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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

メリッサ編

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270.奇跡とわたあめ

 夜の寝室、ベッドの上。
 俺の横にオルティアが寝そべっていた。

 いつもと違って、俺もオルティアも服を着ている。
 服を着ているが、オルティアが俺を見あげる瞳はキラキラと波打って、普段に勝るとも劣らない程色っぽい。

「カ――」

 ――ケル、が続くであろうオルティアの言葉。しかし口を開けた途端キスをして唇を塞いだ。
 何かを話そうとするオルティアにキスをして台詞をカットする。
 さっきからずっと……オルティアが「ディアテーケ」を口にした直後からずっとそれをやってきた。

 名前を呼ぼうとしてもキス。
 特に意味のない雑談をしようとしてもキス。

 とにかくキスをした、オルティアが口を開いたそばからキスをした。
 「いわせねえよ?」と言わんばかりにキスを続けた。

(甘やかし、いや溺愛しすぎだ)

 エレノアが呆れた様子で言ってきたが、反論も同調もしなかった。
 口を開けば、今俺を見つめているオルティアの読唇術で読まれるからだ。

 だから何もいわずにキスだけを続けた。
 大賢者のアドバイスはもういい、それを言葉じゃなく、一晩中かけてキスをすることで意思を表明した。

(違うだろ)

 ん?

(単にいじらしくて可愛かったから甘やかしたくなっただけだろう)

 それもある――八割くらいそうだ。
 そうだが今言うことじゃない。空気を読まないエレノアに手を伸ばしてデコピンをしてやった。

     ☆

 次の日、アイノンの町。
 いったん街中に飛んでから、歩いて教会に向かった。

(ますます扱いが上手くなっていくな)
「オーラの事か」

 俺は女物の下着を持っていた。
 養蚕の町、アイノンの特産品であるシルクで作られた下着だ。
 それを手に持って、輪っかに引っかけて指でぐるぐるしているが、誰もそれを見ない。

 オーラで迷彩をしているからだ。
 ちなみに今やっているのは見えない迷彩ではない。

 傍から見てただのロープに見える迷彩だ。

 まわりからすれば俺は指でぐるぐると輪っかに結んだロープを回している。
 変な目をしてこないし、ロープには見えるので回してるそれをまわりが勝手に避けてくれる。

「オルティアの読唇術でヒントをもらった。唇の見え方を変えれば読唇術が出来る奴らの裏をかけるかもって思ってな」
(器用なことだ)
「使い道があるのかはわからんがな」
(なかったら貴様の女の着せ替えにでも使えればいい。ひかりみたいにな)
「言われてみると確かにひかりのあれと同じだな。元が魔剣の力、同じで当然か」
(一応言っておくが今ならひかりの方が上だぞ。なんと言っても100対ドレイクまとめて見た目をかえられるのだからな)
「さすがひかりだ」

 エレノアは軽く煽ったつもりだが、魔剣の事なら対抗心をもやす彼女と違って、俺にしてみればひかりの成長は普通に喜ばしい。
 俺よりも上って言われても嬉しいだけだ。

 そんなエレノアと一緒に街中を歩いて、やがて教会に辿り着いた。
 中に入るとキャロラインはいた。まわりがソロンの神に祈りを捧げている中、キャロラインは隅っこで別の女と話している。

 怜悧な美貌に、二つ結びの綺麗な髪、意思の強さが伺える瞳。
 リカ・カランバ。
 アイノンはカランバ王国の辺境にある街。この国の女王が従者も連れずに、いかにもお忍びな格好でそこにいた。
 キャロラインと何か話していたから、俺は教会の反対側にある椅子に座って、声をかけずに耳を澄ませた。

「それじゃ、神の言葉をまた聞けるようになったのは最近のことなのね」
「うん。神様のおかげでみんなの声も聞こえるようになった」
「そう。ところで神はなにか言ってた? お告げ的な物を、なにか」
「うーん……分からない。もっといろんな人と話をしてってしか」
「そう……。ねえ、神の声が聞こえるのはいつごと? 頻度は? タイミングに周期性は?」

 リカは矢継ぎ早に質問を飛ばした。
 キャロラインが聞こえるようになった神の言葉に興味津々で、それを問い詰めてるみたいだ。
 スキル「下位互換」で普通の人間と話せるようになったのはごく最近の事でまだ会話になれてないキャロラインはしどろもどろになって、満足に堪えられずにいた。

 リカは一通り質問して、目当ての答えを得られないと理解するやそれ以上効くことをやめ。
 教会にお布施をしてそこから立ち去ったのだった。

     ☆

「リカ」

 外に出たリカを追いかけて、背後から声をかけた。

「カケル」

 立ち止まって、振り向くリカ。
 特に驚くでもなく、俺に微笑んだ顔を向けてきた。

「いたのね」
「ああ。彼女に何か用だったのか」
「聞きたい事があったのよ。私の事を覚えていなかったから話がしやすかった」
「覚えてなかった?」

 首をかしげて、振り向いて教会をちらっとみる。
 リカとキャロラインは前に一回引き合わせたはずなんだが……。

 そんな俺の疑問を読み取ったリカがこたえる。

「前に会ったときはまだ話せなかったから、私の事を覚えてなかったのね」
「なるほど……」

 納得した俺はリカと並んで歩き出す。
 養蚕の町、アイノン。
 カランバ王国領の中をカランバの女王と肩を並べて歩く、しかし誰もリカの事に気付くことはなく賑やかに通常通りの街並みを見せていた。

「その格好も綺麗だ」
「ありがとう。お忍びだからもうちょっと地味な格好の方がよかったんだけど……」
「だけど?」

 口籠もったリカに聞き返す。
 彼女は俺を見て、かすかに頬を赤らめるがこたえなかった。

 俺たちはとある店の前に足を止めた。
 店先にショーケースがいくつかあって、その中にカイコがいる。
 カイコにエサをやれるシステムになってて、旅人らしき親子連れの子どもが用意された葉っぱをカイコにやった。
 それをむしゃむしゃしたカイコはすぐさま糸を吐き出した。

「こうやって糸を作るのか」
「知らなかったの?」
「ああ、俺が知ってる養蚕と少し違う」
「そうなんだ」

 俺は葉っぱを一枚手に取って、葉脈をつまんでくるくる回したり、オーラを纏わせてまわりから見えなくしてみたりした。
 そうしながら、リカにといかける。

「なんでキャロラインに会いに来たんだ?」
「神の子キャロラインの事は前から知ってた。最近その神の子が人間の言葉も分かるようになった噂を聞いてね」
「俺が絡んでるのを知ってただろ?」
「ええ。だからスルーしようと思ったのだけど、話を聞いてるとどうも、本来の神の言葉も聞けるんじゃないかって思って」
「むぅ……」

 それはそうかもしれない。
 スキル「下位互換」は聞こえる周波数を合わせるみたいな感覚だ。
 それを感覚で理解できるのならリカの様な発想になってもおかしくない。

「だからそれを聞きに来たのよ、この街の事を思えば奇跡をもっともっと起こしてもらった方がいいからね」
「さすが女王様だな」
「それにこの流れなら、いずれはソロン教の上に行くはず。彼女はこの街の出身、今から仲良くしておいて損はないわ。領内の宗教の安定は大事な事よ」
「さすがだな」

 同じ台詞をもう一度口にした。

「それよりも、カケルは彼女をつかって何をしようとしているの?」

 リカの目が妖しく光った。
 彼女のその目を知っている。

 薔薇の園の主、女王のハーレム。
 ハーレムをつくって、ハーレムごと俺にくれた。
 そのあたりの話をする時によくなる目だ。

 俺がキャロラインを気に入れば協力すると言い出すのは間違いない。

「いや今回はそうじゃない。彼女に近づいたのは――」

 ディアテーケの話を聞いてみるか、と思ったその時。
 俺の目が別のものを捕らえた、意識が、興味が丸ごとそっちに持って行かれた。

 俺がいじって、ぐるぐるしている葉っぱをカイコが食べた。
 それを食べたカイコが黒い糸を吐き出したのだ。

 それを見つめる俺、その目に気づいたリカ。

「あれ? 黒い糸を吐いてる……こんなのってあったかしら」
「まるでわたあめだな……むっ」
「どうしたのカケル?」

 わたあめってつぶやいた瞬間、俺の頭の中に何かがひらめいた。

 カイコが吐いた黒い糸、リカが「こんなのあったか?」と疑問に思ったそれは、魔剣のオーラを帯びていた。
 通常の葉っぱに魔剣のオーラを混ぜて喰わせると別の色の糸を吐いた。
 俺が知ってるカイコと違うこともあって、まるでザラメをいれてカラフルなわたあめを吐き出す機械に見えた。
 そしてそれは、俺にあるひらめきを与えた。

「……リカ」
「なに?」
「お前に奇跡を一つくれてやる」
「どんなの?」

 普通ならばここで戸惑ったり「奇跡?」と聞き返したりしている所だろうが。

(付き合いの長さは伊達じゃないな)

 エレノアが楽しげに言うように。
 付き合いの長さで、リカはある程度まで察していて、目がわくわくしだしていたのだった。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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