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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

メリッサ編

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269.読唇術

 屋敷の別邸、奴隷達の練兵場。
 いつもの様に朝礼台の上に椅子を置いて、ひかりとオリビア、そしてドレイク兵たちの姿を眺めた。

 膝にオルティアがしなだれかかっている。
 何かをするでもなく、台の上にすわり、俺の膝の上に腕と顔を載せている。

 最近オルティアはこれを気に入っている。
 絵面でいえば「王と寵姫」って感じのこれをオルティアはすごく気に入っている。
 寵姫というイメージが彼女に「ただの女」だというのを強く意識させるみたいだ。

 俺はそんなオルティアの頭と顔を優しく撫でてやりつつ、エレノアと会話をしていた。

『うまくやれてるみたいだな』
(声にだけ我の力でカモフラージュか、よくも考えたものだ)
『キャロラインとの付き合いでいつか必要になるって思ってな。俺の姿が見えているのにキャロラインだけに聞こえる「神の言葉」ってのが必要になる場面もあるだろ』
(まあ、備えあれば憂いなしというしな)
『ひかり、また強くなったな』
(分かるか)

 エレノアは得意げにいった。
 元々親馬鹿だが、ここ最近のひかりの成長を話題にしたときは特にこんな風に得意げになる。

『ああ。ただの鬼ごっこじゃないんだろ、それ』

 そう、ただの鬼ごっこじゃない。
 ひかり達はそこで鬼ごっこをしているように見える(、、、)のだ。

 ドレイク兵100体とオリビアを全員召喚して、それらと駆けずり回ってるだけじゃなく、鬼になったヤツの見た目をかえたり、捕まえられたドレイクの動きを制限したり、ある行動をとったドレイクの姿を見えなくし(隠れさせ)たり。
 魔剣としての力をフルに発揮している。

(我がひかりに教えてやったのだ、この鬼ごっこは。高い出力を保ちつつ小技もやるという訓練だ)
『だろうな。ひかりも楽しんでるが、見た目ほど楽じゃないぞあれ』
(問題ない。子どもは限界ぎりぎりまで遊んだ後パタンと倒れる。それでよい)
『そうだな』

 ひかりは楽しそうに遊んでるし、それで魔剣として成長出来るってんなら、何もいうことはない。
 そんなひかりを見守りつつ、オルティアも撫でつつ、話題を変えた。

『そろそろ次の段階にすすまないとな』
(うむ?)
『担ぐ神輿はみつかった、後は担ぎ方だ』
(キャロラインを教皇にする事か)
『どうやればいいのか知ってるか』
(ソロン教のそれを何回か外からみている、システムだけなら知っている)
『教えてくれ』
(まず前の教皇が死ぬ。それから一ヶ月の間に候補者が名乗りを上げるようだ。ある程度の地位か役職以上じゃないとそもそも名乗りをあげられんらしい)
『らしいとかようだとか多いな』
(外からみているだけなのでな。候補者が出そろったら『祈りの月』に入る)
『祈りの月?』
(うむ。世界各地の信徒が誰を教皇にしたいのかと祈るのだ。その祈りが集計されて、最終的により祈られたヤツが新しい教皇になるようだ)
『……ようは祈って投票、ってことか』

 エレノアから無言の同意がかえってきた。

『予想と違ってかなり民主主義なんだな』
(どうだか。祈りは最初の内は毎日途中経過が出るが、最後の三日は公表されない)
『神の手でも入るのか?』
(わらえん冗談だ)

 そう言いながらもエレノアは面白そうにしていた。

 エレノアから聞いた話を考えた。
 祈りを捧げて、それで候補者に投票を捧げるシステム。

『…………』
(どうした?)
『システムは分かった。正攻法でいくか、システムを攻略するか。どっちがいいかって思ってな』
(なるほど)

 正攻法というのはもちろん人心買収だ。
 キャロラインについてって、神のお告げをどんどんやってキャロラインの株を上がっていけばいい。
 システムの攻略はただのズルだ。

 どっちがいいのかを考えた。

『システムの事を知りたいな』
(そうだな。それ次第でやりようが変わるだろう)
『なにか知らないか?』
(外側からだとわからん)
『そりゃそうか』

 さて、どうするかな。
 メリッサに聞くか? いやメリッサは知らない可能性が大きい。
 彼女はいわば現場に固執しているタイプの人間だ、そういうシステムの事を知らない可能性が大きい。
 何より敬虔な信徒だからズルに繋がるシステムの話をするのはあまりよくない。

 となると……。

『デルフィナかな』
(妥当なところだ。もっと妥当なところがあるがな)

 エレノアが誰をさしてるのかいわずとも分かった。
 今、俺の膝元で傅いてるオルティアだ。

 大賢者オルティア、あらゆる知識を持ち彼女なら何かしら知っているだろう。
 が。

(知っているさ)
『ならいうな』
(貴様がその女を甘やかしているから言ってみたくなったのだ)
『嫉妬か?』
(まさか)

 エレノアはいつもの楽しげな口調で言った。

(貴様の甘やかしがその女にとっての毒かもしれないと思ってな。せっかくのいい女なのだろう?)
『それなら問題ない。「ただのオルティア」でも充分にいい女だ』
(ならいいさ)

 エレノアは言葉通り何もいわなくなった。
 さて、後でデルフィナのところに行って聞いてみるか――。

「ディアテーケ」
「ん?」

 突然オルティアが口を開いた。
 見ると、彼女は俺の膝の上に顔を載せたまま、目は明後日の方を見ている。
 気のせいか、どことなくすねている様な、それでいて嬉しそうな。
 そんな相反した二つの表情を顔に乗せている。

「なんでもない、ただの独り言」
「そうか?」
「そう、独り言。たまにつぶやかないと昔の事色々わすれそう」
「……そうか」

 俺はそういって、身を屈んでオルティアの唇にキスをした。
 軽く触れるキスのあと、オルティアはやっぱり嬉しさ半分、すねてる半分の表情をしていた。

『俺たちの会話を聞かれたのか?』
(というより貴様の言葉だけだろうな。声を聞こえなくしても唇は読めるだろう)
『読唇術か』
「……ふん」

 オルティアは鼻をならして、俺の膝の上に突っ伏したまま完全に顔を背けてしまった。
 読唇術で話を聞いてたのは間違いないみたいだ。

 ならその「独り言」も独り言じゃなくオルティアからのヒントかアドバイスって事だ。

 俺はオルティアの頬をなで続けた。
 さっきとまったく同じなのを意識する。
 ただのオルティア、ただの女として可愛がることを意識するように撫でる。
 大賢者のアドバイスにするお礼じゃなく――。

(くくく、その気遣いはばれるぞ)

 楽しげにいうエレノアにデコピンをした。
 お前は少しは気遣え。

 更に体を寄せてくるただのオルティアを撫でつつ、彼女かくれたヒントを頭の中でリピードさせた。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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