりはミウから渡されたカゴと、丁度ナナから教わった字で、自分で書いたメモを持って歩いている。

 手を振って歩いて、たまに立ち止まって知らない誰かと話したり、街角に佇んでる猫を見つけてじっと見つめたり。

 まるっきりはじめてのおつかいだ。

「だ、大丈夫だろうか」

 声を押し殺してナナが聞く。

 あの番組をしってるから、落ち着いてみていられた。

「まあ落ち着いてみてろ。こういうのは失敗も含めて見守るものだ」

「そういうものなのか?」

「ああ、はじめてのおつかい、成功しても失敗しても温かく見守って、帰って来たらちゃんと褒めてやる、それで充分だ」

「さすが主、感服しました」

(貴様、やけにしったような口をきくが、まさか経験があるのか?)

 脳内に聞こえてくるエレノアの声はちょっと嫉妬が混じってる風だった。

 なわけないだろバカ。

「わかった、温かく見守る」

「ああ」

 更に尾行して、ひかりを見守る。

 それまで普通に歩いていたひかりが躓いて、すっころんでしまった。

 頭からつっこんでいくヘッドスライディングのような転び方。

 倒れたまま立ち上がらない、遠目からだけどぐずってるように見える。

 ひかりーー。

「主っ」

 駆け出そうとして、ナナにつかまれて引き留められた。

「何をする」

「温かく見守るのではなかったのか」

「ひかりが転んだんだぞ、ひかりが転んだんだぞ」

「気持ちはわかるが、ここは見守るべきだ」

「むっ」

 強く手を掴んで離さないナナ。

 言いたいことはわかる、わかるけどーー。

 そうこうしてるうちに、ひかりが起き上がった。

 手の甲で目をごしごししてるーー泣いたのか!?

 ちょっとぐずってたっぽいけど、でも再び歩き出した。健気すぎる。

 ともあれひかりが歩き出したから、おれも落ち着いて、尾行を再開した。

 それからは特に問題が起ることなく、ミウに頼まれた買い物をして、屋敷に戻る帰り道についた。

 ここまで来たらもう失敗はないだろうと、おれはちょっとほっとした。

「主、ここは先回りして屋敷に戻った方が良くないか。戻ったときに主が出迎えた方が」

「むっ、それはそうだけど」

 でもまた何かあるといけないし、最後まで見届けたい。

「ワープの羽を使う、ぎりぎりまで見守ってる」

「承知した」

(まったく、こんなのが英雄扱いされるなぞ世の中はどうかしてる)

 うるさい黙れ。お前の娘でもあるんだろうが。

 ひかりの後ろをついていく。

 屋敷が街外れにあるので、徐々に人気がなくなっていく。

「……主」

 ナナが声を掛けてきた、緊迫した声だ。

 どうしたんだ、って聞き返すよりさきにーー事態が動いた。

 まわりから数十人の男が一斉に出てきた。

 男達はアッという間にひかりを取り囲んで、ひかりを捕まえた。

「ひかり!」

「おっと、動くなよ魔剣使い、そこから一歩でも動いたら娘の首が落ちるぞ」

 男の人がひかりの首筋に剣の切っ先を突きつけた。

「おとーさん!」

 ひかりが怯えている。

「お前ら、何者だ」

「今教える必要はない、いずれわかる。おいお前ら、さっさとその娘を連れてこの場から離れろ。魔剣使いが見えないところに」

「はっ」

 ひかりを捕まえてる男が応じて、たちさろうとした。

「させるか」

 エレノアを抜いて、黒いオーラを纏った。

 相手は数十人いるが、この距離ならワープを併用すればひかりを救出して皆殺しにできるはずだ。

 が。

「あれを使え」

 男が叫んだ。おれの足元に魔法陣が浮かびあがってきた。

 すると体が何かにつかまったかのように、まったく動くなくなった。

「主!」

 目を動かして横を見る、ナナも動かないみたいだ。

「なんだこれは」

「対天災級生物用戦術兵器だ。魔剣使い、貴様のために用意してきた。いかに貴様でもこれでは動けまい」

「くっ」

「安心しろ、こっちの言うとおりにしてるうちはその娘に危害は加えない。が、仮に抵抗するのならーーおい」

 男がいうと、ひかりを捕まえてる男が刃物を使って、ひかりの髪を一房切りおとした。

 それをおれに見えるようにかかげる。

「こうなる。今回は髪だけど、指とかになるかもしれないな」

 恫喝してきた。

「おとーさん」

 ひかりが泣き出しそうだった。

「貴様ら……」

 プチン。

 何かがきれる音が聞こえた。

 目の前が赤く染まる、頭がかあとあつくなる。

 エレノアをーー握り締める。

(皆殺しか)

 頭の中の声がやけにおちついていた。

 いや、冷たかった。

「当然だ」

 全身に力を込める、おれを捕らえている見えない力に対抗する。

 ぐぐぐぐぐーーパリン。

 何かがはじける音が聞こえた。

 魔法陣が砕け散って、光の粒子になって飛び散った。

「馬鹿な、レッドドラゴンすら完全に止めてじっくり料理できる魔法陣だぞ」

「そんな事よりもその娘を早くーー」

「遅い」

 ワープして、まずはひかりを捕まえている男の首をはねた。

「おとーさん!」

 ひかりがしがみついてきた。頭をよしよしと撫でた。

「ひかり、ナナと一緒にかえるか? それともおとーさんと一緒がいいか」

「一緒がいい!」

 ひかりはそう言って、魔剣の姿に戻った。

 エレノアとひかり、二振りの魔剣をかまえる。

 男達は逃げ出した。作戦が失敗したとわかるや、蜘蛛の子を散らすかのように逃げ出した。

 もちろん逃がさない、そいつらを追いかけて、全滅させた。

 跡形残さず、完全に消滅させた。


 それはしかし、帰ってからオルティアに怒られた。

「死体くらい残さないと元凶も突き止められないじゃない」

 むしゃくしゃしてやった、反省している。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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