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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

メリッサ編

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271.出会った頃の想い出

 広大な屋敷の中庭みたいなところにいた。
 庭と言うよりもはや広場くらい広いそこに、風呂になるくらい大きい桶がいたるところにあった。
 桶の中に色のついた液体があって、上半身裸の男達が糸をその中につけ込み、引き上げた後竿に干している。

 その光景を、俺はリカと一緒に見ていた。
 彼女もろとも迷彩オーラで姿を隠している。

「ふむ、染色はやっぱり後からなんだな」
「そうね。私も知識だけはあったけど、実際に現場を見たのは初めて」
「糸を吐いた後に色をつける、俺の知識とあってるな」
「これをどうするの?」

 リカの質問に、俺は手のひらをさしだした。
 町でかって来たカイコがあって、そのカイコにこれまた飼ってきた葉っぱを喰わせた。
 すると、カイコは黒い糸を吐いた。
 混ぜるオーラをコントロールして強めにしたからさっかやったときよりもはるかにくろい。

 黒曜石かってくらい、漆黒で艶やかな黒だ。
 ますますいけると確信する、わたあめと同じ、喰わせるものをコントロールすれば色を自由自在に操れるはずだ、と。

「こんな感じで最初から色のついた糸を吐かせれば名産になるんじゃないか? このやり方は?」
「知らないわね。聞いたこともない。どうやったの?」
「力を葉っぱに付与した、今の俺たちみたいにな。リカも知らないんなら都合がいい、このやり方を俺がキャロラインにささやけばそれなりの奇跡になるだろう」
「……」
「どうした、いきなり考え込んで」
「それは誰にでも出来るの?」
「うん?」

 リカの顔を見る、彼女は珍しく難しい顔をしてる。

「力を……魔力? それを混ぜて食べさせるのはいいとして、誰にでも出来る事? 誰にでも出来るものじゃなかったら意味がないわね」
「……」

 それがあったか。
 俺は無言で異次元倉庫からワープの羽根を取り出して、リカを連れて屋敷に飛んだ。
 ちょうどミウがいたから、オーラを解いて姿を現わした。

「ミウ」
「ご主人様、それにリカ様も。お部屋用意しますか?」
「いやまだいい。それよりもイオ来てるか?」
「はい、リビングの方にいます」
「そうか」

 頷いて、ミウの頭を撫でて、リビングに向かって歩き出す。
 冒険者としてあっちこっちに飛び回ってるイオだがこの屋敷にいる事も多い。今もちょうど来ているようだ。

 リビングにはいると、ひかりと遊んでるイオの姿があった。

「あっ、おとーさん」
「カケルさん。お帰りなさい」
「ただいま。ちょっと聞きたい事があるんだが」
「なんですか?」

 俺は葉っぱを取り出して、イオに見せた。

「これに魔力を付与する事って出来るか?」
「付与?」
「魔力をくっつけることだ」

 目の前で漆黒のオーラを微量だして、葉っぱに纏わせて見せた。
 それを見たイオは理解して頷くが。

「すいません……それは……難しいです」
「お前でもか」

 今やSランク冒険者、大魔道士とも言うべきイオ。
 雷系の魔法を扱わせれば右に出るものはいなく、過去の時代でエレノアからも黒雷を伝授された。
 そのイオが難しいと言った。

「そういうって出来るんですね……」
「聞いたこともないのか」
「はい……」

 消沈するイオ。

「落ち込むな、お前は悪くない」

 といって頬を撫でてやる。

「しかし……これが出来ないとなるとこの話もおしゃかになるな。いい発想だとは思ったんだが……」

 俺は考えた。
 色を最初からコントロールするのは二の次、このやり方なら色あせや色移りしない糸を作れるのが一番の売りになる。
 それはちょっとした革命だと思ったんだがな。

「それをできるのなら誰かがやってるはずよ。アイノンの養蚕の歴史は100年近くあるもの」

 リカが苦笑いしながら言う。
 だからこそ、と俺は思った。
 それだからこそ奇跡たり得る、と思った。

「なにか方法はないかな……むっ」
「どうしたんですかカケルさん、私の事をじっと見つめたりして」
「おねーちゃんの顔に何かついてる?」

 首をかしげるイオとひかり。
 俺はイオを見つめ続けた。

 何かがひらめきかけた。
 イオの顔を見て、何かが頭に浮かんだのだ。

 それがなんなのか必死に考えた。

「カケルさん?」
「……のど元まで出かかってるんだ。イオを見てると」
「私を?」
「……イオと何か関係があるということなのかしら」

 リカが言う。

「ならイオとの想い出を最初から思い出していくのはどうかしら。それがきっかけになるかも。古いものは難しいかも知れないけど――」
「それは問題ない、俺の女とのエピソードは全部覚えてる」
「――えっ」
「カケルさん……」

(男の名前はてんで覚えられないがな)

 ちゃちゃをいれるエレノアにデコピンして、イオとの想い出を辿る。
 冒険者ギルドで出会って、仲間に入れてくれと頼んで、一緒にオリクトの谷で――。

「あっ」
「思い出したんですか」
「ああ、ちょっと待ってろ」

 ワープの羽根を使う、一瞬で屋敷からオリクトの谷に飛んだ。
 谷の主はのんびりしていたが、俺の姿を見て慌てて逃げ出した。

 黒いオーラを出して全身を包む、姿を見えなくした。
 するとあわくって逃げ出したオリクトが止まって、おどおど、きょろきょろしだした。
 やがて俺がいない(、、、、、)と認識したのが、元の場所に戻ってきてのんびりした。

 俺はまわりを見た。
 オリクトの谷、オリクダイト。
 オリクトが放つ魔力がまわりにこびりつき、虹色の鉱石になっている場所だ。

 俺は持ってきた葉っぱを地面に落とした。

(ほう……)

 エレノアの感心した声が聞こえた。
 のんびりするオリクト、息をするように出す魔力。
 その魔力がまわりに拡散して、葉っぱを覆っていった。

 葉っぱがすっかり最初のいろ――赤に染まったのを確認して、それを拾ってカイコに喰わせた。
 カイコはたちまち赤い糸を吐いた。

(よく思いついたな。しかしこれでは量産は難しいのではないか?)
「そうだな……」

 オリクトのオリクダイト、それを利用出来る発見はよかったけど、エレノアの言うとおり量産は難しい。
 それにオリクトは俺をみてあわあわして逃げ出すとは言え、普通の人間からすれば強力で凶悪なモンスターだ。
 商人向けに利用するのは難しいだろうな。

 なにか他に方法はないか、と考えつつワープの羽根で屋敷に戻った。

「あっ、カケルさん!」
「カケル、これをみて」

 戻ったそばから、イオとリカが俺に詰め寄ってきた。
 リカに促されて、イオが差し出したのは一枚の葉っぱ。

 緑――いや普通のものよりも更に緑。
 (みどり)といってもいいくらいの光沢を放っていた。

「これは?」
「私もカケルさんとの事を思い出してたら、オリクトの事を思い出したんです。それでオリクトみたいにやってみたらできました!」
「本当か?」

 イオの手から葉っぱを受け取って、じっと見つめたあとカイコに喰わせた。
 むしゃむしゃするカイコ、ドキドキする俺たち。

 やがて、カイコは葉っぱの碧――碧の糸をはいた。

「やった!」
「イオ。これは他の人に教えられる?」
「うん! そんなに難しい事じゃないよ。オリクトの谷に一回行く必要があるけど。あそこの魔力って地味に攻撃だったんだ」
「そうか、あれを浴びて生き残る……適性があればいっただけで使えるのか」
「うん!」
「すごい大発見だぞイオ」
「えへへ……」

 嬉しそうに笑うイオ。
 彼女をほめて、抱き締めてキスをする。

 ひとしきりそうしてから、リカの方を向く。

「これで奇跡が起こせるぞ」
「うん!」

 リカも、嬉しそうに笑っていた。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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