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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

魔剣ひかり編

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38.聖女と魔剣使い

 急いで用意してもらった黒装束とマントで体をすっぽり覆った。エレノアはマントの下に隠して、その上にただのロングソードをつけた。

 パッと見すごく怪しいけど、おれとはわからない格好でメリッサの前にでた。

「かれが?」

「クリストスといいます」

 デルフィナが紹介した。

「訳あってこんな格好で、喋ることも出来ませんが、わたくしが知る限り世界でもっとも強い戦士です」

「ふーん、やけに最強って強調するね」

「実際に戦っている所をご覧いただければ納得されますかと」

「そう」

 メリッサは反応が薄かった。

 まあそんなもんだろ、いきなり世界最強って言われて納得したらそれはそれでどうかと思う。

「わかった、借りてく。装備の方は?」

「揃っております。表に」

「そう、感謝するわ。代金は――」

「お都合のよろしい時に」

 デルフィナはそう言った。

     ☆

 メリッサと、彼女の部下十人と一緒に移動した。

 その部下はおれの屋敷に来たときと違って全員が男だけど、あの時の女の服装と似たようなデザインの鎧を着けている。

 全員が馬を乗って夜の街道をかけた。おれがヘレネーを助けに行ったときと同じくらいの急ぎ方で街道を走った。

 深夜くらいになって、小さな街につく。

「聖女様、リントスでございます」

「うん」

 メリッサと部下達が馬から下りたから、おれも降りてついていった。

 おれがついていくのを見て、メリッサはおれの方を向いて、いった。

「クリストス……だっけ?」

 だまって頷いた。声を出すとバレるから、しゃべれない設定にしたんだ。

「ついてくるのはいいけど、別に何もしなくていいから」

 メリッサの後を引き継いで、その部下が更に言った。

「その通り、むしろ我らの邪魔にならぬよう離れているがいい」

 なんか悪意を感じた。男達の目は冷たくて、敵意がビンビンだった。

 よそ者のおれが気に入らないんだろう。

 が、敵意があるのは部下達だけで。

「危なくなったらあたしのそばによっていいから」

 メリッサがいった。

 彼女がいうそれを部下達は不満そうにおれを見て、それか尊敬の眼差しでメリッサを見た。

(よそ者にも優しいなんてさすが聖女様。ってところかな)

 脳内でエレノアの声が響く。

 今の感想はおれも同感だけど……頼むからじっとしててくれ。

 今の所バレてないみたいだけど、屋敷にいたときはエレノアに「邪気」が出てるってメリッサが言ったこともある。できればじっとしてくれると助かる。

(はいはい)

 エレノアは渋々納得したって声で言った。

 おれはメリッサ達の後ろについていった。

 一行は村に入って、一番いい家……百人程度の村の一番いい家に向かった。

 そこから出てきた老人はメリッサを見て、感激した様子でひざまづいた。

「ありがとうございます、ありがとうございます。まさか聖女さま直々に来て頂けるとは。これで村は救われます」

「クロキの樹霊が大量発生してるのはどこ?」

「村の東にある森でございます」

「そこだけ? 他は」

「そこだけでございます。ただ数が……毎年出てくる数の十倍は」

「わかった。終わったら教えにくるから、それまで森に近づかないように」

「はい!」

 感激する村長をおいて、村を横断して東の森に向かった。

 クロキの樹霊って何の事かって思ったけど、森に着いた直後すぐにわかった。

 入り口に早速一匹、それがいた。

 半透明でボワって光ってて、根っこが足みたいになって移動できる木みたいなものだ。

 思わず「気持ち悪っ」って声に出しかけた。

 メリッサの部下がそれぞれ武器を――デルフィナが用意した武器を持って樹霊に襲いかかった。

 その後ろでメリッサが指を組んだ祈りのポーズをした。

 この瞬間、彼女をはじめて「聖女」っぽく感じた。

 目を閉じて祈るポーズ、夜の森で樹霊と別種類の、神々しい光を放っていた。

 メリッサの部下は十人がかりで樹霊を攻撃した。

 途中、一人が攻撃を受けた。樹霊の枝、腕みたいにしなる枝で顔を真横から殴られた。

 そいつの体が光って、メリッサの体も光った。

 メリッサの顔に赤い、ミミズ腫れのようなものが出来た。

 これって……まさか。

「心配しなくていいよ」

 メリッサがおれにいった。

「あたしは普通の人間より大分頑丈だし、治りも早いから」

 そう言ったそばから顔のミミズ腫れが引いていった。

 三十秒もしないうちに何事もなかったかのようになくなった。

 デルフィナから聞いた話を思い出す。

 七日間処刑され続けたけど、結局大丈夫だった奇跡の話。

 アレって……もしかして本当なのか?
 そう思っていたところに、メリッサの部下が更に攻撃を受けた。

 今度は首筋を払われ、メリッサの首筋が切れて血が噴き出した。

 それもすぐになおって、傷がなくなって、襟に染まった赤い血が残った。

 それは……見てて楽しいものじゃなかった。

 メリッサは気にしてないし、部下達もあまり気にしてない。彼女の「奇跡」を考えればきっと大丈夫なんだろうけど、見てていい気はしない。

 というか、こいつらは十人がかりでなにちんたらやってるんだ。

 と言ってるそばから今度は二人まとめて吹っ飛ばされた。

 二人はすぐに立ち上がってまた樹霊に飛びかかっていったけど、メリッサは大きくよろめいて、がくっとひざをついた。

 ……これって、メリッサがいなかったらこいつらもうじり貧か全滅コースじゃないのか? メリッサがいるからなんとかなってるだけで。

 そう考えたらいらついてきた。いらつくから、おれはロングソードを抜いて樹霊に飛びかかった。

 枝の腕をふっておれをなぐりつけようとした。

 ロングソードで受け止めて、そのまま切りおとした。

 なんだ、弱いじゃないか。

 手こずるかって思ったけど、予想よりも遙かに弱かった。

 弱かったから、そのまま樹霊を縦に真っ二つにした。

 かち割られた樹霊は蒸発するかのように消えていった。

「なんだいまのは」

「剣で……加持を受けていないロングソードで樹霊を斬っただと?」

「ばかな」

 メリッサの部下達が全員驚いてた。

「あんた……それどうやって」

 メリッサも同じだった。

 どうやってって、普通にぶった切っただけなんだが。

 というかちんたらやってるこいつらがむかつく。

 戦術はわかる。原理はわからないけど、ダメージを引き受けることができるメリッサを中心に、他の奴らが心おきなく攻撃する。

 特殊能力を中心に組み立てる戦術としては妥当なんだろ。

 だけどむかつく。

 しゃべれないから、おれは身振り手振りで伝える。

「この先全部任せろ……ってこと」

 頷いた。

「貴様! 我々を愚弄するか!」

 うんそうだ、って言ってやりたかった。

 無能どものせいで女が傷つくのは本当見てていらいらする。

「……お願いできる?」

「聖女様!?」

「まかせよう。村を助けることができるんなら誰がやったって一緒よ」

「でしたらなおのこと我々にお任せを」

「このような得体のしれない男ではなく、我々が神の名の下に――」

 おれは鞘に収めたロングソードを持って男達に突進した。鞘でそいつらをぶったたいて、全員気絶した。

 案の定メリッサが祈ってないからダメージが行かなくて、全員がまとめて気絶した。

 切り捨てても良かったかも知れない。

「あんた……」

 驚くメリッサにまた身振り手振り。ここで待ってろと指示する。

「……わかった、お願い」

 おれは森の中に飛び込んだ。

 メチャクチャいらいらした。ばったり出くわした樹霊を一刀で切り捨てた。

 出くわしたそばから切っていった。

 十体くらい斬ったところでちょっと冷静に戻って。

「あとどれくらいあるんだ?」

(おしえてやろうか)

「わかるのか?」

(我を抜け)

 エレノアに言われたとおりそいつを抜いた。すると、頭の中になんとなく、ぼんやりと樹霊の居場所を感じるようになった。

 頭の中にマップがあって、そこに点が光ってるような感覚だ。

「すごいな」

(霊の事なら我に任せよ)

「そうだったな。よし、とっととこいつらを殲滅するぞ」

(うむ)

 エレノアの感覚を借りて、森を最短ルートで駆け抜けて、次々と斬っていった。

 最後の一体を斬った、一息つく。

「もうないな」

(霊の類はな)

「よし、なら戻ろう」

(連中は起き出してるかも知れんな)

「連中がまだうだうだ言ってメリッサを困らせてたら今度こそぶった切ってやる」

(祈られる前に速攻でケツつけるのだな)

「そのつもりだ」

 頷き、振り向き、森の入り口の方にむかおうとする。

 おれはビックリして、立ち止まってしまった。

「あんた……魔剣使いだったの?」

 そこにメリッサがいた。

「なんで……?」

「あぶないから来てみたけど……」

 まずい、見られた。

 ちょっといいわけが出来ない状況だ。

 黒装束にマントはそのままだけど、エレノアが特徴的すぎる。

 おれが覚悟をきめた、その時。

「ありがとう」

「えっ?」

 耳を疑う台詞が聞こえた。

「助けてくれて、ありがとう」

 聖女のメリッサが、おれに頭を下げていた。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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