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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

カランバ王国編

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52.女王奪還

「ユウキ男爵……無礼な! どこから入ってきた」

 一瞬ひるんだオロス、すぐに気を取り直しておれに怒鳴った。

 答える義理はない。

 そいつを無視して、リカに近づき、玉座の前に立つ。

「カケル……」

「話は聞いてた。言いかけたのはなんだ?」

「え?」

「そいつに止められたやつ。言いかけて、言いたかった事はなんだ?」

「それは……」

 リカがおれの後ろ、オロスを見た。

 伺うような、怯えている様な目。

 おれは手を横に差し出して、それを遮った。オロスと目を合わせられないようにした。

「そいつの事は気にするな。お前が言いたかったのはなんだ」

「わたしは……」

 リカは息を飲んで、決意して、おれに言った。

「外をもっと見たい」

 決意の表情をするリカ。

「外の世界をもっと見て、知って、学びたい」

「そうか」

「なりませんぞ殿下。ユウキ男爵、貴殿一体なんのつもりだ。事の次第に依ってはただではすみませんぞ」

 オロスがおれを恫喝した。

 ちゃっちい恫喝だ。

 おれはオロスを冷ややかに見て、言った。

「なあ、お前は何者だ?」

「なんだと」

「お前、ただの宦官なんだよな。なんでそれが女王に意見してるんだ?」

「意見などしていない。わたしはただ、殿下に――」

「女王の行動を制限するのって、そもそもおかしくないか?」

「それは殿下の――」

「というか、なんで女王の宮殿に宦官なんでいるんだ?」

「え?」

 リカが驚く。

「宦官ってのは王の後宮……ハーレムを守るために生殖器を切りおとした人間のことだろ? 切りおとしたら王のハーレムに手出しできないからって理由で。それ、女王に必要か?」

「むっ」

「そうなの?」

 リカに頷く。

 おれもオルティアから聞いた話だから知ったばかりだけど、先生口調でオルティアが話してたんだから、正しいはずだ。

 オロスがうろたえる反応も、それが正しいと証明してる。

「……だれか! だれかある」

 オロスは歯ぎしりした後、大声で叫んだ。

 直後、兵士がぞろぞろ入ってきた。

「女王殿下に害をなす不届き者だ。引っ捕らえよ」

 オロスが命令すると、兵士が敵意を向けてきた。

「待ちなさい。カケル――ユウキ男爵はわたしに害なんて――」

「やれ」

 リカの言葉は届かない、兵士はオロスの命令だけを聞いている。

 おれは突進してくる兵士を蹴り飛ばした。

「女王の命令を聞かないのか」

「……命令は、立場と実行する力の両方がないといけないから」

 リカは口惜しげにいった。実感がこもってる。

 これまでさんざん、実行する力がないがために捕らわれてきた実感がこもってる。

「つまり力があればいいのか?」

「え?」

「エレノア、ひかり」

 腰から二振りの魔剣を抜いた。

 オロスの命令で攻撃してくる兵士を次々と切り捨てた。

「これくらいの力があれば足りるか?」

「それは……」

「まあ、お前の命令に背く人間を片っ端からきって、背けないようにすれば良いだけのことか」

 リカがいう実行する力がどんなものなのかわからないけど、とりあえずおれの力をしめそう。

 リカの――女王の力、男爵の力をしめそう。

「であえ! であえ!!!」

 兵士をあらかた片付けると、オロスが更に叫んだ。声が切羽詰まってきた。

 兵士が更になだれ込んでくる。

「奴らを捕らえろ」

 そう言い捨てて、オロスは外に逃げ出した。

 ワープで追いかけようとしたけど、リカを気にしてる隙にヤツはおれが言った事のない方向に逃げていった。

 徒歩で追いかけるしかない。

「リカ、とりあえずお前をおれの屋敷に逃がす」

「……いいえ、わたしも一緒に」

 決意した目でリカが言う。

「一緒に?」

「ええ、一緒に」

「……はい」

 頷くリカ。

 よく見ると手が震えて、歯を食いしばってる。

 山ウシの時の反応と似てる、血を見て怖がってる様子だ。

 でも顔は、目はまっすぐをおれを見てる。

 決意した人間の目だ。

「わかった。なら、リカはおれの前を歩け」

「カケルの前?」

「斜め前でもいい、とにかくおれの一歩前だ。お前の意思でここに残って、オロスを追いかけるんだろ」

「うん!」

(それは危険ではないのか)

 脳内でエレノアが言ってきた。確かに、リカを前に出すのは危険。

 普通に考えればおれが前に立って、道を文字通り切り開いていった方が正しい。

 だが。

「なあに」

 おれはエレノアとひかりを構えて、不敵に笑った。

 兵士に動揺が見える。

「全員斬ればいいだけだ」

 そう、全員斬ればいい。

 決意をしたリカ。自分で答えにたどりついたリカの道、それを邪魔する奴らは切り捨てるだけ。

 リカがおれの前に進み出た。

「普通に歩けばいい。足を止める必要もない」

「はい」

 しっかりと頷くリカ。顔に迷いは無い、おれへの信頼が見て取れる。

 リカが歩き出した。おれは一緒について行った。

 二振りの魔剣をふるい、道を開く。

 襲いかかってくる兵士を最短の手順を切り捨てて、道を確保する。

 リカは進み続けた。一秒たりとも立ち止まらず進み続けた。

 最初は強かった抵抗が、徐々に弱まってくる。

「女王陛下……」

 リカが先頭に立っているからだ。

 自分の意思で先頭を歩く女王、それにつきしたがうおれ

 攻撃をためらうのは理解できる。

 抵抗が少なくなっていき、やがてほとんどなくなった。

 リカは悠然と、宮殿から出た。

 すると、そこに大量の兵士が待ち構えていた。

 兵士達の間に動揺が走る。

「や、やれ」

 オロスがいう、しかし兵は動かない。戸惑っているのが明らかだ。

 おれは一歩前に出た。

 二振りの魔剣を構えて、全身に黒いオーラを威嚇用に纏わせて。

「女王陛下。こいつらも全員斬ればいいのか」

 わざとらしい口調で、「も」を強調していった。

 リカは賢い、きっとこっちの意図に気づく。

「ええ、降伏しない者はすべて切り捨てなさい」

 と言った。

 瞬間、兵士達が次々と降伏しだした。

 力の差はあきらか、更にそれを持つのはこの国の女王。

 降伏は、当たり前の流れだった。

     ☆

「スクネリスもラロウカも捕まえた。ラロウカってヤツは屋敷に踏み込んだ時家族も使用人も捨てて逃げようとしたけど、追いかけてとっ捕まえた」

 玉座の間。

 玉座に座るリカと報告するおれ。

 前と違って、部屋の中も衛兵が立っている。

「後は何をすればいい?」

「わたしにもよく分からない。これから学ばないと」

「なら、学ぶ時はおれの屋敷にくるといい。あそこにはオルティアがいる、知識ならいくらでも教えてやれる」

「大賢者オルティアが……それ本当にできるのなら」

 リカは目を輝かせた。

「話はつけておく」

 おれの精気と引き替えにって言えば多分いける。吸われすぎてオルティアとやれないけど、話を聞く限りオルティアもおれの精気がないと困るはずだ。

 美味しいものを食べられなくなってまずいもので腹を膨らませるしかない、位には困るはずだから大丈夫だ。

「本当に……本当にカケルにはなんとお礼をしたら。わたしにできる事はある?」

「あるぞ」

「それはなに? なんでも言って」

 リカは目を輝かせておれを見た。

 おれはまわりの兵士をちらっと見た。

 賢い彼女は、それで理解した。

「下がっていなさい」

 そう命じると、前とは違って、兵達は女王の命令に従った。

 二人きりになって、彼女は言った。

 ちょっとだけ、不安そうに。

「わたしでいいの?」

 賢い彼女は、二つ先まで理解していた。

 兵を下がらせたいのと、下がらせた意味。

 その上で、瞳が期待している。

 おれはますます、そんな彼女がほしくなった。

 だから、宣言する。

「お前がほしい」
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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