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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

メリッサ編

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272.お告げ

 アイノンの街、教会の中。
 迷彩オーラでを纏って中に入ると、大勢の信徒の中に混じって、キャロラインが祈りを捧げているのが見えた。

 神の子と呼ばれているからか、最近それが再び「証明」されて来たからか。
 祈りを捧げる集団の中で、キャロラインはあきらかに一番まん中、他の信徒を率いているポジションにいた。
 心なしか距離も少し開いている。

(自然、そうなるものだ。神の子だなどと呼ばれればこうなる)

 エレノアの言葉を聞き流して、信徒達の真っ正面に回り込んだ。
 足音を殺してない、自然体のままだ。
 それでも迷彩オーラのおかげで、誰一人俺の事に気づいていなく、祈りを続けていた。

『キャロライン』
「神様!?」

 オーラを纏ったまま呼びかけると、キャロラインがパッと目を開いた。
 きょろきょろとあたりを見回して、俺の姿を探す。

「神様だって?」
「まさかお告げが!?」
「しっ! 邪魔をするんじゃないよ!」

 キャロラインの反応にまわりの信徒が一斉にざわめきだした。
 連中は俺の声なんか聞こえていない、聞こえているキャロラインのリアクションに反応しただけだ。

 一瞬でざわめいたが、鎮まるのも一瞬だ。
 けれど音とは違って、全員の眼差しが期待に満ちたものになって、キャロラインに注がれている。

「神様? いないんですか?」

 失望と怯え――見捨てられた子どもの様な声が半々で、キャロラインが再び俺に呼びかけた。

『ここにいる』
「よかった……」

 それでまた一瞬だけざわめいたが、気にせず話を進めた。

『キャロライン、お前にやってほしい事がある』
「何でもいってください神様!」
『まずは街の中から、オリクトの谷にいった事のある人間を集めるんだ』
「お、……り?」
『オリクトの谷だ』

 初めて聞いた地名だからか、キャロラインは困惑した様子で首をかしげた。
 しばし迷ってから、周波数を切り替えて、まわりの人間に話しかける。

「おりくとのたに、に行ったことがある人を集めろって、神様が言いました」

 ざわざわ。

「オリクトの谷って、あのオリクダイトを生産する場所のことか?」
「何でまたそんな……」
「ソロン様のお言葉だ、とにかく街中の人間に声をかけるんだよ」

 信徒達も困惑したが、それでも三々五々と教会から出て行った。
 拡散力は相当のものだった、待つこと三十分足らず、教会の中に五人、いずれも若い男――冒険者風の男が集まった。

「神様、集まりました」
『よし、それじゃ次はこの魔法を使わせるんだ』
「魔法?」

 またまた首をかしげるキャロラインの目の前で、俺は持ってきた、カイコの主食の葉っぱを落とした。
 それまで俺のオーラに包まれていて、手元から離れたそれは、傍からは何もないところから現われたように見える。
 もとからいた信徒、集められた五人の冒険者、野次馬に集まってきた街の人々。
 全員が声を出して驚いた。

「いきなり現われたぞ」
「魔力を感じなかったぞ」
「だからソロン様がいらっしゃってるっていったろ」

 慌てて葉っぱをキャッチするキャロラインに、更につげてやる。

『クローマ、って魔法だ』
「わかりました――あの……クローマ、って魔法をこれに使ってください」

 キャロラインが言うと、冒険者達が互いに顔をみあわせた。

「クローマって……そんな魔法つかえるのか?」
「いや、そもそも初めて聞いた」
「どういう魔法なんだ?」

 冒険者達は困惑したが、キャロラインは逆に落ち着き払って、まっすぐ彼らを見ていた。
 神様の言葉、それを届けたキャロライン。むしろお前達早くしろ、といわんばかりの目で冒険者達五人を急かした。

 しばしの逡巡の後、冒険者達は渋々言われた通りにした。
 キャロラインが持っている葉っぱに向かってクローマと唱えた。
 一人ずつ唱えていった、四人目まで何も起こらなかったが、五人目がそれを唱えた途端、全身から魔力が吹きだした。
 赤色の魔力、炎を見まがうほどの魔力。

 教会の中は驚きの声が相次いで上がったが、それが魔力だけ、なんら害のあるものではないと、キャロラインと当の冒険者を見て分かると、すぐに落ち着きを取り戻した。

 その魔力は葉っぱに付着した、通常の緑色の葉っぱに魔力が付着して、燃え盛る炎の様な赤色になった。

『そのまま持っていろキャロライン。はなすなよ』
「はい」

 前もっていってから、今度はカイコをキャロラインの手のひらの置いて、迷彩オーラを解いた。
 同じようにいきなり現われたカイコに街の人はまたざわめくが、離すなよと言われたキャロラインは動じることなくそれを持ち続けた。

 カイコは赤色の葉っぱを食べて、同じ赤色の糸を吐き出した。

「「「おおおおお!!」」」

 町の人は一斉に驚嘆の声を上げた。

「ちょ、ちょっとそれを見せてくれ」

 人垣を掻き分けて、一人の老人がキャロラインに近づいた。
 間近に迫って、目をこれでもか、と見開いて赤い糸をガン見する。

「この色……そしてこの艶」
「どうしたんだビロン爺」

 人混みの中から知りあいらしき男が老人に聞く。

「これほど純粋な赤、そして均一な色合い。今までやろうとしてどうしても出せなかった色じゃ」
「そうなのか!?」

 まわりがざわざわした。

「うむ、糸を染めようとしてもくすみがちになるもの、そして色合いがまだらになりがちじゃ。こんな風に綺麗に同じ色を出せるのは100反のうち1反もあれば上出来じゃ」
「俺にも見せてくれ」
「なああんた、他の色も出せるのか?」

 人垣の中から次々と生産の関係者らしき連中が現われて、カイコが吐いてる糸を凝視したり、キャロラインに問い詰めたりした。
 俺はキャロラインに話した。
 オリクダイトを使ったクローマの魔法と、それをカイコに喰わせて出来る糸の事を。
 クローマは使う人間の素質次第で、その属性次第で糸の色が変わること。

 それをキャロラインの口を使って、街の人に話した。

 クローマの魔法自体、今まで知られてなかったものみたいだった。
 当然と言えば当然だ、それはオリクトが放っていた魔力に触発されて覚える魔法、攻撃魔法じゃないから、「喰らって」てもそうだとは気づかないものだ。
 当然、それを使ってカイコのエサをかえるやりかたも全員が初耳だ。

 早速話を聞いた生産の関係者が走り出した。すぐには集められなかったオリクトの谷の経験者、あるいは他の街からそれを呼んでくるんだろう。
 このやり方を試したくてうずうずしているって感じだ。

 残った街の人の中で、ビロン爺と呼ばれた、最初に反応した老人が真っ先にキャロラインに跪いた。

「ありがとうございます、感謝いたしますぞキャロライン様」

 老人は手を合わせてキャロラインを拝んだが、キャロラインは反応が鈍かった。
 多分聞こえてないんだろう、キャロラインの目の動きで分かる、彼女は俺の言葉を待っている。

 周波数がこっちをこっちに合わせたままで、老人の言葉が聞こえていないようだ。
 しかしキャロラインが聞こえていなくても、他の街の住民には聞こえた。
 ビロン爺に少し遅れて、他のもの達も次々と跪いて、キャロラインを拝んだ。

「ありがとうございますキャロライン様」
「感謝いたします神様」
「ソロン様バンザイ」

 と、口々に称える言葉を放った。

(よかったな神様)

 エレノアがにやけた調子でからかってきた。
 からかいの調子の良さは、成功の裏付けでもあった。

 キャロラインが褒め称えられているのをみて、俺は成功を確信し――ディアテーケの正体がどうであれ、キャロラインが教皇になる下地を一つ積み上げられたと確信したのだった。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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