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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

メリッサ編

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255.全てを焼き尽くす炎

「すごいなあ……」

 おびただしい程のオピスの死体を前に感心するメリッサ。
 法衣をまとっているが、彼女は俺が知っている他の聖職者と違う。
 血なまぐさい現場、修羅の大地に気後れしない胆力の持ち主だ。

 今も蛇の死体の山を前にケロッとしている。

「カケル、また強くなってる?」
「ほんの少しな」
(おいそこは謙遜するな。この我が全盛期の力を取り戻したのだぞ。ほんの少しってことがあるか)

 エレノアが心の中で猛抗議してきたが、スルーする。

「蛇どもはともかく……現われないみたいだな」

 オピスとの戦闘は長引いた。
 斬っても増殖する相手だ、自然と長引く。

 もともとここにとどまってヘーミシュを待つって話だったが、こうしてる間も新しいのが沸いてくる様子はない。

「大丈夫っぽいね」
「そうだな」
「ありがとうカケル、助かった」
「気にするな、自分の女とデートしただけだ」

 そういってメリッサを抱き寄せてキスをする。

「ありがとう……」

 頬を染めて、二重に嬉しそうな顔で答える。
 それも一瞬だけのこと、俺の腕の中で耽溺しないメリッサはすぐに聖女の顔に戻った。

「後は水を手配するだけだね」
「水を手配? ヘーミシュは全滅したぞ」

 あたりの水源を汚染してる元凶は全部倒したんだからそれで――。

(アホか貴様は)
「むっ? ……そうか」

 エレノアに指摘されて、俺はその事に気づいた。
 元凶を絶ったからといって、水がすぐに浄化される訳じゃないんだ。
 一度汚れた水は自然にまかせて入れ替わるのを待つしかない。

「大雨でも降ればいいんだけど、しょうがないよね。このあたりの水の流れだと半月もあれば大丈夫だから、その分の水を手配すればいいかな。ありがとうカケル、カケルのおかげで大分楽になる」
「おいメリッサ」

 彼女の口ぶりから、俺はある想像をしてしまう。

「なに?」
「その水の手配ってもちろんソロン教持ちだよな」
「ううん、あたしの自腹だよ。大丈夫、水くらいたいしたことないしカケルのおかげで必要分へったから――いた」

 俺はメリッサの頭を小突いた。
 不死の聖女メリッサ、エレノアに真っ二つにされたところで復活してくる不死身の体だからちょっと強めに小突いた。

「な、何をするの?」
「……」

 お人好しなのもいい加減にしろ、といいたかったが。

(くく、自己犠牲がライフワークな聖女様には意味のない突っ込みだろうな――こらっ)

 楽しげに話すエレノアにもデコピンをしておいた。

 そうしてからメリッサをみる。
 頭のてっぺんを押さえてちょっと涙目で俺を見るメリッサ。
 ……はあ。

「水源へ行くぞ」
「え? それはどうして――あっ待ってよカケル」

 メリッサを置いてさっさと歩き出した。メリッサは早歩きでついてきた。
 彼女を引き連れた形で、スタスタと進む。

 宵闇の中、せせらぎの音が聞こえる水源に辿り着く。

「ここか、水源は」
「そうだけど、何をするの?」
「一気に浄化する」
「ど、どうやって?」

 炎で焼き尽くせばいい。
 この世界にきて初めて覚えた――体でうけて覚えた魔法が炎の魔法だ。
 それを俺の魔力で使えば一気に――。

(力を貸してやろうか)
「いいアイデアがあるのか?」
(アイデアというか、取り戻したかつての力だな)
「へえ」
(我が使ってもよいのだが……貴様にやる。聖女様を下がらせろ)
「メリッサ、少し下がれ。準備をする」
「う、うん。わかった」

 メリッサは言われた通り下がった。数歩離れたあと、何をおもったのか更に数歩離れた。

「あれでいいか」
(問題ない。覚悟はいいか?)
「察しはついてる、やれ」
(くくく)

 エレノアは笑った、楽しそうに、そしてあくどそうに。

 瞬間、俺の体を炎が包んだ。
 エレノアから発した炎、黒い炎。

「カケル!?」

 メリッサが声を上げた、手をかざして動きを止める。

 この世界で魔法を覚える方法は二つある、その一つがこれだ。
 適性がある人間が魔法を喰らった後も生きてれば勝手に身につくのだ。
 そして俺の全適性は777倍、何を喰らっても覚えられる状態だ。

 後は耐えきるだけ。
 エレノアの黒炎は普通の炎よりもきつかった。

 体の表面だけじゃない、骨の奥の奥まで灼いてくる痛みだ。
 それを耐える、力を解放して耐える。

 炎はしばらくの間続き。やがて急速に消えていった。

「カケル、大丈夫?」
「途中から俺がやってる事は理解しただろ?」
「それでも心配になるじゃん、あんな見るからにヤバイの」
「エレノアの炎だからな、見た目だけはエグいさ」
(だけとはなんだだけとは)

 エレノアは声を上げる、もちろん本気の抗議なんかじゃない。

「さて、やるか」

 俺は再び水源に向き直った。
 手をかざして、今し方くらったエレノアの黒炎を使う。

 火種くらいの炎がゆっくりと飛んでいき、それが水源の中に飛び込んだ瞬間。
 ボワッ!!
 一瞬で燃え上がった。

 ただの水だったのが、まるでガソリンに引火したかのように燃え上がった。
 水源が黒炎に包まれる。
 水が瞬間で蒸発していく、それだけではない、まわりの土も灼いていく。

 時間にしてほんの五秒足らず、水源は水を全部抜いた後の池になった。
 そこにあった汚染水は全部なくなったが、源をたったわけではない。

 新しい、綺麗な水がジョロジョロと湧き水のように出てきた。

「これで大丈夫だな」
「カケルってすごいな、こんな解決法思いつきもしなかった」

 お前のせいだ、って言葉は呑み込んどいた。
 代わりに。

「その分の報酬をもらうぞ」
「うん! 喜んで」

 抱き寄せた聖女は、誰よりも嬉しそうな顔で頷いた。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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