挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

カランバ王国編

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

46/288

45.うわさと流行り

 山ウシを一頭、素手で仕留めた。

 日課のノルマについてきたイオが不思議そうに聞いてくる。

「カケルさん、エレノアさんはどうしたんですか?」

「ひかりがまだ寝てたからおいてきた。いまごろ親子水入らずで過ごしてるんだろ」

「はあ……大丈夫なんですか?」

「うん?」

「その、武器がなくても大丈夫なんですか」

 ちょっと考えて、わかった。

 そういえばイオと出会った時にはもうエレノアを持ってたんだっけ。

 あれから戦うときは全部エレノアを持ってて、イオが一番「すごい」って言ってるオリクトを粉々にし続けるのもエレノアでやってる。

 山ウシは最初の頃素手で倒してたけど、イオはそれをしらないんだ。

「オリクトはさすがに素手じゃ無理だから、今日は頼むよ」

「――はい!」

     ☆

 山ウシとオリクダイト、両方を納品して、イオともわかれて、街中をぶらついた。

 適当に歩いてると、様子がちょっとおかしい事に気づく。

 いやおかしいと言うのもちょっと違う、妙に活気があるんだ。

 活気があって、そういえば前よりちょっと街の人が増えてる気がする。

 なんか祭りでもあるのか?」

「きゃあ!」

 横から誰かにぶつけられた。女の子の声だ。

 相手が倒れて尻餅つきそうになったから、手を掴んで引き留める。

「大丈夫か――ってマリじゃないか」

「え? あ、カケルさん」

「どうしんだそんなに急いで、それにその荷物」

 マリは大きな袋を持ってて、中に食材が入ってる。

「お店の食材がなくなったから買い出してるんです」

「なくなった? こんな早い時間から?」

 なんとなく空を見上げる、日はまだ高い。

「はい。最近街に人が増えたんです。他の街から引っ越してきた人が多くて。それでお客さんも増えて、たまにこんな事に」

「そうなんだ。繁盛してるね」

「ありがとうございます!」

「今度まだたべに行くよ」

「はい! 待ってます」

 マリに手を振って見送って、改めてまわりを見る。

 人が増えたって感じたのはそういうことなのか。

 でもなんでだ? 飲食店の品切れが早くなったり、おれでもパッと見てわかるくらい人が増えるって事はよくあるのか?

 それが気になった。

     ☆

「それはユウキ様のおかげでございます」

 サラマス商会に来て、サラマスに話を振ってみたらそんな風に言われた。

「おれのおかげ?」

「ええ、このロイゼーン、最近別の名前で呼ばれている事はご存じかな。魔剣使いの街、と」

「……おれの?」

「左様でございます。魔剣のようなものを持つ英雄が住む街、何かがあればそのものが守ってくれる街。キリルの乱、オリビアの悲劇。立て続けに起きた事件で、今やこのロイゼーンがもっとも安全だという噂が広まっているのです」

「へえ」

 魔剣の様なものっていう言い方に引っかかったけど。

「それってどれくらいの噂になってるの?」

「そうですな」

 サラマスはちょっと考えて、言った。

「一つ先の通りに大きな武器屋がございます、そこに足を運んでみるのをおすすめします」

「武器屋?」

 なんでここで武器屋?

 不思議に思ったけど、とりあえず言ってみることにした。

 サラマス商会を出て、賑やかになった街を歩く。

 前の散歩での記憶をたどって、サラマスに言われた武器屋につく。

 中に入ると――ビックリした。

「いらっしゃいませ、お客さんはじめて?」

 女店員が営業スマイルでおれを出迎えた。

「そうなんですか。今日はどんなものをお探しで? うちはメジャーな武器なら大抵揃えてますよ」

「それよりも……あれ」

 おれが指さした先、武器屋の壁に同じ武器が大量に陳列されてる。

 それは一言で言えば、エレノア。

 エレノアとまったく同じ見た目の剣が大量にあった。

「ああ、お客さんも魔剣レプリカをお求めですか?」

「魔剣レプリカ?」

「お? そこで疑問に思うって事は? お客さん最近街に来た人だね」

「……どういうことなんだ?」

「この街が最近魔剣使いの街って呼ばれてるのはご存じ? その魔剣使いが使ってる魔剣と同じもの、魔剣のレプリカが最近飛ぶように売れるんですよ」

「売れるのか!? それも飛ぶように」

「売れますね。ぶっちゃけ魔剣のレプリカ一つで、その他の武器の売り上げ全部と同じくらいですから」

「マジかよ……」

 絶句した。まさかそんな事になってるとは思わなかった。

「お客さんも一本行っときます? まだまだ売れてるんで、そのうち品切れになって買いにくくなりますよ?」

「……」

 ますます、なんと言っていいのかわからなくなった。

     ☆

 武器屋を出て、更に街中をぶらついた。

 そういう視線で改めてよくみると、確かに、たまにエレノアっぽいのを腰に下げてる剣士がいる。

 腰だけじゃない、これ見よがしに肩に担いでるのもいる。

 造詣があきらかに「魔剣」って感じのを持ってても、誰も何も言わない。おおっぴらに担いでても、誰もそれを不思議に思わない。

「……いつのまにこんなことになってたんだ」

 つぶやく。

 同時に、ちょっとむずがゆくなった。

 知らない所で噂になってるって言われたときよりも、今回は遙かにむずがゆかった。

「お母さん! おれも魔剣がほしい」

「剣は危ないから、大人になってから」

 目の前を通り過ぎていった親子の会話でますますむずがゆくなった。

 これは……あれだな、そのうちエレノアの模造刀、おもちゃのエレノアが売りに出されるんじゃないのか?

「……いや」

 おれは街中を早足で回った。おもちゃ屋とか、雑貨店とかそう言う所を重点的に回った。

 もしかして既にあるのかも知れない。この様子だと目をつけたどこかの商人が作り出して売ってるかもしれない。

 そう思って回ってみた、街の隅っこの人気のない所まできたけど、どこにもおもちゃ的なエレノアはなかった。

 変な気持ちになったけど、ちょっとだけほっとした。

 さすがにおもちゃにまでなってたらどんな顔をしていいのかわからないからな。

「そろそろ帰るか」

 今日の事をみんなに話してやろう。エレノアをいじるいい話の種になる。

 いや、一本くらい買って帰るのもいいかもしれない。外見はエレノアそっくりだから、ひかりが喜ぶかもしれない。

 そう思って、武器屋に向かおうとした、その時。

「魔剣使いだな」

 背後から低い声が聞こえて、首筋に刃を当てられた。

 いきなりの事におれは一瞬きょとんとした。

 目だけを動かして、確認する。

 まわりに人気はない……殺気を放ってる男達五人をのぞいて。

「だれだ?」

「お前を恨んでる多くの人間、そのうちの一人だ」

「……おれをどうするつもりだ?」

「愚問。ここで切り捨てる」

 男は低い、怨念混じりの口調でいった。

「この時を待っていたぞ。貴様を殺せるこの時を、貴様の手元に魔剣がない時を」

「……」

「頼みの綱がない気分はどうだ? 怖いか? 悔しいか? それを我らは――」

 ワープの羽を使った。

 首筋に刃を突きつけられた状態から、五メートル離れた誰もいない場所にワープする。

 男達を見た。全員驚愕している。

「わるいけど。別に魔剣持ってるから強いって訳じゃないんだ」

「くっ……」

「さあ、かかって来いよ」

「ひ、引け!」

 男達は全員逃げ出した。――が逃がさない。

 ワープを駆使して追いついて、確実に仕留める。

 逃すと、今度は女達に矛先が向かうかもしれないしな。

「ば、化け物め……」

 男の一人が最後にそうつぶやいたが、ほめことばとして受け取っといた。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ