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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

魔剣ひかり編

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40.お前も弱いんだから

 メリッサと一緒に建物の外に出た。彼女の部下はまとめて治療を受けてて、死にはしないけど、しばらくまともに動けないって言われた。

 だからか、メリッサは困った顔をしている。

「どうした」

「ううん、なんでもない」

「それがなんでもないって顔か。何があった、言え」

「……」

 メリッサの顔は「言いだしつらい」顔じゃなくて、「困ってる」顔だ。

 それを見ておれはピンと来た。今までの事を思い出して、すぐにぴんときた。

「お前、またどこかに人助けに行く予定があるんだな」

「うん」

 困った顔のまま即答した。

 おれは呆れた。

「お前、いくつそういう依頼抱えてるんだよ」

「えっと……」

「もういい」

 メリッサが指を折って数えはじめたからすぐに止めた。そんな風にして数えるくらい抱えてんのかよ。

「……次はどこだ」

「え?」

「次はどこに行くんだ? 部下が倒れて困ってたんだろ、おれが一緒に行ってやるから」

「でも……そんなの」

「い・い・か・ら」

 有無を言わさないでついていった。

     ☆

 オリュンという街で狼の群れが暴れてるから、早馬を駆って駆除にいった。

 レトスとリュカイ
 エウボイに
「うがー! いくつあるんだよ!」

「まだ……」

「指を折って数えなくていいから」

「聞いたから答えたのに……」

 数を聞いたんじゃなくてむしゃくしゃしてたんだよ。

 メリッサにつきそってあっちこっちの面倒ごとを解決していったけど、わかったことが一つ。

 こいつは本当に、無償でご奉仕をやってるんだって事。

 頼まれごとを解決して、大抵が「ありがとう」って言われてはい終わり。

 そりゃ大抵の所は貧しそうな村だったから大して報酬も期待出来ないけど、にしたってこれはひどい。

 それに何が一番ひどいかって言うと。

「えっと……つぎは……」

 エウボイの依頼を解決するなり、メリッサは懐から紙を取り出して、書かれてる内容を確認した。依頼の内容なんだろう。

 それを確認してるメリッサの顔色は悪かった。

 おれがついてたからまったく無傷だったけど、疲労まではカバーできない。

 あっちこっち移動して厄介事を解決して回ったメリッサの顔にあきらかな疲労が見える。

「おまえもう休め」

「でも、まだ――」

「ああっ、もう!」

 メリッサを連れて、ワープでおれの屋敷の寝室に飛んだ。

「こ、ここは?」

「おれの屋敷で、おれの部屋」

「えっ……」

 メリッサはおれとベッドを交互に見比べて、顔色を違う意味で変えた。

「違うわ! お前、とりあえず寝ろ!」

「えっ、でも」

「でもはいらない、いいから寝ろ」

 そう言ってメリッサをベッドの上に押し倒した。

 起きようとしたけど押し倒す、起きようとしたけどまた押し倒す。

 それを何度か繰り返してると、メリッサは起きようとしなくなった。

「もう。こんなことを……してる……ばあ……い……じゃ」

 ベッドの上に寝っ転がった状態で、メリッサのまぶたがみるみるうちに閉じていった。

 あっという間に寝息がたちはじめた。

 何もしてないのに、すぐに寝てしまった。

「ほれみろ、つかれてるんじゃないか」

 おれはあきれた。

 メリッサの懐、制服――法衣? の中をまさぐった。

(寝込みを襲うのか? さすがの鬼畜だな)

「ちがうわ! ――あった」

 メリッサがさっき確認してた紙を発見した。

 びっしりと、依頼が書き込まれている。

 おれはそれをポケットにしまった、大声で呼んだ。

「ナナ? ナナはいるか?」

 ナナはすぐに現われた。

「わたしに用か主よ」

「こいつの見張りを頼む。何があってもベッドから下ろすな、とにかく寝かせろ」

「承知した」

 ナナと寝てるメリッサを置いて部屋を出た。

 片付けられる所から片付けようと思った。

     ☆

「……あ、れ」

 メリッサがゆっくり目を覚ました。

 窓際で本を読んでたおれは立ち上がって、彼女のところに向かった。

「起きたか」

「ここは……あっ」

 直前までの事を思い出して、メリッサはぱっと起き上がった。

 顔色は大分良くなってる、動きにきれもある。

 おれは彼女が起き上がるのを止めなかった。

「わたし、どれくらい寝てたの?」

「丸一日」

「えっ?」

「丸一日寝てた。どんだけ疲れてんだよおまえ」

「丸一日って……そんな」

 メリッサの顔色が違う意味で変わった。みるみるうち青ざめた。

「依頼が……助けを待ってる人達が」

「……ほらよ」

 おれは紙を彼女の前に放り出した。

 依頼が書かれた紙で、その上におれがバッテンをつけたもの。

 書かれた依頼に、全部バッテンをつけた。

「これは……あっ」

「全部かたしといた」

「全部?」

「一日もあれば全部片付く」

「ちょ、ちょっと待って、あの中に薬の材料を獲るのがあったんだけど。アルクドを大量に倒す必要があるから、応援の討伐隊がくるのを待って後回しにしてたヤツだよ」

「あれか、あれすっごいめんどくさかったぞ。薬になるのが右側に生えてる逆位の心臓とか、10体倒してようやく見つけたぞ。山ウシより一回り強いから地味に面倒くさかった」

「地味にって……あれ、一人でするもんじゃ……」

 メリッサは信じられないって顔をした。

 おれの顔と、自分の手元にある紙を交互に見比べた。

「これ、二週間くらいかかるはずなのに。一人で……一日で?」

 なんかぶつぶつつぶやいてるメリッサ。

 こいつの事だから、その二週間ってのもどうせノンストップでやっての計画なんだろうな。

「信じられないんならあとで適当に確認するといい。お前の名前を出して全部適当に解決しといたから問題ないはずだ」

「あの……」

「うん?」

「ありがとう。こんなにしてもらって、どうやってお礼したらいいのか」

「礼なんかいらん」

「それでも……ありがとう」

 ベッドから起き上がって、しっかり立って、頭を下げた。

 パサッ。

 メリッサの懐から何かがおちた。

 ヒラヒラと舞いながら床に落ちるそれは、さっきおれが渡したものと似たような紙だった。

 メリッサは慌ててそれを拾おうとするが、おれはひったくるようにしてそれを拾った。

 一目見て、メリッサを白い目で見る。

「おまえ……まだあったのか」

「……うん」

「死ぬ気かお前」

「その、わたし死なないから」

「うがー!」

 むしゃくしゃした、なんかとんでもなくむしゃくしゃした。

「これだけか? 他にもうないのか?」

「えっ」

「今受けてる依頼これだけかって聞いてるんだ」

「うん、それだけ」

「わかった。これも片してくる」

「でも、その人達はわたしに助けを求めてきた――」

「いいから」

 メリッサにデコピンした。彼女はバランスを崩してベッドの上に尻餅ついた。

「これもやっとくから、お前はもう少し休んでろ。というかお前もおれより弱いんだから、素直におれに助けられてろ」

 メリッサは死ぬほど目を見開かせて、おれをじっと見つめた。

 やがてうつむいて、うんと頷いた。

 はあ……。

 おれは紙を握り締めて屋敷を出る。

 むしゃくしゃしたおれは、メリッサの顔が赤くなってるのに気づかなかった。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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