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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

メリッサ編

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268.神の宿題

「よかったなキャロライン」
「え?」

 キャロラインは何故か目を見開き、驚いた顔をした。
 今の言葉の何処に驚く要素があるんだ?

「どうしたキャロライン」
「よかった……」
「本当にどうした、そんなに心底ホッとしたような顔をして」
「今一瞬だけ神様の言葉が分からなかったから……よかった……ちゃんと分かって」
(なるほど、貴様の言葉が分からなかったからびっくりしたのと、やっぱり分かったから安堵したということだ)
「みたいだな。でも何で分からなかったんだ? ひかり」
「うん。おねーちゃん、ひかりの言葉わかりますか?」
「……?」
「あれ? わからないのかな」

 首をかしげ、同じような言葉をかけるひかり、それでもキャロラインは首をかしげて訝しむ表情のままだ。

「ひかりが何を言ってるのかわからないのか?」
「うん」
「効果が切れたのか? いや使い捨てとかじゃなかったはずだが」
「くじ引きの人に聞きにいく?」

 ひかりが提案する、その方がいいかもなと思っていたら。

「くじ引きの人ってなに?」

 キャロラインがひかりの言葉を理解したのか、会話が成立した。

「わかるのか?」
「うん、神様。聞こうとすればわかる」
「聞こうとすれば……か、ちょっと待ってろ」
「うん」

 俺はキャロラインを彼女の部屋に置いて、ワープの羽を使って屋敷から人を連れて来て、彼女に話しかけてみた。

 ミウだったり、コーラリアだったり、ナナだったり。
 色々連れてきて、キャロラインに話しかけさせた。
 それで分かったのが。

「キャロラインが聞こうとした相手の言葉だけ分かるのか」
「そうかも……」
「周波数を合わせてるって感じなのかもな」
「しゅうは、すう?」

 片言で繰り返して、首をかしげるキャロライン。まだいるひかりも同じように首をかしげていた。
 こっちの人間にはなじみのない例えだったかもな。

 だが俺にはよく分かった。
 キャロラインは元々高い周波数しか聞こえなかったのが、「下位互換」のスキルをつけたことで、あらゆる周波数の声が聞こえるようになった。
 あらゆる周波数に合わせられるようになったが、合ってない周波数は相変わらず聞こえない――分からない、ってところだろう。

 まあ、そんなに問題はない。
 普通の人間だって、人が多いところだと会話してる相手に意識を集中しないと聞き取りつらいんだ、それと同じような事なんだから、問題はそんなにない。

 むしろこれからだ。
 これで一般人とも会話が出来る様になったキャロライン、ここからどう彼女を法皇にするのか。
 それをちょっと考えてみた。

「おねーちゃんはお花がすき?」
「……」
「あれ? おねーちゃん?」

 俺が考え事してる横で、ひかりがキャロラインに話しかけていたが、キャロラインは反応しなかった。

 キャロラインのそれは「声は聞こえてるけど言葉として認識できない」はずだ。
 だったらひかりの話しかけには声が聞こえてるから、二言目から意識を向ければ会話できるようになってる――はずなんだが。
 キャロラインは俺を見つめているだけで、ひかりの話しかけを無視している。

「キャロライン」
「はい!」
「なんでひかりに返事してやらないんだ?」
「その……神様の言葉聞き逃すのがいやだったから……さっきみたいに」

 キャロラインはもじもじしながら言う。

(いじらしいな、まるで忠犬ではないか)
「それはいいんだけど……それじゃ意味ないんだよな」

 俺の言葉を聞き逃すまいとこっちに意識を集中して、他の人間が話しかけても周波数を合わせないんじゃ意味がない。
 スキルをあげた以上、使ってもらわないと意味がない。

 ……不幸中の幸いか、キャロラインは素直な女の子みたいだ。

「キャロライン」
「うん!」
「俺はいったん帰る、明日また来る。それまでにいろんな人に話しかけておけ」
「いろんな、人に?」
「そうだ。……そうだな、話しかけて名前を聞き出せ。その名前を明日俺に教えろ」
「分かった!」

 キャロラインは大喜びで頷いた。

(くくく、神と言うより宿題を出す教師だな)

 エレノアは楽しげに指摘した。
 俺も、言っててちょっとだけそんな気分だった。

     ☆

 次の日の昼、ワープの羽でキャロラインの部屋に飛んできた。
 部屋は質素な作りだがちゃんとベッドがある、にもかかわらずキャロラインは机に突っ伏して寝ていた。

 そんな彼女に近づき、背後から見下ろすと――。

(何かを抱えているな……ノートか?)
「びっしり文字が書き込まれてるぞ。アドニス、エレニ、クリュテ、エレオノラ……これって」
(人名だな。話しかけて聞き出した人名だろう)

 どうやらそうみたいだ。
 そしてそれは……とんでもない数だった。

 キャロラインを起こさないようにノートを静かに抜き取る。
 びっしり書き込まれた名前の数は百じゃ聞かない。
 ぱっとみ数百……下手をしたら千いってそうな数だ。

「一晩でこんなに話しかけたのか」
(貴様の命令を忠実に守ったのだろう。いじらしいではないか)
「そうだな」

 俺は突っ伏しているキャロラインを抱き上げた。
 起こさないようにオーラを微かに出してねたままにして、ベッドに寝かせる。

 ちゃんと寝かせてから、その横に椅子を引いて座る。
 座って、待つ。

 おきたときにねぎらいの言葉をかけてやるために。
 俺は、彼女が自然におきてくるのを静かに待った。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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