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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

魔剣ひかり編

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35.カケルの肖像

 昼、屋敷の庭。

 ミウとタニア、獣人と幽霊のメイドを並べて、おれは能力のチェックをした。

「まずはミウに運を貸し出し」

『ミウ・ミ・ミューに運を貸し出します。残り29秒』

「次はタニアにも運を」

『ミウ・ミ・ミューに運を貸し出し中。残り23秒』

 なんかエラーっぽいのが帰って来た。同じものを同時に違う人間に貸し出すことは出来ないって事かな。

 同じように運をエレノアに貸そうとしたらやっぱり貸し出し中ってなった。

「じゃあ次、タニアに氷の魔力を、続けて炎の魔力を」

『タニア・チチアキスに氷の魔力を貸し出します。残り29秒』

『タニア・チチアキスに炎の魔力を貸し出します。残り29秒』

 こっちはいけた。同じ人に複数のものを同時に貸し出すのは大丈夫ってことか。

 そうこうしてるうちにミウの30秒がすぎた。

「じゃあもう一度、ミウに運を30秒貸し出し」

『ミウ・ミ・ミューに運を貸し出します。残り29秒』

 できた。クールタイムはなしか。

 そしてタニアの30秒もすぎた。

「ここでちょっと待ってて」

 ワープの羽根で離れた場所、山ウシの草原に移動した。

「タニアに氷の魔力と炎の魔力を30秒貸し出し」

 シーン、となった、何も反応しない。

 ワープで戻って、タニアを連れて山ウシの草原に移動。

「タニアに氷の魔力と炎の魔力を30秒貸し出し」

『タニア・チチアキスに氷の魔力を貸し出します。残り29秒』

『タニア・チチアキスに炎の魔力を貸し出します。残り29秒』

 今度はちゃんと貸せた。

 多分、近い場所にいないとだめなんだな。

 クールタイム無しで近くにいる限りは連続で貸し出せるけど、離れて別行動するときは効果時間の長いものを使わないとな。

 そう考えると。

「つくつく一等賞のを引けてよかったぜ」

(我に感謝しろよ)

「ああ、素直に感謝する」

 とにかく、これで一通り限定くじ引きで引いた能力の把握が出来た。

 おおよそ想定の――いい方の想定に使い勝手が振られてて、かなり満足した。

 タニアを連れて屋敷にもどって、協力してくれた二人に礼を言った。

「お疲れ様」

(終わったの? じゃああたしは屋敷の中に戻ってるね)

「屋敷の中に? なんで」

(やっぱりあそこが一番落ち着くの)

 タニアはそう言って屋敷の中に入っていった。地縛霊時代が長かったからだろうな、屋敷の中が一番落ち着くってのは。

 そこにおれとミウ、エレノアが残った。

 おれは地べたに座って、ミウに手招きした。

「おいで、ミウ」

「あの……えっちな事ですか?」

 ミウはちょっと身構えていた。

「いや、もふもふだ」

 そっちもいいけど、ミウと二人っきりの時はもふもふ欲の方がちょっと勝る。

 それにミウ一人だと、エロイので可愛がったらやり過ぎてミウが持たない気がする。

「はい!」

 満面の笑みを浮かべるミウを膝の上に載せて、もふもふした。

 ふさふさの耳としっぽをもふもふする。

 のんびりして、もふもふした。

 昨日まで限定くじ引きとか反乱とかで色々大変だったから、今日はのんびりしよう。

「ご主人様のもふもふはすごく優しくて、わたし、ご主人様にもふもふされるの好きです」

「おう、おれももふもふ好きだぞ」

「えっちの時のご主人様はちょっと苦手です」

「それはごめんな。怖いか」

「怖くはないですけど……死んじゃいそうになるから、苦手です」

 そうか。これからはなるべく優しくしてやろう。

 ……なるべく。

 ミウがごろごろするくらいもふもふしてやってると、足音が聞こえた。

 音の方を見ると、イリス姫の姿が見えた。

 一人でやってきたイリス姫はなんでか、おれを見てかなりびっくりした顔をする。

 なんだろう。

「お久しぶり」

 声をかけると、イリス姫は敷地内に入って、こっちに向かってきた。

「おどろいた」

「何を?」

「ここ最近聞こえてくるカケルの噂とかけ離れた姿だな、と」

「噂?」

「鬼畜だの、邪悪の権化だの、魔剣の下僕だの……そういったものだ」

「どれも心当たりはあるな。反論もあるけど」

「それが……こんな穏やかにしているとは」

 それはまあ、もふもふしてるからだろうな。

 会ったのが昨日とかだったら全然違う印象だったはずだ。

「正直、姉上の事が心配だったのだ。あの様な噂のある男の元にいて姉上は大丈夫なのか、と」「ヘレネーはおれの女だ。自分の女は大事にすることにしてる」

「そうか」

 もふもふされて居眠りしてるミウをちらっと見て、イリス姫は頷いた。

「で、イリス姫が今日来たのは?」

 用もなしに来るとは考えにくい。

「これを見せに来た」

 イリス姫が出したものを受け取る。

 横長の紙が五枚、全部同じ絵柄が描かれている。

「これは……ああ新しい金か」

「そうだ、カケルに教えてもらって、それで作った紙幣だ」

 おれはそれをまじまじと見た。

 紙幣のサイズは日本円とほとんど同じで、裏は王宮らしき建物があって、表は数字とやたら威厳のあるオッサンの顔が描かれている。

「これは」

「父上……メルクーリ国王だ」

「なるほど。にしても……なんかカラーコピーみたいだな、立体感とかまったく感じない」

 おれでも知ってる偽造防止の技術、例えばすかしとホログラムとか、そういうのが一切ない。

「からーこぴー?」

「大量に印刷しただけって意味だ」

「印刷は印刷だが、ちゃんと工夫も加えてる。カケルが教えてくれたのでな」

「うん? ああ王家の」

 おれはそれを思い出して、ミウに言った。

「ミウ、王家のものの判別魔法をかけてみてくれ」

「はい、わかりました」

 ミウは言われたとおり魔法をかけた。すると紙幣からぼんやりと、王家の紋章が浮かび上がる。

「なるほどこうなるのか。これがたしか王家の者にしか付与できないんだっけ」

「ああ。今はこれを生産中だ。国中に行き渡るほどの数を揃えるのは少し時間がいるから、発行はしばらく先だ」

「なるほど」

 紙幣をイリス姫に返した。

 前に自分がしたアドバイスが順調にすすめられてるのを知って、ちょっと嬉しかった。

「それともう一つ。これだ」

 今度はコインを出してきた。受け取ってみると、質感や色からして銅貨みたいだ。

「これは?」

「今度合わせて発行するものだ。紙幣と合わせて銅貨も新しいものにして、銅を回収、比率を変えて再発行する。銅で儲けられてない程度……いやよく考えたら割に合わない、程度の比率にするつもりだ」

「なるほど。でもそれをやると王国の威信がどうとか言ってなかったっけ」

「それは紙幣で全てまかなえると思った」

「それもそうか」

 納得しつつ、なんとなく銅貨を裏返してみた。

 びっくりした、なぜなら、そこにある顔がおれだったからだ。

「それが今日来た真の目的だ。カケルの顔を使わせてくれ、と頼みに来たのだ」

「なんでおれの顔を?」

「今回の事、紙幣の事。カケルが一番の功労者だからだ。カケルが気づかせてくれなければ、わたしは……いや我々は既存概念にとらわれ、この技術を無駄に寝かせたままでいた。あれから様々な人間に話を聞いてみたが、全員が商いがしやすくなると言った。反対意見は伝統だのしきたりだのというものしかなかったが」

「それを気づかせてくれたカケルだ、その功績として、な」

「……」

「もしかして……迷惑だったか?」

「いや、そんな事はない。ちょっとびっくりしただけだ」

 本当にびっくりだ。

 だって、金の上に顔が乗るなんてよほどの偉人か権力者じゃないとないことだ。

 聖徳太子、福沢諭吉、野口英世、夏目漱石……全員が歴史に名前を残してる偉人だ。

 もうちょっとさかのぼると、ヤマトタケルノミコトとか神クラスもいる。

 そういうのと同じって事なんだよな……。

 なんか、喜びがでかすぎて、飛び抜けてしまったあまり喜びとして認識出来ない気分だ。

「なら使わせてもらっていいのだな」

「うん、使ってくれ」

 断る理由なんてない。

 用事が終わったイリスが去った後、ミウがものすごく尊敬してる顔でおれを見つめている事に気づいた。

 今までも「すごい」とか言われたりこういう尊敬の眼差しを向けられる事はあったけど、正直、今回のが自分的にも一番納得できる事だった。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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