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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

メリッサ編

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285.出来る子

 ミウの姿をしたそいつをエレノアで斬りつけた。
 そいつは飛び下がりつつ腕をあげてガード。そのガードごと腕を切りおとした。

「――っ!」

 表情が変わる、ミウとは思えない程の獰猛な表情。
 切りおとした腕はすぐに塵にかえり、断面から再生した。

 そいつは地面を蹴って飛び上がった。逃げるようだ。
 俺も飛んで追おうとしたが、思いとどまった。

 そいつが飛んだ瞬間の動き、そして軌道。
 跳躍じゃなく飛翔だって気づいた。
 ただ飛んだだけじゃ途中で置いて行かれる。

「ひかり、オリビアを出せ」
(うん! おーちゃん!)

 ひかりの刀身が光って、オリビアが召喚された。
 チビドラゴンでもなく、竜人の姿でもない。

 ドラゴン、オリビアが召喚された。

 俺はキャロラインを抱きしめたまま、オリビアの頭に飛び乗った。

「追え」

 とだけ命じた。
 オリビアは翼を羽ばたかせて、大空に飛び立った。

 逃げるミウの姿をした何か、追うオリビア。
 直線速度はオリビアのが上、すぐに追いついた。

「捕まえたぞ」

 オリビアの頭に乗ったまま肉薄、偽のミウにエレノアで斬りつけた。
 偽ミウは振り向き腕をかざす。ガキーン! 金属音が響き、火花が散る。
 さっきより大分硬い。

 反撃が来る、かぎ爪にした手をえぐってくる。
 直前に嫌な感じがしてのけぞって避けた。

 空気が腐った(、、、、、、)

 それが正しい表現なのか分からない、だが俺はそう感じた。
 そいつの爪が通り過ぎていった空間は腐った。
 よく見たら爪が黒紫色をしてて、名状しがたい色の何かが滴り落ちている。

(体にかかれば貴様とてただではすまんな)
「当たらなきゃどうもしない」

 更にエレノアを振り下ろす、爪と打ち合って火花を散らす。

 空中で偽ミウが飛び回って死角から攻撃を放ってくる。
 オリビアも飛び回って対処するが。

(おーちゃん大変そう……)

 ひかりがぼつりとつぶやくように、直線の速度で上回っていても小回りは劣っていた。
 何回か追従しきれず死角に回り込まれるオリビア。本人も反撃してみたけどかすめただけでダメージを与えられなかった。

 何回かの旋回の後、完全に死角をつかれたオリビア。
 偽ミウの攻撃を食らって、その衝撃で俺は空中に投げ出された。

 ちらりと見えた偽ミウは邪悪な笑みを浮かべた。
 これでもう追って来れまい――そう聞こえた気がした。

「その顔で笑うな」

 俺は空中を蹴った。
 空中を、空気を。
 何もない所を蹴って、偽ミウに突進していった。

(くくく、相変わらずでたらめをする)
(おとーさんすごい!)

 魔剣の母娘の反応をよそに、偽ミウに肉薄してエレノアを振り下ろす。
 驚いた偽ミウ、とっさにガードして、俺の突進を受け流す。

「まだだ!」

 受け流されて明後日の方向へすっとんでいく俺はもう一回空中を蹴って、方向転換して再突進した。

 飛翔という意味の空を飛ぶことは出来ないが、これなら空中でも戦える。

 何度も突進をして、偽ミウの攻撃をしかける。
 時にはかわされて、時には流されて、時には打ち合って地面に叩きおとされるが。

 その都度方向転換して突進していく。
 偽ミウの顔色がどんどん悪くなる、劣勢を悟って焦っている顔だ。

「そろそろ観念してもらおうか」

 そう言うと、偽ミウは後ろ向きで飛んで、俺から距離を取るように飛んだ。

「逃がすか!」
(待て違う)

 エレノアの制止がかかった直後、偽ミウは手をあげた。
 その手を中心に巨大な魔法陣が出現。

 直径およそ30メートル、空を覆い尽くす、といっても過言じゃない魔法陣。

 そこからドラゴンが出てきた。
 黒い炎で出来たようなドラゴン。一目で強いヤツだと分かる。

 が、問題にはならない。

 おれの腕の中でキャロラインが安心しきって、俺に体を寄せている。

 偽ミウを見て悲鳴を上げたのは、あの一瞬そいつの力が俺を――エレノアを上回っていたからだろう。
 その後静かになったのは一撃与えて力が弱まったからだ。

 そして今も、キャロラインは静かにしている、悲鳴どころか、俺以外なにも見えていない様子で。

 つまりそういうことだ。
 といってもここは空中、オリビアが翻弄されたように不慣れな地形で戦いをこれ以上長引かせるのはよくない。

 ならば。

 一撃で倒すために、俺はエレノアを持つ右手に力を込めた。
 全力の一撃、120%の投擲。

 エレノアが最も望む全力での投擲を――。

(やめ――)

 直前に制止が入ったが、構わず投げた。
 こうするときエレノアはちょくちょくやめろとか待てとかいうけど、気にせず投げた。

 確信がある、この一撃でヤツは消し飛ぶ。

 キュウウウウン! うなりを上げてエレノアが飛んでいく。
 音速を楽に越えた魔剣の一撃は黒いドラゴンもろとも偽ミウを消し飛ばした。

「……あっ」

 俺はエレノアが制止した意味を遅れて理解した。

 偽ミウを消し飛ばしちゃダメなんだ。
 戦いが長引いて、そしてミウの顔であんな表情をしたヤツに腹がたってすっかり忘れたけど。
 倒すんじゃなくて、無力化して情報を引き出さないとだめだったんだ。

 後悔したけど、後の祭り。
 俺とエレノア全力の一撃で、偽ミウもう跡形もなく消し去られていた。

 キャロラインを抱いたまま着地して、がっくり肩を落とす。
 そのままエレノアを回収する。

(ばかもの、我の言葉に耳を傾けぬからこうなるのだ)
「むむむ」
(何がむむむだ、今回は猛省しろ)

 エレノアに言い返す言葉がなかった。相手は倒したけど、俺のミスだ。

(あれ? おーちゃんどうしたの?)
「うん?」

 ひかりが何かに気づいたようだ。
 背後に振り向くと、ドラゴンのオリビアがそこにいた。
 まるで犬の様に据わって、は虫類の――しかし従順な犬を思わせるような目でおれを見つめている。

 忠犬オリビア、彼女がたまにする表情だ。
 何かいいたくて、でも俺の命令を待っている。
 そんな顔。

「どうしたオリビア」
「これ見て!」

 オリビアは頭を下げて、顔を俺の前に近づけてきた。

 頭だけで人間くらいはあるオリビア、その口――牙に何かが引っかかっていた。

「これは……?」
「さっき噛んだときに引っかかったの」
「さっき……ああっ、かすったアレか」
「うん!」

 更に嬉しそうな顔でうなずくオリビア。
 牙に引っかかった一部、服と肉。

 本体は消し飛ばしたけど、これは証拠になるかも知れない。

「よくやったオリビア」
「あは♪」

 ほめてやると、オリビアは嬉しそうに笑ったのだった。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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