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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

魔剣エレノア編

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29.ハーレム無双

 レイウースの近くの森に、「餓狼のアギト」って名乗ってる盗賊団がある事をヘレネーからきいた。

「あれがそのアジトか」

 森の外から眺める、森の中から炊煙が上がってて、少なくともそこに人が住んでるのはたしかだ。

 おれの後ろに三人の女がいる。

 ヘレネー、タニア、イオ。

 お忍びの格好のヘレネーが答えた。

「おそらくは。餓狼のアギトがここにアジトを構えてから、レイウースの街の住人が近寄れなくなったと聞いてます」

「なるほどね。規模は?」

「二百人程度とのことで、カケル様にはどうということのない数ですが、リーダーの男が非常に狡猾で手段を選ばないそうですから、ご注意を」

「そうか」

「ねえねえ、今から盗賊団討伐をするの?」

 メイドの幽霊、半透明で空中に浮かんでるタニアが聞いてきた。

「ああ」

「それ、あたしたちもやるの?」

「必要ないですよ。だって二百人程度なら、カケルさん一人でぱぱっとやっておわりですから」

 魔法使いのイオがいった。

 たしかにおれが突っ込んでいったらそうなるだろう。

 エレノアあるし、ワープの羽もある。二百人程度の盗賊団なら自分で一掃出来る。

 できるけど。

「今日はおれ、なるべく手は出さないつもりだ。お前達三人でやってほしい」

「わたし達三人……ですか」

「あっ、もしかしてあれ?」

「カケルさんの力を貸してくれるんですか?」

 経験者の二人がすぐにおれの意図に気づいた。賢いけど、未経験のヘレネーは頭に「???」をいくつも浮かべる。

「どういう事でしょうか?」

「ヘレネーは何か出来るか? 戦闘でって意味で」

「一応、最低限の護身のためにこういうものを常に持ってますけど」

 そう言って短刀を取り出した。ヤクザが使うようなドスと似てるけど、ヘレネーのは飾りがついてて美術品としての価値もありそうだ。

 それを抜いて、逆手に構える。

「それで戦えるのか」

「いえ、隙を突いて何人かを斬り殺して、自害の時間を稼ぐための体術です。王族のわたしが生きたまま捕らわれれば色々と問題が生じますから」

 なるほど、わかる話だ。だが。

「自殺は今後禁止な」

 おれはいった。

 ヘレネーはちょっとビックリして、静かにうなずいた。

「カケル様がそうおっしゃるのなら」

「うん、じゃあテストをしてみよう」

 気を取り直して、ヘレネーに能力を貸し出そうとする。問題はなんの能力を貸すかだ。

 これもテストをかねて、大さっばなものにした。
『ヘレネー・テレシア・メルクーリに短刀術を貸し出します。残り29秒』
 お、行けたみたいだ。

「ヘレネー、それでおれに攻撃してみろ」

「わかりました」

 ヘレネーは躊躇することなく、逆手に持った短刀で斬りかかってきた。

「えっ?」

 本人が驚いた。鋭い斬撃が飛んできた。

 エレノアで軽く受け止める。

「普段より大分鋭かったんだな」

「え、ええ……」

 珍しく戸惑うヘレネー。

 普段は結構冷静で、おれのいった事や命令とかを平然と遂行するヘレネーにしては珍しく驚いた顔だ。

 それを見れただけで、期間限定くじ引きでこれを当てた甲斐があったかも知れない。

 タニアとイオにはもうしたけど、改めてその事を説明する。

「おれの力を一部貸した」

「カケル様のお力。納得です」

 物わかりがいいヘレネーだ。良すぎてちょっとつまらないかも知れない。

「で、今日はそれのテストだ。おれが貸した力だけでどこまで行けるのか、ってテストをする」

「わかりました」

 答えるヘレネー。納得した後受け入れの速さは相変わらずだ。

「じゃあはじめるぞ」

 宣言して、それぞれに能力を貸し出す。

『ヘレネー・テレシア・メルクーリに短刀術を貸し出します。残り4分59秒』
『タニア・チチアキスに氷の魔力を貸し出します。残り4分59秒』
『イオ・アコスに雷の魔力を貸し出します。残り4分59秒』

 使い切りタイプのを使って、三人に力を貸し出した。

 森の中に入って、炊煙が上がってる方向に向かっていく。

 早速一人の男が現われた。格好とか、見るからに盗賊そのものの男だ。

「てめえら何もんだ」

「――」

 ヘレネーが無言で向かっていった。

 動きは普段の彼女とまったく変わらない、特に早くなったりはしていない。

「敵か、ふざけやがって」

 だから男は悪態をつく暇があった。

 悪態をついて、腰の剣を抜いて、ヘレネーに斬りかかった。

 反撃。ヘレネーの短刀が鋭く一閃。男が剣ごと横に真っ二つにされた。

「おお!」

「姫様すごい」

 タニアとイオが驚嘆したが、ヘレネーは顔色一つ変えずにいった。

「当たり前です、カケル様のお力ですから」

「うん、そうだね!」

「はい!」

 相変わらずやたらとおれを持ち上げる三人。

 三人は突き進んだ。

 敵が次々と現われ、怒鳴ったり――あるいは相手が美女だと見ていやらしい顔をして襲いかかってきたりした。

 ヘレネーが短刀を振るい、タニアとイオがそれぞれの得意魔法を連射する。

 あっという間に、それらが悲鳴だけに塗りつぶされた。

 三人だけで次々と盗賊達を倒していった。

 777倍能力アップ。

 今の三人は言うなれば、世界屈指の一芸に長けた女達だ。

 世界屈指の短刀術の使い手、世界屈指の氷魔法の使い手、世界屈指の雷魔法の使い手。

 元ある能力がどれくらいなのかわからないけど、普通の777倍ってのはそういうことだろう。

 タニアやイオは魔法を撃ってるだけなのでわかりにくいけど、ヘレネーはその「一芸」がよく出ていた。

「きゃあ!」

 今も転んでいた。足元の小石に躓いて盛大にすっころんだ。

 チャンスに盗賊が飛びかかった――が、すっころんだ体勢のままのヘレネーに真っ二つにされてしまう。

 動きも遅く、簡単に躓くようなドジを踏むが、おれが貸した短刀術は文句なしに強い。

 それを、彼女達も気が付いてる。

「姫様、あまり動かないで来たのを迎え撃った方がいいです」

「そうします」

 盗賊が次々に倒されていく。

 テストは上々と言えるだろう。

 そして、もう一つ収穫があった。

 三人が倒した盗賊に、ごくたまにくじ引き券が落ちてくるのを見つけた。

 これはもしかしたらって思ってた。おれと一緒だからなのか、おれが力を貸したからなのかわからないけど、もしかして落ちるんじゃないかって思ってた。

 結果しっかり落ちて、満足だ。

(手出ししないのか)

 エレノアが聞いてきた。

「女達が戦ってるのを見てるのも楽しい。おれの力で戦ってるのならなおさらだ」

(我が死霊の軍勢を率いていたのと同じだな)

「それと一緒にされるとは……まあでもそう言うものかもな」

 エレノアと雑談して、完全な観戦モードに入った。

 五分もしないうちに、三人だけで盗賊を一掃した。ピンチらしいピンチはヘレネーが転んだ所だけで、三人ともかすり傷一つついてない。

 これまたヘレネーだけちょっとは動き回ったから、息が上がってる。スタミナか体力か、そういうのも貸し出せばよかったかもな。

 まあ問題はない、テストの結果は大満足だ。

 やっぱりもっともっとくじを引こう。期間限定のこれをもっと数揃えとこう。

 三人は談笑しながら、おれの所に戻ってくる。おれはかけてやる褒め言葉を考えた。

 横から急に一人の男が飛び出してきた!
 男はヘレネーに後ろから羽交い締めにして、短刀を持ってる手首を掴んだ。

「動くな! こいつがどうなってもいいのか!」

「姫様!」

 男はヘレネーを盾にした。

 密着しすぎてタニアとイオは魔法が撃てず、短刀を封じられて純粋な腕力勝負になったヘレネーは男の羽交い締めをふりほどけない。

「姫様? ほう、どこの姫様かしらねえが、こいつの命が惜しかったら下手なまねをするんじゃねえぞ。おれはやるときはやる男だからな」

 男はヘレネーの首をわしづかみにした。いつでも殺せるぞってアピールだ。

「……」

 おれは無言でエレノアを抜いた。

「てめ、これが見えね――」

 一瞬で踏み込み、ヘレネーを傷つけない様にエレノアで男の両腕を切り落とした。

「え?」

 空に舞う自分の両手。男は何が起きたのかわからない様子。

 わかる必要もない。

 ヘレネーを引き寄せて抱きしめ、男の首をはねた。

 そいつが最後で、今度こそ盗賊団は全滅した。

「悪かったな、危険に晒して」

 ヘレネーは全くの冷静だった。

「カケル様がいらっしゃいましたので、大丈夫だとわかっていました」

「そうか」

 相変わらず冷静なヘレネーだった。

 こうして盗賊団を壊滅させたおれたち。

 余談だが、話を聞いたデルフィナが「わ、わたくしも鞭の心得があります」とアピールしてきた。

 次は一緒に連れてってやろう。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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