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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

メリッサ編

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264.くじ引き

 黒衣から伸びる二本の腕で、男二人の脳天をわしづかみにしている。
 ついさっきまで若々しく、良くも悪くもエネルギッシュだった二人の顔はすっかりやつれて、髪は真っ白になってほんの一瞬で30歳は年を取ったように見える。

 エレノアが任せろといってきたから任せたけど、予想以上だ。
 精神攻撃なんだろうが、ここまで効果が出たものの内容が気になった。

「何をしたんだ?」
(人間は誰しもトラウマを持つ)
「ああ」

 そこまではいいな? って行間を読んで頷いて先を促す。

(そのトラウマを再現しただけだ。あらゆる情景で、あらゆる年代で繰り返した)
「……毎日おねしょを人生の長さ分繰り返したって事か?」
(それを更に数百回)
「なるほど」

 もちろんおねしょじゃなくてもっとエグいトラウマでぶん回しただろうから、一瞬で髪真っ白になってやつれたのも納得だ。

(貴様にもやってやろうか?)
「俺にトラウマなんかないぞ」
(ないなら作ればいい。ひかりに『おとーさんなんて嫌い!』をあらゆる――)
「やめんか」

 エレノアの刀身にデコピンした。
 そんなのをやられたらシャレにならん。

 のどをならしてくつくつと笑う楽しそうなエレノア。そんな彼女を置いて、男二人を改めてみる。

「終わってるのか?」
(うむ)
「よし――おいお前」

 二人のうち、半目でうつろな目をしている方を軽く小突いた。

「あ……ぅ……もぅ……やめ……」

 黒衣から伸びたオーラの腕でカツをいれる。男はビクン! 体を震わせ正気にもどった。

「ま、魔剣使い……」
「答えろ。何のためにメリッサを狙った」

 盗み聞きしてたからそれは分かっているが、念の為再確認した。
 あれが嘘だって可能性もあるからで、エレノアにさんざんいじくられた後で嘘はつけないはずだからだ。

「きゃ、キャロライン様……」
「キャロライン? 女か」
「キャロライン様を……教皇様、に……」

(目的そのものに偽りはないようだな)
「そうみたいだ。おいそっちのお前」

 もう片方も起こして聞いてみたけど、二人とも腹に別のものを納めてることなく、メリッサを排除してキャロラインという女を教皇にするという目的で動いただけのようだ。

「メリッサをやらないとそいつが教皇になれないのか?」
「そんな事は……ない、ねんのため、だ……」
「排除した方が、可能性が高くなる……」

 弱々しい口調で話す二人。簡単にだが、ある程度の関係が見えてきた。

(そのキャロラインという女につけばいいのだな)
「そうだな」

 ある意味、俺と男達の目的は一致している。
 メリッサを教皇にしないという意味では同じなのだ。

 キャロライン、そいつに力を貸そう。

「話は分かった」
「もう、ゆるし――」
「何でもす――」
「ところでお前らは死ね」

 ズパッ! ザシュッ!

 エレノアで二人を斬った。
 オーラの腕を放す、二人は白目を剥いて、崩れ落ちていった。

(容赦ないな)
「俺が俺の女を狙うヤツを野放しにするわけがないだろ」
(言うと思ったよ)
「帰るか。話を聞き出したし、次はソロン内部とキャロラインって女の情報を調べよう」
(聖女様はよいのか?)
「メリッサなら大丈夫だ、あいつをどうにか出来るヤツなんてそうそういない」
(過保護なのかそうじゃないのか)

 エレノアは呆れ混じりに言った。

 ワープの羽根を取り出して、屋敷に飛んだ。
 飛んだ先は屋敷のリビング、そこにひかりがいた。

「あっ、おかえりおとーさん」
「ただいまひかり。オリビアは?」

 リビングの中を見回す、オリビアもチビドラゴンも見当たらなかった。

「おーちゃんはまだあっち(、、、)にいるよ」
「そうか」

 俺の代わりにサラマスに誘い出されたオリビア。
 今後のためにも、色仕掛けが効く男だって思われといた方が都合がいいから、オリビアには頑張ってもらおう。

 心の中でオリビアに声援を送りつつ、ポケットから束になったくじ引き券を取り出して、ひかりにきく。

「くじ引きするか?」
「する!」

 ひかりは大喜びで手を「はーい」とあげた。
 そんな姿も文句なしに可愛らしい愛娘の手を取って、一緒にくじ引き所に移動する。

 くじ引き所には先客がいた、例の触手男だ。
 男はガラガラガラと抽選機を回している、出た玉の確認すらしないような、圧倒的な回数に任せた回し方。

 向こうがまわし終えるのを待つついでに、エレノア達に振り向いた。
 ここでだけ人間の姿になれるエレノア。そのエレノアに抱きつくひかり。

「あれれ? おかーさん、今日の匂いちょっとちがう?」
「気づいたか。うむ、さっき人の心をいじってばかりなのだ」

 エレノアはにやりと口角をゆがめて、ひかりのさっきしたことを説明した。
 母娘はスキンシップしながらエグい話をする。

「ひかりもそれできるかな」
「我の娘だ、当然出来る様になる。ふむ、ひかりに一ついいことを教えてやろう」
「なあに?」
「人間というのは退屈を好む。我がやったようなトラウマのくり返しでなくとも、『何もない日常』を数百年分繰り返しただけで簡単に精神を壊せる」
「壊せるの?」
「うむ。ただしそっちだと完全に壊してしまう可能性が大きいから、話を聞きたいときには不向きだ。時と場合によって使い分けるといい」

 エレノアとひかりの「魔剣講義」に口を挟まないで見守っていると、くじ引き所のスタッフが俺の横にやってきて、話しかけてきた。

「なんどもいいますけど変な家族団らん持ち込まないで下さい」
「変か?」
「へんですよ。あなたもいいんですか? ひかりちゃんが変な事を覚えちゃっても」
「ひかりが魔剣らしくなるのになんの問題がある?」
「……そこも含めて変な団らんだっていってるんです」

 スタッフはますます呆れた目をした。
 何を疑問視してるのかわからんが、エレノアは心の底からひかりに「魔剣のありよう」を語っている。
 エレノアがそう望んで、おかーさん(エレノア)大好きのひかりもそうなるのを望んでる。
 そこになんのもんだいがあるっていうんだろうか。

 それを分からないでいると。

「くじ、引くんですよね」
「ああ、でも先客が――ってもういない」
「あの人ならもう帰りましたよ、ほしいものがほしい数手に入ったのでっていってました」
「ほしいもの?」
「はい」

 スタッフと一緒に抽選機の前にやってきた。
 テーブルの向こうにある景品リストを見る。

・参加賞 魔法の玉(黒)
・4等 魔法の玉(白)
・3等 能力貸し出し(五分、使い切り)
・2等 追加攻撃1%
・1等 能力リセット
・特等 ???

「前にも見たものばかりだな……混ざってるのか?」
「はい。復刻くじびきです。前にあった限定くじ引きの一部が引けるようになってます」
「みたいだな。限定の中の……一番下のものか」
「はい」

 頷くスタッフ。
 能力貸し出しの使い切りも、追加攻撃の1%も、前に限定で引けるときのリストの一番外れだったヤツだ。
 それでも引けるのはそれなりにありがたい。期間限定品を更に手に入れられるのはそれなりに嬉しい。
 追加攻撃もそうだが、貸し出しの使い切りも数を揃えられれば使い道がある。

「能力リセットってのは?」
「特殊能力を文字通りリセットするものです。前についたものを消した今回引いたものをつけるために使えますよ」
「そうは言っても今回のは低いものばかりだろ? 前の強いヤツを消して弱いのをつける意味あるのか?」
「一人二人弱くしても、全員横並びにしたいって人もいるんです。それに持ってれば他にも使えますよ」
「ふーん」

 そういう考え方もあるのか。

「あいつはどれを引いていったんだ?」
「全部の触手に人格があるから、全部に追加攻撃1%つけたいって言ってましたね」
「わかる様なわからんような話だ」

 何のためにするのかそれで何がどうなるのかまったく想像つかなかった。

「で、どうしますか?」
「ああ――ひかり」
「うん!」

 ひかりはパタパタ走ってきた。エレノアは母親らしく、ゆっくりと後からついてくる。

「くじ引きだ、がんばれ」
「ひかりがんばる!」
「って事で、300枚だ」

 ラミアをきっちり300体斬って集めたくじ引き券をスタッフに渡した。
 10枚で11回引けるくじ引き、合計で330回だ。

 スタッフはくじ引き券の数を数えた。

「はい、300枚ちょうどです。ではどうぞ」

 いつの間にか抽選機の前に踏み台が用意されていた。
 ひかりはエレノアを引っ張って一緒に台にのって、ガラガラガラとくじを引いた。
 特にほしいものはなくて、ひかりに好きな様にさせた。
 楽しくくじを引いてるひかりを眺められるだけでも、ここにこうしてきたかいがあったというものだ。

 ガランガラン。

「大当たりです! 特賞です!」
「おー?」

 ぼうっと見てると、ハンドベルとスタッフの祝福の言葉が聞こえてきた。
 見ると、抽選機前の皿の中に金色の玉が乗っていた。

「特賞って……この『???』のヤツか」
「はい!」
「1等をすっ飛ばしてそっちを当てたのか、さすがだなひかり」
「ううん、ちがうよー」
「へ?」
「貴様何を見ていた、一等も当てていたではないか」

 呆れた顔のエレノア、スタッフも真顔で頷く。
 どうやら俺が気づいてないだけで、ひかりは1等も当ててたみたいだ。

「物欲センサーだなあ……」

 330回で両方当ててるとは思わなかった。狙うと出ない、狙わないと出る、物欲センサーが逆に働いてたみたいだ。

「それより、特賞ってなんだ?」
「スキル『下位』互換です」
「『下位互換』? なんだそれは」
「文字通りスキルの下位互換です。そうですね、お客さんが使ったら、全能力0倍から777倍までの間を自由に切り替えられますよ」
「そういえば最初に2倍とか10倍とかも引いてたっけ。なるほど」

 ……。

「それは意味があるのか?」
「お客様次第です」

 スタッフはにっこりと微笑んだ。
 ともかく特賞と一等賞、下位互換とリセットを手に入れた。

「よくやったぞひかり、すごいな」
「えへへ……」

 頭を撫でられたひかりは嬉しそうにする。
 今のところ使い道が見当たらない一等と特賞だけど、ひかりの嬉しそうな顔を見れただけでも引けた価値はあるってもんだ。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
+注意+
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