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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

カランバ王国編

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49.五爵のカケル

 その日は朝からてんやわんやだった。

 そして、一番大変なのはミウだった。

「ご主人様、今度はアイギナ王国の人が来ました」

 慌てたようすで、ミウがおれの部屋に飛び込んできた。

「アイギナ王国? さっきのシラクーザ王国とは違うのか?」

(名前からして違うだろうに)

 エレノアが突っ込んだ。ミウにもう一回聞いた。

「そのアイギナ王国の人はなんの用か聞いたか?」

「いえ! でもアイギナ王国の人と玄関の近くで会っちゃって、なんかパチパチしてます」

「パチパチ……仲が悪いのか。わかった、とりあえず――」

「主」

 今度はナナが入ってきた。

「カランバ王国とコモトリア王国の使者と名乗るものが来ているのだがどうする?」

「また!?」

 一体何が起きてるんだ?

 シラクーザ、アイギナ、カランバ、コモトリア。

 王国の使者って名乗る人間がこれで四組来てることになる。

「そろったようね」

 今度はオルティアが部屋に入ってきた。

 今日は精気を与えてないから、彼女は顔を隠すフードをかぶったままだ。

「そろったってどういう事?」

「行けばわかるわ」

「……全部オルティアの仕業か?」

 シラクーザの話は聞いた。更に「揃った」って言われるとそうとしかか考えられない。

「行きなさい」

 なんか命令口調で言われた、クラスの担任に言われたような気分になった。

 確かにここで考えてても仕方ない。

 おれは部屋を出た。オルティア、ナナ、ミウが後ろについてきた。

 ロビーに来ると、いかにも偉そうな中年男が四人と、その部下らしい男達が後ろに立っていた。

 かなり広いロビーなのに、そいつらのせいでぎゅうぎゅう詰めになって、微妙に息苦しい。

 開演前に満員になったライブハウスみたいだ。

「カケル・ユウキ殿とお見受けする」

 中年男の一人がおれにいった。

「ああ」

「アイギナ王国国王、イオン・ヘラクレス・アイギナ陛下の命によって参りました」

「はあ」

 なんかすごい大げさな名前が出てきた。

「アイギナ王の名において、カケル・ユウキ殿に男爵位を授けるものとする。謹んで受けられよ」

 中年男が言うと、その後ろの部下が前に出た。

 トレイを持っていて、その上に装飾のついた短剣が置かれてる。

 装飾の真ん中に見た事のない紋章がある。

 おれが腰のあたりにずっとさしてるヘレネーの扇子と同じように、アイギナの紋章とかそういうのなんだろう。

 えっと……それをもらって男爵になる? ってことか? なら――。

(男爵はシラクーザ王国ではないのか)

 エレノアが言った。そういえばそうだった。

 オルティアから聞いた話は「シラクーザから男爵をもらってきた」っていうものだ。

 ならアイギナはなんだ? そもそも――。

「待たれよ。リカ・カランバ女王陛下の御名において、ユウキ殿をカランバ王国三等男爵に任命する」

「かび臭い歴史しか持たない国は引っ込んでいてもらおう。コモトリア王国はユウキ様に男爵位、及び領地を用意した。さあユウキ様。これを」

 男たちが次々に言ってきた。そして何かアイテムを持ち出してきておれに受け取れと迫る。

 言ってる事、やってる事は全員同じだ。

 王の命令で来た、おれに男爵をくれる、他の国はすっこんでろ。

 全員がそんな感じで、にらみ合いをはじめてしまう始末。

 おれはオルティアに聞いた。

「これはお前の仕業か」

「そう」

「シラクーザだけじゃなかったのか」

「シラクーザが一番近くて、返事が早かっただけ。とりあえずわたしが爵位をもらえそうな所から全部もらってきた」

「だからそんな三時のおやつみたいに気軽に言わないでくれ」

 おれはため息をついた。

 後ろでミウがあわあわしていた。

「ご、ご主人様。全部もらうんですか、それ」

「うん? もらっていいのかオルティア」

「もらっておきなさい」

 また先生口調だ。

 まあでも、もらえるものならもらうけど。

「あわわわわ、ち、違う国で同時に男爵様になる人聞いたことがないです」

 ますますアワアワしてしまうミウ。

 よく考えれば確かにそうだ。今目の前でパチパチやられてるし、多分敵対してる国もあるだろう。

 多分同時にもらうと、アメリカとロシアで同時に将軍になるとかそういう事になるんじゃないかな。

 本当にそれはいいのか? っておもった。

 それを見透かしたかのように、オルティアが前に出た。

「ちょっといい?」

「だれだ」

 男の一人が声を荒げて聞いた。他の男達もオルティアを睨んだ。

 オルティアは平然となお乗った。

「オルティア」

 すると、全員が血相を変えた。あれだけ気が立ってたのに、全員がへこへこしだした。

「オルティア様でしたか!」

「大変失礼いたしました!」

「全員、ご苦労。任務は果たしたと帰って報告するといいわ」

「も、もしかして、全て受けられるのですか」

「ええ」

「それは前代未聞ですぞ。一人の人間が五大国のうちの四カ国に爵位を持つなど」

「あなた、カランバのものね」

「はい。二等男爵のデュカと申します」

 なんかかなりエライ人だったけど、オルティアにびしっと「気をつけ」をした。

「文句あるなら回れ右で帰っていいわ」

「そ、それは――」

 デュカ男爵は困り果てた顔をした。きっと、このまま持って帰れない事情があるんだろう。

 というかその事情ってオルティアなんだろうな。

 デュカ男爵が困ってる他の使者達も同じように困ってた。

 そうしているうちに、また人がやってきた。

 今度は顔見知りだ。姫ドレスを着たヘレネーとイリスの姉妹が部下達をぞろぞろ引き連れてきた。

「ヘレネー・テレシア・メルクーリと申します」

「イリス・テレシア・メルクーリだ」

 二人はおれに向かって、他人行儀な口調で言ってきた。

 すると、今までいた使者達がざわざわした。

「ヘレネーにイリスだって?」

「テレシアの双花ではないか」

「内外の重鎮が同時に姿を見せるだと?」

「まさかメルクーリも?」

 当たり前の驚きをしているそいつらをまったく無視して、ヘレネーが言った。

「カケル様」

「うん?」

「キリル及びカノーの乱の平定、レッドドラゴン・オリビアの討伐、ならびに貨幣制定の提案。以上の功績をたたえて、カケル様に侯爵位をさずけたいと考えます。受けていただけますか」

「ああ、もらう」

 おれは即答した。

 他の四カ国は知らない連中だし、身に覚えのないことだったけど、ヘレネーとイリスのそれは全部おれがやったことで、その上ヘレネーはおれの女だ。

 受けない理由がない。

「侯爵……」

「そうきたか」

「おのれメルクーリ」

 後ろでなんがグチグチいってるけど、面倒くさいから無視した。

     ☆

「えええええ? 五つの国の男爵様になったんですか?」

 次の日、仕事のノルマで同行したイオに昨日の事を話すと、思いっきり驚かれた。

「正確には侯爵1つと、男爵4つだな。メルクーリ、ヘレネーの所だけワンランク上の爵位をくれたんだ」

「ぜ、全部なったんですか」

「ああ」

「信じられない……そんなの聞いたことない」

 死ぬほどビックリするイオ。まあそうなるよな。

 昨日あれから色々話を聞いてみると、あそこに来たのはいわゆる五大国って呼ばれる人達で、国の間の関係は決して良くない。

 それ所かカランバとコモトリアは戦争の真っ最中らしい。

「確かに前代未聞とか言われたな」

「そうですよ、そんなのあり得ないですよ……すごいです」

「あり得ないのはわかるけど、そんなにすごいのか」

「はい! だって歴史上そんな人いなかったはずですから!」

「なるほど」

 歴史上誰もやったことのないこと。初めての人間。

 そう聞くと悪い気はしないな。

 おれは少し考えて、きいた。

「なあイオ、こういう爵位って一番上はなんになるんだ?」

「えっと、公爵様、かな?」

「公爵か」

「それがどうしたんですか?」

「いや、全部の国で公爵になるのを目指してみるのもいいかもしれないな、って思っただけ」

 いうと、イオは一瞬だけ死ぬほどビックリしたけど、すぐにいつもの調子に戻った。

「カケルさんならできると思います!」

 期待と尊敬の目でおれをみた。

 その目は気持ち良かった。

 侯爵1と男爵4を、全部公爵にするのか。

 いいかもな、それ。

 だとしたら、どこからやるか。

 昨日のやりとりを思い出して、おれは「リカ・カランバ女王」と言うのを思い出した。

 まずは女王からだな。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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