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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

メリッサ編

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278.リカの罠

 朝日がまぶたの裏を刺す。
 まどろみの中、誰かが体の上に乗ってるって感じた。

 オリビアか? って一瞬思ったけど、オリビアにしては少し軽い。
 じゃあ誰だ……って思ったけどまだ寝ぼけてて頭が上手く回らない。
 誰でもいいか、朝一番のキスをして起こして――。

「痛っ!」

 突然、頭が割れるくらいの痛みが走った。
 外からじゃない、中からの痛み。
 あまりの痛みに一瞬で目が醒めた。

「おはよー、おとーさん」

 別の意味でも目が醒めた。
 俺の上に乗ってるのはひかりだった。
 世界で一番可愛いひかりはいつぞやと同じように、俺の上に乗っかっていた。

「どーしたのおとーさん、まだおねむ?」
「い、いや大丈夫」

 背中にいやな汗が伝う。
 寝ぼけてやろうとした事を思いだしての冷や汗だ。

(我に感謝するがいい)

 エレノアの呆れた声が聞こえてきた。
 ちょっとシャクだが本当に助かった。

 エレノアに感謝の気持ちをそっと伝えつつ、ひかりを改めて見た。
 俺の上に馬乗りになってるひかりは相変わらずの天真爛漫な笑みをしていて、そのそばにいると予想したオリビア……チビドラゴンが一緒にいた。

「チビドラゴンに戻ったのか」
「うん。ごめんねおとーさん、ひかりが頑張れなかったから、おーちゃんと一緒の朝が……」
「気にするなひかり。ゆっくり成長していけばいい」

 手を伸ばして、ひかりの頭を撫でる。
 しゅんとしたひかりが撫でられて、えへへ、と顔がほころぶ。
 やっぱり世界一可愛いよなあ、ひかりって。

「あっ、そうだ。おーちゃんから伝言」
「伝言?」
「みゅー、みゅー」

 チビドラゴンが啼く。
 そばにいるのに伝言か。

「昨夜はお楽しみでした」
「自己申告は初めて聞いたな!」
(ひかりに何を言わせているのだこのドラゴン娘は)
「みゅーみゅー」
「ぐすぐったいよーおーちゃん。うん、どういたしまして」

 俺の上に乗っかったままスキンシップを始めるひかりとチビドラゴン。
 愛娘とその相棒ペットのスキンシップは見てるだけでものすごく和む。
 今日もいい一日になる、そんな予感をさせる素晴しい光景だった。

     ☆

 魔剣になったひかりを連れて、迷彩オーラを纏ってから、ワープの羽根でアイノンの教会にとんだ。
 到着するなり誰かとぶつかりそうになって慌てて避けた。
 よく見ると教会の中はざわついている。信徒達が皆慌てて、何かに奔走している。

 そんな中、一人我関せず、って感じで祈りを捧げるキャロライン。
 もはや見慣れた光景。周りも気にしてる様子はない。
 慌てる信徒と落ち着いてるキャロライン。彼女の周りだけエアポケットが出来てるかのような別空間だった。

 しかし何がおきてるんだ? って思った俺は周りの信徒のやりとりに耳を傾けた。

「どうだ? 見つかったか?」
「いや街南にはいなかった」
「そっちは?」
「前に捕まえたところにもいなかった」
「くそ……何処に行ったんだ?」

(どうやら誰かがいなくなったようだな)
(だれなんだろ。キャロお姉ちゃんはそこにいるし……)

 訝しむ俺たち、それはすぐに分かった。

「とにかく探そう。ソロン様がキャロライン様に下した神託。それで助けた方をこのままにしておく訳にはいかない」
「ああ」
「わかった!」

 眉がびくっと動いたのが自分でも分かった。
 今の話……まさか……。

(シビルとやらが逃げた様だな)
(えええ!?)

 もうしばらく他の信徒の会話にも耳を傾けてみた。
 どうやらシビルが失踪したようだ。

 街に連れ帰って、教会で保護したシビルは目をさますとどこかに消えてしまったという。
 しかも一度だけじゃない、これでもう二度目だ。
 神のお告げで助けだした女だから、信徒達は必死になって探している。

 俺はそっと教会の外に出た。
 キャロラインが聞こえない程度の距離に離れてから、迷彩オーラを解いた。

「なんで逃げたんだ?」
(さてな。それよりもどうする)
「探そう。このままほうっておけない」
(どうやって)
「そんなの適当に耳を澄ませば」
(ねえねえおとーさん、ひかり分かるかも知れないよ)
「どういうことだひかり」
(おーちゃんがね。あたしの魔力を辿ると早いよ。っていってるんだ)
「オリビアの魔力?」

 どういう事だ? と魔剣姿のひかりをみる。
 ひかりは魔剣、使い魔になってるオリビアは今彼女の中だ。

(うん、昨日シビルおねーちゃんを捕まえたときの魔力が残ってるはずだからって。おーちゃんの魔力ならひかり、分かるかも)
「そうなのか?」

 今度はエレノアを見た。

(うむ、わかる。魔力どころかもっと馴染め(、、、)ば離れていても何をしてるのか何を喋っているのかがわかる様になるぞ。今もサンドロスが我に呪詛をはいているわ)

 くく、と笑うエレノア。
 なるほどそういう関係性になるのか、魔剣とその使い魔は。

 うん、あれ?
 今なんか引っかかったけど……。

(ねえねえおとーさん、ひかりが探してもいい?)

 考えようとしたけど、ひかりのおねだり声に思考が中断した。
 ひかりにこんな声でおねだりされたら何でもさせてやりたくなる、ましてや必要なことだ。

(親馬鹿め)

 エレノアのからかいを完全スルーして、ひかりの柄に手のひらを乗せた。

「たのむぞひかり」
(うん! むむむむむ……)

 意気込むひかり、しばらくして。

(見えた!)

 ガンダムパイロットのような台詞をはくひかり、無論可愛さは桁違いだ。

「分かったのか?」
(うん! おとーさんに教えるね)
「教えるって……おお、頭の中に居場所が浮かび上がってくる」
(これで分かるかな)
「バッチリだ。よくやったぞひかり」
(えへへ……)

 ひかりの柄を撫でてやりながら、頭にダイレクトで送り届けてきた場所に向かって歩き出した。
 人の多い大通りから裏に入って、更に曲がりくねった路地に入る。
 そこにシビルがいた。
 彼女は疲れ果てた様子で、建物の壁に背中をもたれて地べたに座っている。

「ここにいたか」
「あっ……」

 シビルは起き上がって、逃げ出そうとする。
 その姿はもはや病人、ふらふらして今にも倒れてしまいそうだ。

 普通に歩くだけで追いついて、彼女の腕を掴んだ。

「離して、離して下さい――」
「暴れるな。俺は教会の人間じゃない」
「――え?」
「連れ戻したりしない、だから安心しろ」
「……うそ。そうじゃない人がなんで私と教会の事を知ってるですか」

 道理だな。

「それは――」
「こっちから声がするぞ」
「女の声だ!」
「――っ!」

 シビルは息を飲んで、体を強ばらせた。
 俺がどう説明して納得させようかとおもった瞬間、教会の人間がここをかぎ付けたみたいだ。

 このまま渡してもいいけど……それじゃまた逃げるよな。

「よし」

 迷彩オーラを出して、シビルごと包んだ。

「す、すぐに離れないと……手を離してください」
「大丈夫だ」
「大丈夫じゃないです。教会の人たちがくる――ああっ!」

 悲鳴の様な声を上げるシビル。
 角を曲がって、教会の信徒達が現われたのだ。
 見つかった、と彼女は観念してめをつむり、体を強ばらせつつ小さくなった。

「こっちにもいないぞ」
「声はこっちだったんだ、あっちに抜けてったのかも知れない」

 信徒達はそう言って、俺たちの目の前を駆け抜けていった。

「……え?」

 驚くシビル、おきたことが理解できないでいるらしい。

「い、今のは?」
「魔法みたいなもんですがたを隠した」
「魔法……」

     ☆

 迷彩オーラを纏ったまま、路地裏で一緒になって座り込む。
 立ってるだけでもつらそうなシビルをとりあえず座らせたのだ。

「あの……ありがとう、ございます」
「いいさ。それよりもなんで教会から逃げるんだ?」
「……逃げてる訳じゃないんです」

 俺をしばらくじっと見つめたシビルは語り出した。少しは信用してもいい、っておもったのだろうか。

「でも、早く戻らないといけないんです」
「もどる?」
「はい、みんなが私の事を待ってるんです。早く子供達のところに戻って、勉強を教えてあげないと」
「急ぐことじゃないんじゃ――」
「だめなんです。子どもの時の時間は大人になってからのよりもはるかに重要なんです。教わる気のある子達の時間を無駄にはできないんです!」

 力説するシビル。
 言いたい事はわからなくはないが……。

「それよりもなんで一人でやってるんだ? 自分の財産をなげうってそれをやってるって話じゃないか」
「……それです」
「これ?」

 どういうことだ。

「噂になってるんですよね、私の事が」
「ああ、噂っていうか――」
「知ってるんです、こういうことは個人の力でどうにもならないって。何年も前に女王陛下にお願いしようって思ったんですけど、側近達に却下されて女王陛下の耳にもはいりませんでした」

(宦官どもの頃だな)
「なるほど、連中に握りつぶされたか」
「はい、だから自分でやるしかないです。それにこういう風にやってれば変な人だって噂になるし、変な人の噂の方が正攻法よりも女王陛下の耳に入りやすいかなって」
「なるほど」
「いずれ陛下の耳に入れば……」
「いれてやる」
「え?」

 驚くシビル、俺は立ち上がって、不思議そうな顔で見あげてくる彼女の肩に手を乗せた。
 異次元倉庫を開いて、ワープの羽根を取り出してメテオラの宮殿に飛ぶ。

 薄汚い路地裏から一転、地上の楽園にも等しい豪奢な部屋。
 女王の部屋。

「こ、ここは?」
「おーいリカ」
「え?」

 驚くシビル、そんな彼女を置いて、俺は部屋の中央にあるテーブルにいるリカに向かって行った。
 彼女は積み上げられた書類にめを通して、なんかの決裁をしてる真っ最中だ。

「来たんだ」
「きた。ついでに連れてきた」

 シビルをゆびさす、彼女はぽかーんとしている。
 リカは立ち上がって、シビルに向かって行く。

「そなたは?」
「わ、私!? ああっ!」

 シビルは悲鳴を上げて、パッと立ち上がった。
 慌てた様子で居住まいを正して、リカに名乗った。

「私はシビル・カラス。じょ、女王陛下に上奏したい事が」
「そう」

 リカはシビルを見て、その後俺を見て、またシビルに視線をもどした。

「なんだか分からないけど、ユウキ卿が連れて来た人だから、話を聞くわ」
「あ、ありがたき幸せ!」

 シビルはパッと頭を下げた。
 頭をあげて、こっちを見るシビルの顔にものすごい感謝の色があった。

(やられたな)
(ほえ?)
(薔薇の園の主らしいやり方だ)

 楽しそうに笑うエレノア。
 リカはこうなることを予想して、シビルの好感度が俺に向かうように仕向けたんだと理解する。
 リカは、薔薇の園の主は。
 自分のハーレムを、俺のハーレムにするために色々やってる女だった。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
+注意+
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