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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

くじ引きの異世界編

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4.メイドさん発注

 夜、おれは一人で屋敷に来た。
 普通はこういう時不動産屋が案内してくれるものだろうと思ったけど、サラマス商会の店主は、

「雑事は全てお任せを」

 と言って、一緒に来なかった。
 何があるんだ? って聞くと、契約の作成とか、役所に登録とか、足りない家具の手配とか、そういうのを、微妙に早口でまくし立てた。
 そういうのは後で良いんじゃない? って言うと今度は。

「少しでも早く快適に過ごせるようにして頂くのがわれわれのモットーですから」

 とそれっぽい事をいった。
 まあ、早い話が逃げたんだ。よほどこの屋敷の事が怖いんだろうな、と思った。

 もらった鍵を使って、敷地を隔てる柵を通って、屋敷のドアを空けて中に入った。
 持たされたランプを使って、屋敷のランプを次々とともしながら、部屋を一つずつ確認していく。
 居間や応接間、寝室など様々な部屋が二十を超える大きな屋敷だった。
 生活感はないけど、家具は一通り揃っている。

「やっぱり逃げたんだ」

 おかしさが込み上がってきた。少なくとも家具の手配はほとんど必要のない状況で、これだけ揃っている状況を、あの商売人が把握してないはずがない。
 クスクスと笑いながら、じゅうたんが敷き詰められた階段を上って二階に上がる。バルコニーがあったので、外に出てみた。
 街の外れにあるだけに、そこからは夜の街が一望できた。

 街の中心にまばらについている灯火、それはそれで綺麗で、同時に、いま立っている場所のランクの高さを実感させられる。
 元が高い物件だけあって、こういう景色も計算に入れてあったんだろう。
 気分が良かった。
 この夜、おれはたっぷりと夜景を見た後、一番立派な寝室で休んだ。
 ベッドが広すぎたせいか、ちょっと寝苦しかった(、、、、、、)けど、そんなに気にはならなかった。

     ☆

 次の日、山ウシを一頭狩ってノルマを達成させると、おれは街中をぶらついた。
 もっと稼げるけど、せっかく屋敷を手に入れたんだから、色々と充実させたい。
 家具もちょこちょこ取り替えたいものもあるし、実際に日常で使うものも揃えたい。
 例えば寝苦しかったから、枕と布団は変えたい。
 そういうのは色々あるけど、それよりも何よりも大事なものがある。

「メイドを雇いたい」

 サラマス商会に来て、心配そうな顔をする店主にそう言った。

「メイド、でございますか」
「うん、メイド。あんな屋敷を一人で維持するのは不可能だ」
「成程、そういうことでしたか」
「……幽霊屋敷のこと、そんなに怖いのか?」
「そんな事はありませんとも」

 サラマスはちょっと慌てて、それから咳払いして、言った。

「当商会で都合して差し上げましょう。考えてみればそうですな、あれほどの屋敷に住まわれる方が、メイドの一人もいなくては格好がつかないというものでしょう」
「それも取り扱ってるのか?」
「無論でございます」

 サラマスはちょっと自慢げに言った。
 さっきの様子との落差でちょっとおかしかったので、からかうことにした。

「幽霊屋敷に来てくれるメイドなんているのか?」
「それに関してはご心配頂くに及びません」

 サラマスは真顔で言った、期待してた反応じゃなかった、おれは「お?」ってなった。

「どのような家でも……例えば殺人鬼の家だろうと、給金さえいただければ仕事に参上するものがございます」
「へえ、なるほどね。じゃあまあ大丈夫って事か」
「左様でございます。して、どのようなメイドをご所望なのでしょう」
「どのようなって……そうだな」

 おれは考えた。
 屋敷を手に入れたらメイド! っていうのだけ決めてサラマス商会に来たけど、どんなメイドがいいのかなんてまったく考えてなかった。
 メイドのって言えば、やっぱり出来るメイドと、出来ないメイドだよな。

 ……。
 ロングスカートで仕事をきっちりこなす鉄面皮メイド。
 ミニスカートで失敗ばっかりして感情が忙しいドジッ娘メイド。
 どっちがいいんだろうな。

「……仕事がちゃんと出来るメイド、かな」
「なるほど。将来的にメイド長も担える人材が適任ですな」
「メイド長か、うん、そういう感じだ」

 想像して、ちょっとワクワクした。
 メイド達を指揮するメイド長。
 そのメイド長を使うおれ。
 すっごいワクワクする。

「では、そういう方向で探しましょう。最後に」
「うん」
「奴隷メイドと、出自が普通のメイド。どちらがよろしいでしょう」
「奴隷で」

 おれは即答した。
 そこは当たり前で、譲れない所だ。

     ☆

「まさか奴隷が普通にいるとは……いやでもそういうもんか」

 昼間の街中をぶらつきながら、サラマスの最後の質問を反芻した。
 あの後、おれは店を出た。さすがに人間はすぐには用意できないって事で、探しておくから明日また来てくれ、っていう事になった。

 これでメイドの話は何とかなった。
 さて次は何をしようかって考えた時、腹の虫がなった。
 おれは適当に近くの店に入った。
 街角にある食堂の様な場所で、そこそこ繁盛している店だ。

「いらっしゃいませ、プロス亭へようこそ」

 出迎えたのはズキンとエプロンの格好をした若い女の人だ。
 この店のウェイトレス、いや看板娘なんだろう。

「何にいたしますか?」
「あー、えっと」

 おれは店の中を見た。
 メニューがあったけど、見てもちんぷんかんぷんだった。

「よく分からないけど、おすすめみたいなのはある?」
「お客さん旅の人ですか?」
「似たようなもんかな? ここに来たばかりで、しばらくここに住もうかなって考えてる」
「そうだったんですね。じゃあ山ウシの焼きめしなんてどうですか? この街の名産山ウシとご飯を香ばしく焼いた、うちの人気メニューなんです。普段なら限定5食ですが、今日は多めにできました」

「なんで多めに出来たの?」
「なんでも凄腕の狩人さんが現われたみたいなんですよ。それで共有が安定するし、値段もちょっと下がるみたいっていう話です。ありがたいですよね」
「へー、そうだったんだ」

 ちょっとこそばゆかった。多分それはおれの事だけど、そういう風に言われると、面と向かって言われるのよりこそばゆかった。

「じゃあそれで」

 おれは勧められたのをそのまま注文した。
 そういえば山ウシ狩りで大分稼いだけど、肝心のそれは一度も食べた事がなかった事に気づいた。

「はい、山ウシの焼きめしですね」
「あっ、大盛りで」
「はい、大盛りで」

 女の人は明るい笑顔を残して、店の奥に戻っていった。
 ちょっとして、皿いっぱいにもった焼きめしを持って戻ってきた。

「お待たせしました」
「おお、すっごい美味しそう。あっ、そういえば値段は?」
「銅貨十枚です」
「えっと、これだと?」

 銅貨なんてものは持ってないから、銀貨を一枚取り出して、テーブルの上に置く。
 すると女の人が困った顔をした。

「銀貨ですか、うーんと」
「足りなかったですか?」
「いえいえ。逆です。足りますけど、こっちのおつりが足りるかなあ、って」
「おつりが足りるかな? ああ」

 小銭が足りないって意味なんだろう。コンビニとか行くとたまにそういうことがあるよな。

「えっと、じゃあこれで余った分を、他にも色々おすすめ持ってきて下さい」
「いいんですか?」
「美味しいものを」

 そう言うと、女の人がまた明るく笑って、銀貨を取って、また店の奥に戻っていった。
 おれは焼きめしを食べた。

「おお! うめえ!」

 おすすめだけあって、それはすごく美味しかった。
 なんだか懐かしい味で、食堂、いや家庭的な味だ。
 かと思えば使ってる山ウシの肉はすごくやわらかくジューシーで、噛んだ瞬間、飛び出た肉汁が一気に口の中に旨みで埋め尽くした。
 おれはがつがつくった。すごく美味くて、大盛りの焼きめしをアッという間に平らげた。
 それで一息ついて、さて次はなんのおすすめが来るんだろう、こんなに美味いんなら山ウシの何かを単品で頼もう。
 そんな事を思っていた時だった。

「これ以上この街で銅貨を集めるのは危険だぜ」

 強化された聴覚が捕らえた不審な言葉。
 さっきのおつりの話と合わせて、おれはそっちに意識をとられた。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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