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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

メリッサ編

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265.神の声

 次の日、俺は再び教会に行こうとした。
 男二人から聞き出した「キャロライン」という女の話を聞かなきゃならないからだ。

 あの男達はメリッサを狙ったら始末したが、キャロラインという女がもし法皇になれそうな女だったらそれに力を貸せばメリッサの一件は片付く。
 そう思って、この日も教会に行こうとした。

「おとーさん、今日もおでかけ?」

 寝室で支度をしていると、ひかりがドアを開けて入って来た。

「ああ、街までちょっとな」
「そうなんだ……」

 ひかりはちょっとだけ寂しそうにした。

「どうした」
「今日はおとーさんとあそびたいなって思ったの。でもお出かけならしょうがないね」
「……ふむ、なら一緒に行くか?」
「いいの!?」

 ひかりは瞳を輝かせた。

「もちろんだ。場合によっては斬った張ったになるかも知れないしな」
「ひかり頑張る!」

 ひかりはそう言って、魔剣の姿になろうとするが。

「それはまだ大丈夫だ」
「そうなの?」
「ああ、今日は手をつないでいこう」

 そう言って手を差し出した、ひかりはすぐに大喜びで手をつないできた。
 可愛い愛娘と手をつなぎつつ、オーラを出してひかりごと包んだ。

 エレノアのオーラを使った魔剣の迷彩。
 これをまとっていると、他人の目に俺が望んだ姿で映る。
 自由自在に姿を変えられるし、見えない様にも出来る。
 昨日見せた「ショウ」の姿にしつつ、ひかりを見えない様にした。

「じゃ、行こうか」
「うん!」

 ひかりと手をつないで歩き出す。
 寝室を出て、廊下を歩く。
 途中でミウがコーラリアを指導しているのが見えた、廊下に飾ってる花瓶の磨き方をレクチャーしている。

「行ってらしゃ――ええ?」

 俺の姿を見たコーラリアは驚くが、横のミウは平然と頭を下げて「行ってらっしゃいませご主人様」と最後まで言い切った。
 会釈だけして通り過ぎた後、背後から。

「いまのカケル様?」
「うん」
「でも姿が……」
「モフモフがご主人様だった」

 という二人のやりとりが聞こえた。
 すれ違いざまにミウを一もふしたから、ミウには分かったみたいだ。

 ひかりと手をつないだまま屋敷を出て街にきた。
 ひかりがいるから、賑やかな街の中を散歩がてらあれこれ見てから、教会にやってきた。

 ドアを押して中に入る。
 大勢の信徒が祈りを捧げている、俺はまわりをきょろきょろ見回した。

「きゃ」

 ひかりが小さな悲鳴を漏らした、よろめいて転びそうになった。
 それと同時に、俺の横を一人の信徒が通り抜けていった。

「大丈夫か」
「うん。ちょっとぶつかっただけだよ」

 ひかりはにこにこしながら言った。

「人が多いとぶつけられるな、ひかり、もうちょっと近づいて」
「うん!」

 ひかりに魔剣になってもらうことも考えたが、つないだ手から、ひかりが多分手をつなぎたがっているだろうなと判断してそう言った。

 迷彩オーラのささやかな弱点だ。
 見えなくしただけで、消えた訳じゃない。
 人の多いところだろむしろ見えないからぶつかる可能性も大きくなる。
 エレノアと同等の力をもっている相手には見えるが、この教会にそんな人間はいない。

 改めて、教会の中を見回した。すると一人の女が俺を見つけてやってきた。

「ショウさん、今日も来てくれたんですね」
「メリルか」

 昨日(ショウ)に入門の儀式をしてくれた子だ。

「いまちょうどみんなでソロン様に祈りを捧げているところです。ショウさんもよかったらしてってください」
「後でする」
(する気などないくせに)

 エレノアは皮肉げに突っ込んできたが、それをスルーしてメリルと話を続ける。

「それよりもちょっと聞きたい事があるんだ。キャロラインって人を知らないか?」
「キャロライン……ですか」

 メリルは頬に指を当てて、首をかしげて考える。

「ごめんなさい、ちょっと分からないです」
「分からない?」

 意外な返事だった。
 あの男達が「法皇にしたい」っていってたから、てっきりソロン教の中じゃ上位の有名人だと思ってたんだが。

「本当にわからないのか? 多分結構高位にいる人だと思うんだが」
「そうですねえ……」

 言われて更に考えるが、すぐにさっき以上の申し訳ない顔をする。

「ごめんなさい、やっぱり分からないです」

 眉をひそめた。当てが外れてしまったのだ。
 話を聞いていたのか、少し離れた所で祈りを捧げていた中年の信徒が話しかけてきた。

「メリル、キャロラインってあれじゃないのか? アイノンのキャロライン」
「あっ! クトルスさんたちが入れ込んでる」
「知ってるのか?」

 思い出したメリルと、思い出させた男を交互に見ながら聞く。

「神の声が聞こえるっていう子の事だろ」

(そいつだろうな)

 エレノアの意見に同意した。
 神の声が聞こえる……状況的に間違いなさそうだ。

     ☆

 アイノン、カランバ王国の国境近くにある養蚕をメイン産業にしてる街だ。
 人口も多く、相当に賑わっている街に、俺はひかりを連れてやってきた。
 ちなみに魔剣の迷彩はしてない、いまの俺は元の姿で、ひかりも通行人に見える状態だ。

「おっ、お客さんいいのを持ってるね」
「ん?」

 街中に入って適当に歩いてると、ある店の店主に話しかけられた。
 毛根が致命的に離脱していった、固太りのおっさんだ。
 そいつは俺が持っているエレノアを見て、言った。

「みた所魔剣レプリカの第四世代だろ? 細部のディテールもよく作られてる」
「ふっ、まあな。本物と並んでも見分けがつかないと思うぞ」

 適当に話を合わせた。

 魔剣レプリカ。
 俺がエレノアを持つようになってから流行りだしたものだ。
 最初は子供達の間で流行って、その後オーラもだせるギミックがつけられる様になって。

 俺の知らない所で少しずつ進化していった魔剣レプリカ、どうやら第四世代なるものが売られているみたいだ。

「それならこれも一緒にどうだい。アイノン自慢の黒絹糸を使って職人の手編みで仕上げたマント。魔剣レプリカのオーラに反応してなびく仕組みもつけられてる逸品だ」

 店主はそう言って畳まれた布をおれに見せた。どうやらこの店の売り物で、俺に声をかけたのはそれを売り込むためらしい。
 それを受け取って、広げてみる。

「これは……」
(貴様の黒衣がモデルだな)
「魔剣レプリカだけじゃなくて、こんなものも売られてるのか」
「最近一番のヒット商品だぜ、お一つどうだい?」
「そうだな。もらおうか」
「毎度あり」

 店主は商売スマイルを浮かべて、布を包んだ。
 カランバ銀貨を取り出して品物を受け取りつつ、聞く。

「ところで、キャロラインって名前をしらないか」
「キャロライン? ああ、嘘つきの」
「嘘つき?」
「あれだろ? ソロンの神の声が聞こえるって言ってたやつ」

 そのキャロラインだな。しかし、

「嘘つきってのはどういう事なんだ?」
「俺もよく知らないんだが……最初の頃は本当に聞こえてたらしいんだが、ある日を境にまったく聞こえなくなったって話だ。んで、最初の頃は神の声が聞こえるから『神の子』だって持ち上げてた連中も、最近はすっかり離れてあいつは嘘つきの詐欺師だって言いふらしてるんだ」
「なるほど……」

 それであの男達がしびれを切らして強硬手段に出たのか。
 多分今も残ってるキャロライン信者だろうな。

「いつから聞こえなくなったんだ?」
「さあ……いつだったかなあ……あっ、そうだ」

 ポン、と手を叩く男。

「オロスのやろうがいなくなってからだ」
(ほう……?)

 エレノアが反応した、知ってる名前か。

(貴様の鳥頭を一度どうにかした方がよいのかもなあ)
「ん?」
「そっか、オロスさんかあ」

 ひかりも知ってる?
 つまり……俺が会ったことがあるヤツか。

 カランバで、俺が会ったことがあって、……思い出せないって事は男で。
 ……。

 宦官の一人か?

(よくできました)

 教師っぽい口調でいうエレノアにデコピンした。

 でもそうか、あの三宦官の一人か。
 三宦官、確か魔の者とも関係してたっけな。
 それが消えた頃に(ソロン)の声が聞こえなくなった。
 何かあるな。

「そのキャロラインは何処に行けば会えるんだ?」

 店主に聞く。
 ますます会わなきゃな、と俺は思った。

     ☆

 店主から聞き出した情報を元に、アイノンの教会にやってきた。
 アイノンにあるいくつかの教会の中の一つ、ロイゼーンのものよりも一回り小さいヤツだ。

 中に入ると、一人の少女の姿が見えた。

「神様、私にもう一度声を」

 たった一人で手を合わせて、祈りのポーズをしていた。
 祈りを捧げているのかとおもいきやそうではなく。

「お願い、神様だけが頼りなの」

 それは懇願にも等しい言葉だった。
 少女はそれを繰り返した、声を聞かせて、もう一度話をさせて。
 それを繰り返した。
 この子がキャロラインなのか? と思って話しかけようとしたら。

「おい! いつまでもそこにいるんじゃねえ」

 奥から別の男が出てきた。
 男はバケツにモップ、清掃道具を持っていた。

「掃除が出来ねえだろ? そこをどけよ」
「……」
「無視するんじゃねえ」

 男は少女の頭を掴んで自分の方を向かせた。

「あっ」
「無視すんな。掃除するからどっか行け」
「ご、ごめんなさい! えっと、あのあの」
「どっか行けって言ってるんだ?」
「ごめんなさい。何を言ってるのかわからないの」
「はあ? またそれかお前。神の声が聞こえても俺たち下々の声はきこえませーん、ってか?」

 男は少女を嘲る。
 少女は困った様子で眉をひそめた。
 本気で困っている様に見える。本当に聞こえないのか?

「いいからそこをどけ、掃除するんだよ」

 男は持っているバケツをみせた、それで少女がハッとして慌ててどいた。

「まったく……」

 男は掃除をはじめた、少女は申し訳なさそうな顔をして、とぼとぼと立ち去った。

「おねーちゃん」

 ひかりが駆け出して、少女に向かって行った。
 とぼとぼとあるくキャロラインの前に立ち見あげる。

「おねえちゃんがキャロラインさんですか?」

 と聞いた。
 愛らしく無邪気な笑顔のひかりに聞かれた少女は。

「ご、ごめんなさい。何をいってるか分からないんです」
「ふえ? ひかりの声がきこえないの」
「本当にごめんなさい! ど、どうしよう、文字よめるかな。声はすごくしっかりしてるから読めるよね」

 少女はまわりをキョロキョロみた、台詞からして紙を探しているのか?

「ひかり」
「あっ、おとーさん。あのね、おねーちゃんひかりの声が聞こえないみたいなの」
「いや声は聞こえてるみたいだぞ。声を言葉として認識出来ないのか? それとも他のなにかなのか?」
「なんか難しいね」
「ああ。紙と文字って言ってたから、筆談は出来るのかな?」
「はい、出来ます」
「そうか、なら筆談で……むぅ?」

 俺は少女を見た。
 いま……会話が。

(成立していたな)

 エレノアがいう、やっぱりそうか。
 その事で驚いて少女を見たが、少女は俺以上にびっくりした顔でこっちを見ていた。

 やがて、一言。

「あなたが……神ですか?」

 と、聞いてきたのだった。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
+注意+
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