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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

メリッサ編

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258.オルティアの言葉

 メリッサと一旦わかれた。
 ソロン教の聖女としてのメリッサはいつも危険な事ばかりしてるわけじゃない、ソロンの教えとやらを広めたり、貧しい人に施しをする事もある。

 そういう事になると俺の出番はないから、ひとまずわかれて、ワープの羽根で屋敷に戻ってきた。

 ワープで屋敷の庭に出た、手入れの行き届いた花壇に蝶々とミツバチが飛んでて、遠くからは奴隷兵達の訓練の声が聞こえてくる。
 いつも通りの我が屋敷だ。

 そこにひかりがいた。
 ひかりは友達のチビドラゴンと一緒に花壇のそばで花冠を作っている。
 女の子座りのひかり、四足歩行ながら後ろ足を投げ出して人間のような座り方のチビドラゴン、花壇を背景にする二人組は何処までも可愛かった。

(目尻がさがってるぞ)
「あれを見てほんわかしないヤツは人間の心を持ってないやつだ」
(親馬鹿め)
「お前こそ語尾が笑ってる(、、、、)ぞ」
(わ、我はよいのだ!)

 何がいいのか分からんが、まあいいとしよう。

「あっ、おとーさんとおかーさんだ。おかえりなさい!」

 ひかりが起き上がって、こっちに向かって駆け出した。
 手を広げてア○レちゃんのようなかけっこのしかたはやっぱり何処までも可愛い。

 次の瞬間、殺気が可愛さを上書きしていった。

 ひかりのそばにいたチビドラゴンの姿が急激に膨らんだと思ったら、巨大なドラゴンの姿になった。
 竜王オリビア、ドラゴンフォーム。
 レッドドラゴンより一回り小さな姿だが、存在感はそれ以上だ。

 そのオリビアがいきなり襲いかかってきた。

「おーちゃん!?」
「ふっ」」

 地獄の釜のような大きく鋭い牙のある口を開け放ってかみついてくる。
 エレノアを抜いて受け止めた。ガキーン、と金属がぶつかり合う甲高い声と火花が飛び散る。

 ぐぐぐ、と力が込められてきた。エレノアを噛んだオリビアはひねりを加えて、俺の手から剣を奪おうとする。

「あまい」

 その逆方向に力を加えた。
 剣にかみついたままのオリビアはぐるん、と体が半回転して地面にすっころんだ。
 どしーん! 地震が起きたかのように地面が揺れた。

 エレノアを強引にひきぬく。
 ただすっころんだだけのオリビアはすぐさま起き上がって、獰猛な口の中に渦巻く炎を溜める。
 この時点で既に熱風が顔面に押し寄せてくる程の熱量。吐かれたら普通の奴じゃひとたまりもないだろう。

「おろ?」

 オリビアはきょとんとした。
 起き上がって向いた先に俺はいなかったのだ。

「ここだ」

 俺はオリビアの背中に乗っていた、エレノアの切っ先で彼女のうろこを軽く突っつく。
 あの程度でオリビアがどうにかなるわけないと思った俺は彼女が起き上がった後の動きを予測して、動いたと同時に背中に乗った。
 四足歩行の生物がほとんど死角だったり急所であったりする背中。

「参った」

 そこに取り憑かれたオリビアはあっさり降参した。
 オリビアの背中から跳び降りる、すると彼女はドラゴンから人間の姿になる。

「やっぱりすごいね人の子は。昔もそうだけどもう全然かなわないや」
「お前こそ」

 オリビアと、いきなりの事できょとんとしているひかりをみる。

「元の姿に戻れる時間が長くなったな」
「うん! ひかりちゃんのおかげだよ。すっごい勢いで伸びてるんだ、あたしがこの姿でいられる時間。ひかりちゃんすごいよ」
「当然だ」
(当然だ)

 むっ、かぶってしまった。

「おろろ、どうしたの人の子」

 エレノアの声が聞こえないオリビアからしたら俺がいきなり意味不明にきょとんとなってるようにみえるだろうな。

「いやなんでもない。おいでひかり」

 エレノアとの事は適当にごまかして、未だにぽかーんとしているひかりに手招きした。
 我に返ったひかりがとたたたと駆け寄ってくる。

「びっくりした。おとーさん大丈夫だった?」
「おー大丈夫だ。家に帰ったら大型犬がタックルつきでじゃれついてきたようなもんだ」
「そーなの?」
「ああ」

 大型犬飼ったことないけど大体そんなもんだろ。

「でもダメだよおーちゃん、いきなりこんなことしちゃ。お庭がめちゃくちゃになってミウおねーちゃんのお仕事が増えちゃう」
「はーい、ごめんなさーい」

 オリビアは悪びれた様子もなくとりあえずって感じで謝った。
 そのままチビドラゴンの姿に戻る――が。
 戻る直前にイタズラっぽい笑みで俺を見た。

(気づいているようだな、貴様が何もない、荒れても平気なところにすっころがした事に)
「掃除が増えるだけならミウはどうとでもするだろうが、花はな」
(その手加減が竜王のプライドに触るかとおもったが……そうでもなかったな。むしろ喜んでいたか?)
「どうだろうな」

 オリビアは違う意味で腹の底を読みにくいタイプだ。
 いつもあっけらかんと、屈託なくしてるが、そういうので賢いタイプは大抵裏の別の顔をもってる。
 オリビアもそういうのがあると俺は踏んでる。

「みゅー、みゅー」
「うん! ひかり頑張るね」
「オリビアは何を言ってるんだ?」
「早く一晩戻れるようにしてって」
「一晩……あっ」
(くくく、竜王殿は裏の顔などないのかもしれんな)

 楽しげにいうエレノア。
 彼女の言うとおり、あけすけなのが本性なのかも知れない、と俺も思うようになってきた。

     ☆

 ひかりがチビドラゴンと遊んでるのを、リビングでくつろぎながら眺める。
 リビングは大きな窓があって、庭を見渡せるようになっている。

 くつろぐ俺のそばにオルティアがいた。
 大賢者オルティア、世界のあらゆる知識を持っていると言われている女。

「私はオルティア、ただのオルティア」
「こっちの心を読んでる時点でただのって言えんな」
「あなたの心だからいいの」
「俺のだから?」
「肌を重ねた男の考えを読むまでならただの女でもできるわ」
「なるほど、そうかも知れない」

 体を寄せてくるオルティア。
 互いに服を着てるが、それでもぬくもりと香りと、そして体の柔らかさをはっきりと感じる。
 彼女の髪を優しく撫でながら、もう片方のてでゆっくり精気を送る。

 精気をすって若返るオルティア、それは過去の一件で、エレノアに渡された力のせいだとしった。
 エレノアの力のほとんどを把握した俺は、オルティアをより若く、美しくするために精気を送っている。

 その事を……まあ。

(オルティアなら気づいていよう。が気づかないふりをするだろう。この女は「ただの女」でいたいのだからな)

 エレノアの言うとおりだと思った。
 オルティアは何度も言った、せめて俺の腕の中にいる時はただのオルティアでいたい、と。
 それはそれで嬉しい、しかし。

「アドバイスがほしい」

 大賢者オルティアが必要な時もある。

「はなしなさい」

 オルティアは先生口調になった。
 これも最近分かってきたことだが、彼女はあえてその口調にする事で、オンオフをはっきり区別しようとしている。

「メリッサを教皇にしたいヤツがいる。多分政治だ。メリッサ本人はそのつもりはない」
「そして彼女はあなたの女」

 頷く俺。
 そう、メリッサは俺の女。

 俺が俺の女にする事は決まって一つ。
 好きな様にする、俺がさせる。
 それだけだ。

 オルティア――大賢者オルティアはそれをすぐに理解した。

「簡単な話だわ」
「どれくらい簡単だ?」
「こうなさい。メリッサよりもふさわしい人間を教皇にすれば良い」
「……うん?」
「あなたの困惑を言い当ててあげるわ。メリッサを教皇にしないように動くと彼女の名声を下げたりやりたいことを妨げるようになるのではないか、と」
「その通りだ」

 力をかして何かにするのは得意だ、しかし何かにしないってのは俺の女の「いい女」の部分を殺すことになるかも知れない。
 だから悩んで、迷ってた。

「なら別の人間に力を貸して、あなたがその人間を教皇にすればいいだけの話。違って?」
「……その通りだ」

 言われてみるとその通りだ。
 別にメリッサがなりたくないからメリッサの足を引っ張らなくてもいい。
 他の……なりたいヤツかそれなりにふさわしいヤツかに力をかせばいい。
 それも。

「文句のつけようがない位のやり方で」
「よくできました。あなたなら出来るわ、あなたが肩入れしただけで勝利確定だもの。メルクーリも、カランバも、コモトリアも、シラクーザも、アイギナも」

 うたうように数え上げるオルティア、それは今まで俺が手を貸してやった女達の名前だ。

「それに――」

 オルティアの空気が変わった。
 大賢者から、ただの女に。
 しっとりとした空気をまとい直し、俺にしなだれかかる。

「――私も」

 彼女と四百年の時をこえて再会出来たのも、俺が手を貸したからだ。
 だからこその強い信頼と、称賛とともに想いを伝える言葉になった。

「私も」

 そう言ってただのオルティアに戻る彼女を、俺は抱きよせて、さっき以上に優しく髪を梳いてやった。

 オルティアのアドバイスでやることが決まった。
 メリッサがやりたい事をやれるために、俺が別の誰かを教皇にする。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
+注意+
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