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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

メリッサ編

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257.やりたいこと、やりたくないこと

「う……ん。……あれ、ここは?」

 まぶたを開けたメリッサ、寝起きでまわりの状況が把握できてなくてきょろきょろする。
 既に夜になっていて、部屋の中は魔法を使った照明と淡い月明かりで満ちている。
 ソロン教の連中は追い出した、部屋の中はメリッサと俺の二人っきりだ。

「カ、カケル? あっ……」

 俺の顔を認識して、それから状況を思い出したようだ。。
 メリッサは体を起こして、うつむき加減で俺におずおず聞いてきた。

「カケル……ずっとここにいた?」
「ああ」
「何日も?」

 ほんのり嬉しそうに聞いて来る。

「いいや、ちょっとだけだ。あれから半日も経ってない」
「え? でもあんなにいっぱいの人の病気とかケガを引き受けたのに、半日も経ってないってことは……」
「回復力を貸し出した」
「あっ……」

 これまでも何回も貸しだしを経験してるメリッサはすぐにそれを理解した。
 前も俺の女や奴隷兵達を守るために、体力と回復力を貸し出したメリッサを部隊の中に潜り込ませたことがある。
 その経験で、すぐに俺がやった事を理解した。

「そっか……ありがとうカケル」
「気にするな。それよりもあれ、いつもやってるのか?」
「うん、最近する様になった」
「最近?」

 眉をわずかにひそめて聞き返した。

「ソロン様の加護でね、最近は『後から』でも肩代わり出来る様になったんだ」
「それも聞こうと思ってた。前はリアルタイムだけだったよな」
「うん。それが出来る様になって、もしかしたら――って思ってはじめたのがさっきの」
「なるほどな。それはお前がやると言い出したのか?」
「……? そうだけど、どうしたの?」

 メリッサは首をかしげて聞き返してきた。
 彼女が自分の意思でやってる、それだけ分かれば充分だ。

「いいや、聞いてみただけだ」
「そっか。……失敗したな」

 メリッサは頬を桜色に染めて、顔をシーツと膝に埋めた。

「何がだ」
「カケルがずっとここにいてくれるなんて思わなかったの。あれ、カケルに見られたくなかったな」
「あれって、病とかケガとかを引き受けた後の姿のことか?」

 メリッサは顔を埋めたまま頷く。

「あたしは自分じゃ見てないけど、話は聞いてるの。想像も出来ちゃう。あれ、すっごく醜いでしょ。カケルに見られたくなかったな……」
「醜い? そんな事ないぞ」
「え?」
「綺麗だった」
「ありがとカケル、でも気遣いはしなくていいから。さすがにあの姿は」
「一つ教えてやる。俺が綺麗だと思う基準だ」
「え? うん……どんなの?」
「俺の女が、自分のしたいことをしてる時」
「あっ……」
「あれはお前がしたいことなんだろう?」
「……うん、それは、そう」
「だったら文句なしに綺麗だ」
「……ありがとう」

 メリッサはますます顔を真っ赤にさせて、膝に埋めてしまった。

(くくく、貴様にかかれば聖女様もただの乙女だな)

 楽しげな笑い声を漏らすエレノア。
 メリッサが自分からそれをやってるのを本人から聞いた。
 なら止める必要はない、これからも本人の好きにさせてやろう。

 コンコン。

 ノックされて、メリッサはビクッ、とドアの方を見た。

「メリッサ様? お目覚めでございますか?」
「な、なに?」
「おお、もうお目覚めですか。アルセニオス様がおいでになられました。メリッサ様にお会いして話がしたいと」
「わかった、すぐ行くわ」

 メリッサは急速に落ち着きを取り戻してベッドから降りた。
 直前まで恥じらう乙女だったのが、一瞬で威厳のある聖女の顔に変わった。

「知りあいか」
「司教様よ」
「同僚ってことか」

 それなら邪魔しない方がいいな。
 俺は異次元倉庫を開いてワープの羽根を取り出す、メリッサがおきたし、今日は退散しよう。

 そう思ってワープしようとしたが。

「か、カケル」
「ん? どうした」
「話すぐに終わらせるから、まっててくれる?」

 懇願、そして期待がない交ぜになった表情だ。
 直前の赤らめた顔を知っている俺は、彼女が何を望んでその顔をしてるのかも分かる。

「分かった、待ってる」
「ありがとう! 話が終わったら呼ぶね?」
「その必要はない」

 俺はオーラを出して、自分を包んだ。
 エレノアの力を使った迷彩のオーラ、まわりに溶け込んで誰にも見えない様にする技だ。

「か、カケル? どこに行ったの」
「ここだ。話が終わったらわかるようにそばにいてやる」
「――ありがとう!」

 メリッサはまた嬉しそうな顔をした。
 その後顔を引き締めて、聖女としての姿になった。

 ドアを開けて廊下にでた。そこに男が待っていた。
 ノックしてきた男はメリッサを先導した。
 ついていくメリッサに、俺は迷彩をまとったままついていく。

 応接間で、メリッサは法衣姿の男――彼女以上に仰々しい法衣をまとっている男と対面した。

 男は四十代くらいで、身長はそこそこでやたらと太っている。
 目測だと……170センチで120キロってところか。
 こういうタイプは……多分。

(権力で肥えた、まずはその辺りだな)

 エレノアもそう思ったようだ。

「久しぶりねアルセニオス。こんなところに来てどうしたの?」
「おめでとうございますメリッサ様」
「いきなりどうしたの?」
「メリッサ様が示した奇跡、お恵みの効果は抜群です。ネクタルの民が次々と我がソロン教に帰依すると殺到しているようです」
「それは何よりだわ」
「メリッサ様が起こす奇跡のたまものでございます。今も耳を澄ませば聞こえてきますな、ネクタルの民がメリッサ様を称える声が」

 アルセニオスはメリッサをおだてた。

「それを言いに来たの?」
「相変わらずせっかちですなメリッサ様……教皇猊下の件、ご存じですな」

 アルセニオスの表情が一変した。
 それまでお調子者な感じでメリッサをおだてていたのだが、一変して陰謀家って感じの顔になった。

 表情を変えたのはメリッサも同じだ、こっちは眉をひそめた。

「容態がよくないの?」
「その表現は正しくありませんなメリッサ様。猊下はいよいよ召されるのです、我が神の元へ」
「……そうね」

 苦虫をかみつぶした顔で頷くメリッサ。

「実に喜ばしい事でございますな。しかし問題も生じます、そう、次の教皇はだれになるか、ということですな」
「どういう意味?」
「単刀直入に申し上げます。教皇になられませ」

 へえ。
(ほう)

 俺とエレノアの反応はほぼ同じだった。
 面白い展開になった、と思った。
 しかし。

「お断りするわ」

 メリッサは即答して断った。

「理由を伺っても?」
「神がおっしゃられてないから」
「なるほど」

 頷くアルセニオス、そのまま意味深な顔をして。

「では神が仰せになれば?」
「……どういう意味?」

 眉をしかめるメリッサ。

「たいした意味はございません」

 アルセニオスはそう言うが、それは絶対に嘘だ。
 大した意味がないはずがない。
 こんな時にその聞き方をするなんてのは、メリッサがうんと頷けば「神の言葉」とやらがその通りになるからだ。

 政治、だな。

(まずはその辺りだろうな)

 エレノアが同意する。

 メリッサとアルセニオスはしばらくの間見つめ――いやにらみあった。
 先に引いたのはアルセニオスだった。

「どうやら時期尚早だったようですな」

 メリッサにそのつもりはないと悟ったアルセニオスはそう言って引き下がった。
 そのままいくつか社交辞令を並べて、部屋から出て行った。

「ふう……」

 メリッサの口からため息が漏れた。

(こっちはやりたくない事のようだな)

 そうみたいだな。
 教皇、つまりソロン教のトップになる。
 そのつもりはメリッサにはないみたいだ。

 フィオナとマリの時と逆だな。

 メリッサがやりたくない事……なら。
 阻止する(叶えてやる)しかないな。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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