挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

魔剣ひかり編

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

43/288

42.結城ひかり、ゼロ歳です

「結城ひかり、ゼロ歳です」

 朝、屋敷の食堂。

 デルフィナとナナ、そしてミウに向かって、ひかりが礼儀正しく挨拶した。

 朝起きたらいきなり幼女がいる事に全員がビックリしてる。

「ユウキ……ということは、ユウキ様?」

 デルフィナがおれを見る。まさかって顔をしてる。

「ああ、おれの娘だ」

 全員が「えええええ」と声を揃える。

「ご、ご息女がいらっしゃったんですか?」

「昨日できた」

「え?」

「なるほど、養女か」

 ナナが冷静に言った。デルフィナもミウも納得する。

 まあ、確かにこれくらい大きい子供を「昨日できた」なんて言ったらそんな結論になるわな。

「それでご主人様、えっと……ひかり様、のお母様は?」

「こいつ」

 エレノアを掲げる。

「え?」

「こいつが母親」

 全員が変な顔をした。何言ったんだこいつはって顔だ。

 デルフィナに至ってはかわいそうな人を見るような目をしてる。

「ひかり」

「なに、おとーさん」

「剣になってくれ」

「うん、わかった!」

 ひかりは言われたとおり魔剣の姿になった。

 目の前で幼女が魔剣に変わっていく光景を目にした三人はますます驚く。

 その横にエレノアを並べる。

 まったく同じ見た目の、サイズ違いの二振りの魔剣。

「これで信じてもらえた?」

 聞くが、全員は答えない、あっけにとられたままだ。

 しばらくして、ようやくデルフィナが一番最初に我に返った。

「さ、さすがにこれは予想外でしたわ。いずれ何か大きな事をなさる方だとは思っていましたけど、まさか魔剣を孕ますなど……予想の斜め上過ぎますわ」

 それはおれも同感。

 まさかエレノアを孕ませるとは思いもしなかった。

「さすがご主人様です」

「うむ、それでこそ我が主に相応しい」

「ところで、ひかり様も同じように、ユウキ様にしかもてないのでしょうか」

「ああ、それはどうなんだろ。持ってみるか?」

「えっと……」

 苦い経験があるデルフィナは迷った。

「おれがいるから」

「……では」

 何かを思い出したのか、赤い顔でひかりに手を伸ばした。

 おそるおそる手を触れて、持ち上げようとするが――。

「お、重いですわ」

「おもい?」

「は、ちっとも持ち上がりませんの」

「わたしがやってみる」

 ナナはそういって、同じようにひかりを持ち上げようとした。

 が、びくりともしない。ひかりはまるで根を下ろしたかのようにびくりともしない。

「重すぎる! なんて重さだ」

「そうか?」

 代わりにひかりを持った。別に重いという事もなく、ほぼ見た目通りの重量だ。

「ユウキ様にしかもてないようですわね」

「そうみたいだな」

 まあ、それはそれでいい。もとよりひかりを他の人間に持たせる事は考えてない、実際持てないのなら好都合だ。

 ひかりは人間に戻った。

 そしてもう一度、「よろしくお願いします」と愛らしく挨拶した。

 それを見た三人は。

「ユウキ様、後ほどひかり様をお借りしてもよろしいでしょうか。せっかくの女の子、採寸して可愛らしい服を用意いたしますわ」

「お、おかしつくります。ひかり様は甘いもの好きですか?」

「わたしは……むむ困った、子供は何をすれば喜ぶんだ?」

 三人はひかりを甘やかすつもりだ。

 傍目からみてもわかるくらい目尻が下がってる。

 まあ、気持ちはわかる。

 ひかりは世界一かわいいからな。

     ☆

 くじ引き所。

 エレノアが部屋の隅で体育座りしている。膝を抱えてなんかぶつぶついってる。

「無理矢理孕まされた……母親……この歳で母親……」

 どの歳だよ! おまえ確か数百年生きてるって最初の時言ってなかったっけ。

 むしろ超高齢出産だろうが、お前の場合。

 そのぶつぶつ言ってるエレノアの横で、ひかりがおそるおそる、様子をうかがうようにして立っている。

 なんだろう、って思ってると。

「あの……おかーさん、ですか?」

 一瞬、ん? って思ったけど、そういえばひかりがエレノアの人間バージョンを見たのははじめてだなって思い出す。

 顔を上げるエレノア、すごく複雑な表情だ。

「ひかり。お母さんにだっこしてもらえ」

「――うん!」

 おれのお墨付きを得て、ひかりは大喜びでエレノアに抱きついた。

 ぶっちゃけ背格好が同じくらいの幼女二人、母娘ってよりは幼稚園児の友達同士に見える。

「な、何をする」

「おかーさん」

「うっ……」

 抱きつかれて、呼ばれて、エレノアは言葉に詰まった。

 困ってるけど、嫌がってはない、そんな感じだ。

「お前ら本当母娘だよな、見た目そっくりだもん」

「うん! おかーさんそっくり!」

 ひかりは無邪気に笑う。

 それにほだされたのか、エレノアの顔がみるみるうちにほころんでく。

 抱きついてくるひかりの頭を撫でると、ひかりはより抱きついて、母親に甘えた。それでエレノアがより穏やかな顔で、ひかりを撫でる。

 幸せの循環。そんな言葉が頭に浮かんだ。

「あの……」

 スタッフが呆れた声をだす。うん、ずっといたんだよな。

「何がなんだかわかりませんけど、規格外の家族団らんを持ち込まないでくれませんか」

「すまんすまん」

 軽く謝って、テーブルの方に向かっていく。

「はい、では改めまして。いらっしゃいお客さん」

「ところで聞きたいんだが、抽選器が二つになってないか」

 普段通りに戻ったスタッフに聞く。テーブルの上の抽選器が二つになってる。

 一つは期間限定じゃなくなった、何回も引いたことのある抽選器。

 もう一つはそれよりちょっと質素な感じの抽選器。

「はい、あたらしいくじ引きはじめました」

 冷やし中華みたいだな。

「これも期間限定か?」

「いえ、こっちは常設です。ただしちょっと引き方が違います」

「うん?」

「毎日一回、ここにくる度に抽選する権利を一つあげます。それをすぐに引いても良いですし、溜めてまとめて引いても良いです」

「ここに来るだけでいいのか」

「はい。ただしお客さん自身に来ていただかないとだめです」

 ログインボーナスみたいなもんだな。

「で、景品は? どこにも書いてないみたいだけど」

「こっちはただで引けるので、ささやかなアイテム類です。書いてないのは出た時のお楽しみって事で」

「なるほど」

「ちなみにこっちの外れ、参加賞は銀貨一枚です」

「まさしく外れだな」

「ではどうしますか? 現在の回数は一回、引いていきますか?」

「そうだな」

 おれは少し考えた。

 一回だけ引いてみるのも悪くないけど、溜めて一気に引くのもありだ。

 さてどうしようか。

「おとーさん、これってなに?」

 ひかりがてくてくやってきた。

「うん? ああくじ引きっていうんだ。これを回すと、出てきたものでプレゼントをもらえるんだ」

「ぷっ」

 後ろにいるエレノアが吹き出した。

「なんだ」

「プレゼントって……微妙に言い回しを変えたな」

「むっ」

「さっきも我の事をお母さん、といったな」

 指摘されてちょっと恥ずかしかった。

 なんでだろう、ひかりと話すときに使うことばって、微妙に視点が変わってしまう。

 なんだろこれ。

 ひかりは抽選器をちょっとみて、きいてきた。

「そうなんだー。……わたしが回してもプレゼントもらえる?」

「うん? ああもらえるぞ」

 使うのはおれの権利だけど、もらえるものはもらえるって前にエレノアので確かめてる。

 ひかりがわくわく顔をしてるから、聞いてみた。

「やってみるか?」

「うん!」

「そうか。じゃあ一回だけな。いいかな」

 スタッフに念の為確認する。すると、ひかりはスタッフに頭をさげた。

「おねーちゃん、お願いします」

「――」

 スタッフがちょっとうってなった。なんだ?

「……可愛い」

「え?」

「はっ、な、なんでもありません」

 スタッフは慌てて取り繕った。なんで取り繕うんだ? 可愛いって思うのは別にいいだろうに。

 それを不思議がりながらも、ひとまずおいて、ひかりにくじびきを説明する。

「ここの取っ手を持って、一周まわすんだ。で、でたものの……多分黒以外ならあたりだ」

「黒はだめなの?」

「はずれだからな。しょぼしょぼだ」」

「そっか……うん! 黒じゃないように頑張る」

 小さくガッツポーズ、可愛い。

「ちょ、ちょっと待ってください」

 スタッフが回す前にとめてきた。

「はじめてですよね、くじ引き。えっとその子」

「まあな」

 昨日生まれたばかりだからなにもかも初めてだけど。

「じゃ、じゃあ……特別に最初の一回だけかならずあたるようにします。外れ以外の何かに」

「おいおい、いいのかそれ」

「最初の一回だけ、かならず大当たりにする事もありますから」

 まあ、確かにそういうのはよくあるけど。

 最初の一回だけ当たりしかはいってない特別なくじはいろんな所でよくあるパターンだ。

 パターンだけど。うん、まあ。

 おれはスタッフを見て、それからひかりに言った。

「ひかり。お姉ちゃんにありがとうだ」

「ありがとうおねーちゃん」

 ひかりはよく分からないって顔をしたけど、言われた通り愛らしく頭を下げた。

 それでまた「可愛い」ってつぶやかれたけど、今度もスルーした。

 ひかりが取っ手を持って、わくわくした顔で回す。

 おれまでちょっとわくわくしてきた。絶
 対にあたる一回目のくじ、何があたるんだろうか。

 抽選器が一周して、ガランガランとハンドベルが鳴った。

     ☆

 昼間の草原、おれとエレノアとひかり(人型)の三人。

 ひかりの手にミニチュアサイズの家、おもちゃのような家がある。

 それを地面に置いて、おれにいう。

「おとーさん、置いたよ」

「ああ」

 おれは頷いて、くじ引きで当った魔法コテージを使うように念じた。

 するとおもちゃの家はみるみる大きくなって、普通に人が入れるサイズに大きくなった。

「わー、すごーい!」

「たしかにすごいな」

(戻せるのか)

「やってみる」

 魔法コテージを戻して、拾い上げる。

 また置いて、大きくする。

「自由自在だな」

(便利そうな道具じゃないか)

「ねえねえおとーさん、中にはいってもいい?」

「ああ」

 ひかりと一緒に中にはいった。

 コテージの中はがらんとしている。

 声もよく響く、入居前のアパートみたいな感じだ。

「わー、中もひろーい」

 ひかりがはしゃいで、ごろごろしだした。

「たしか、くじびきで専用の家具と、後部屋の増設が出来るって言ってたな」

(言ってたな。普通の家具を運び入れることも出来るが、戻す時に壊れると言ってた。服や小物類はタンスにしまえば大丈夫だとも)

「そのタンスもくじ引きか」

 派手さはないが、便利で、楽しいアイテムだ。

 くじを引いて、徐々に家具を揃えて、間取りを広げていく。

 うん、いい。

 くじ引きの楽しみがまた増えた。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ