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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

カランバ王国編

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54.山吹色のお菓子

「またやれなかったよぉ……」

 屋敷のなか、ミウをモフモフしながら、おれは傷ついた心をいやしていた。

 ちょっと離れた所でフードをはずしたオルティアが、絶世の美女モードで優雅にくつろいでた。

 そう、今日こそは行けると思って挑んでみたけど、結局いつも通り全精力を持って行かれただけで、息子はまったく反応しなかった。

「おとーさんかわいそう」

 ひかりがおれのそばにやってきて、頭をなでなでしてくれた。

 娘の小さな手が今はありがたい。

「わたしがお手伝いできればいいのですが」

 ミウが申し訳なさそうにいった。

「気にしなくてもいいぞー、ミウはこうしてモフモフさせてくれるだけでいいんだ」

「うん」

「もーふー」

 気の抜けた声を出して、モフモフし続けた。

(カケルさん、お客様が来ました)

 天井からメイド幽霊のタニアが現われて、それを知らせてきた。

 最近はまた屋敷に戻って、屋敷に取り憑いてる。

 前と違って、あのメイド部屋の近くだけじゃなくて、屋敷全体を自由に動き回ってる感じだ。

 それで屋敷の防衛とか、ミウのてつだいをしてる。

 出会いが出会いで最初はミウ怯えてたけど、最近はすっかり打ち解けてきた様子だ。

「客? だれだ」

(えっと、サラマス、って人です)

「サラマスさんか」

「あのご主人様、わたしちょっといってきますね」

 ミウがメイドとしての仕事をしにいこうとしたけど、おれは彼女を引き留めた。

「いや、ミウはこのままもふもふだ」

「えっ、で、でもお客様が」

「タニア、ナナとイオが屋敷にいたよな」

(はい。ナナさんは剣の稽古、イオさんは魔法書を読んでます)

 いつの間にか屋敷にすっかり住み着いた二人。今日は二人ともいるようだ。

「どっちかに対応してもらって、用件を代わりに聞いてもらってくれ」

(わかりました)

「待って」

 オルティアがタニアを呼び止めた。

(どうしたんですか?)

「イオってあの魔法使いの娘だったね? その子に出てもらって。彼の事は体調不良と言ってもらって」

(はあ……)

 タニアはおれをみる。おれはとりあえず頷いた。

 体調不良なのは確かだ。精力を吸われた上にやれないとか、心身共に大ダメージだからな。

 タニアが天井にすっと消えていったあと、オルティアに聞く。

「なんでわざわざ注文つけたんだ?」

「そろそろカランバ王国の一件のうわさが広まる頃だからよ」

「カランバの? それがどうした」

「すぐにわかる」

 それっきり、オルティアは何も言わなくなった。

 元のくつろぐだけの体勢にもどる。おれはそれをじっと見つめた。

 くそ……やっぱりいい女だよな。

 綺麗だし、色っぽいし。

 やりたいなぁ。

 でもできないんだよな。気持ちだけがあって、体がついていかない。

 かといって精気をやらないとしわしわだし、そっちは論外すぎる。

 ……悲しい。

「ご主人様……」

 だからミウをモフモフした。

 じっくり、丁寧にモフモフした。

 しばらくして、イオが部屋に入ってきた。

「カケルさん、サラマスさんが帰りました」

「そうか、で、用事はなんだったんだ?」

「特になかった」

 オルティアが口を挟んできた。

「そうよね」

「そんなわけないだろ。用事もないのにわざわざ――」

「う、うん。そう言われた」

「え?」

 驚いてイオをみた。

「サラマスさんがそう言ったのか?」

「うん。それとなんか色々カケルさんにプレゼントをって持ってきた。応接間においてるよ」

「プレゼント?」

「わたしもこんなのもらった」

 イオはそう言って、宝石を手のひらにのせておれに見せてくれた。

「イオにプレゼント?」

「えっと、五爵様によろしく、っていってた」

「五爵様?」

「次はあってあげるといいかもね」

「いや、そりゃ普通の時に来たら会うけど」

 一体どういう事なんだ?

 なんか不思議がってると、またタニアが天井から現われた。

(カケルさん、今度はアンドレウさんって人が来ました)

「アンドレウさんが?」

(はい)

 おれはオルティアをみた、オルティアはにこやかにイオを指さした。

 同じようにしろ、って事だろう。

 イオは部屋を出ていって、しばらくしてまた戻ってきた。

 ちょっと困った顔をする
「カケルさん……」

 といって、手を出した。

 今度は杖、先端に宝石のついた魔法の杖をもってる。

「それももらったのか」

「はい、これすごく高いんですけど、どうしよう」

「プレゼントも?」

「おいていきました。さっきとは別の部屋にあります」

 オルティアをみた。

「また五爵様によろしく、と言われたの?」

「はい、言われました」

「まあ、そうでしょうね」

「一体どういう事なんだ?」

「五爵のカケル、カランバ王国の政権奪回に深く関与。この二つのことで多くの人間があなたに近づきたいと思うようになってるはずだわ。有り体に言えばゴマをすりに来たのよ」

「はあ」

 そういうものなのか。

 つまりあれか、おれは今山吹色のお菓子をもらってるってことか。

「あとはあの女がくるかどうかね」

「あの女?」

 不思議がってオルティアをみる。誰の事をいってるんだろう。

 そうしてるうちに、またタニアが出てきた。

(カケルさん、今度はデルフィナさんが来ました)

「デルフィナ?」

(はい、屋敷の外でまってます)

「わざわざ屋敷の外でまってる?」

 デルフィナらしくない、というかそんなの必要ないだろ。

 おれが迎えにいくって約束してるし、きたんならそのまま屋敷に入ればいいだろ。

 ふと、オルティアの「あの女」をおもいだした。

「デルフィナのことか?」

「ええ。そしてあなた、よほど愛されてるわね」

「どういうこと?」

「豪商デルフィナまでもが五爵様に取り入ろうとうわさを流そうとしてるのよ。あなたを持ち上げるために。わざわざ外でまってるってことは、人に見られるためにいるってことだから。じゃなきゃ彼女が外にいる必要ないでしょ」

「……そうか」

「さあ、以上を踏まえて、どうしたらいいと思うかしら?」

 オルティアは先生口調でおれに言った。

 おれは考えた。

「タニア、今度はナナに出てもらって。迎えは表まで。時間掛けて、見える様に」

(わかりました)

 タニアがすぅと消えた。

 オルティアをみる。彼女は「よくできました」って顔をした。

「あとでデルフィナを可愛がって――」

「そっちは言われるまでもない」

 おれはちょっと強めに言った。

 最近あれこれオルティアに教わってるけど、今のは必要ない。

 知ってるし、そうするつもりだ。

 オルティアはちょっとビックリして、それからちょっと頬を染めて、「そうね」とだけ言った。

 それからしばらく、おれの屋敷にひっきりなしに人が訪れてくるようになった。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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