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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

メリッサ編

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254.新たなはじまり

 メルクーリ領内、イスピス平原。
 夜の平原に、小さな光点がゆらゆらと漂っていた。

 遠目でみればまるでホタルのようにも見える、みているだけならそれなりにムードの出る光景だ。

「あれか」
「うん、ヘーミシュっていうの。あれがこのあたりの水源を汚してるのよ」

 俺の横に立って、光点の説明をしたのはメリッサ。
 ソロン教の法衣をまとう、不死の聖女メリッサ。

 異名は彼女の特殊体質に由来する。
 かつて殉教者として、七日間にわたる七回の処刑を全て耐え抜き、神の奇跡とやらをその身で体現して見せた女。
 その一件の後生還した彼女はソロン教に聖人認定され、今ではその名を知らぬ者はいない程の有名人だ。

 ちなみにソロン教は世界最大の宗教。各国の王族や貴族にも信者はいる。
 そのソロン教の聖女だから、メリッサは王族に勝るとも劣らない程の地位の人間だ。

 なのだが。

「毎回思うんだけど、なんでこういうモンスターの退治にお前が自ら出っ張るんだ?」
「頼まれたし。それにこれも宣教の一環だから。世の中はまだまだソロンの教えを受け入れない人も多いの。あたしがやった事で少しでもソロンの教えを受け入れられるようになればいいなって」

 まるで近所の幼なじみの様なフランクな口調でいかにも聖女らしい台詞を口にするメリッサ。

「ごめんねカケル、こんなことに付き合わせて」
「自分の女の頼みだ、気にするな」

 そう言って、俺はエレノアを抜いた。
 ひかりは置いてきた。夜遅いからひかりはお休みの時間だ。

「で、なんだっけ」
「色が変わるの。攻撃が出来るのは今の光から赤い光に変わった瞬間だけなの」
「色がかわるか」

 エレノアを構えたまま光点――ヘーミシュをみる。
 ゆらゆらと漂うホタルの様な光点、ざっと100近くいるが、色が変わってるのは一匹もいない。

(変わってるぞ、もっと集中しろ)
「なに?」

 エレノアに言われて、集中して、目を凝らす。
 じっと見てると確かに色が変わっていた。

 長さにして100分の1秒くらいか? サブリミカルレベルの間隔で赤い光を放って、実質点滅している。

「なるほど」
「見えた?」
「ああ。赤いときに攻撃すりゃいいんだな。普段の時に攻撃したらどうなるんだ?」
「回復するの。攻撃の強さにもよるけど、体力が最大まで回復するって思っていいよ」
「そうか」

 100分の1秒に割り込む精度を要求されるって事か。

(やれるか?)
「ひかりを連れてくればよかった」
(いいどころなぞいくらでも見せられる。夜は寝かせてやれ)
「そうだな。メリッサ、行ってくる」
「うん! 頑張れ!」

 かなり位の高い法衣をまとった聖女メリッサは、野球観戦する女の子みたいな可愛らしい応援をしてくれた。

 そんな声援を背に受けて、ヘーミシュに向かって行く。
 じっと見つめて――エレノア一閃。

 水平に走る閃光のあと、ヘーミシュは花火のようにはじけて飛んだ。

「今のでいいんだな」
(そのようだ。そして今ので連中が怒ったようだ)

 エレノアの指摘通り、一体倒した後、残りのヘーミシュは俺に殺到してきた。
 だがそれだけだ。
 向かってくるヘーミシュを集中して見つめて、100分の1秒のタイミングを見計らって切り捨てる。

 光風が舞う。
 月明かりの下、光の嵐が俺を中心に渦巻いていた。

 100体近くのヘーミシュは、一分も持たずに全滅した。
 くじ引き券が10枚でたから、それをついでに拾ってそのまま異次元倉庫に突っ込む。

「お疲れ様!」
「これで全部か?」
「多分。村の人たちが言うにはここにいるだけだから」
「そうか。念の為に少しここに残って様子を見るか」
「いいの?」
「乗りかかった船だ、そのかわり」
「そのかわり?」

 首を傾げるメリッサを引き寄せてキスをする。
 いきなりされた彼女は顔を赤らめつつ、きょとんとした。

「待ってる間は相手をしろ」
「うん! いくらでもする」

 抱き寄せたメリッサ、月明かりに照らし出される顔はいつにもまして綺麗で、もう一回キスをしたくなった。
 そう思って顔を近づけると。

「ひゃ」
「どうした」
「あ、あれ」

 いきなり悲鳴を上げて、離れた場所を指さすメリッサ。
 ヘーミシュがもうでたのか、と思ってそっちをみると。

「あれは……オピス?」
「オ、オピス?」
「ああ」

 頷くおれ。
 現われたのはヘーミシュじゃなくて、オピスだった。
 くじ引きの力で行った過去の時代にいた白い蛇だ。

 それが一匹、俺たちの前に現われていた。

「はじめてみるモンスターだけど、カケルは知ってるの?」
「強さはそこそこだが、魔剣で斬ると強さそのままに分裂する死ぬほど面倒臭いヤツだ」
「強さそのままに?」
「魔剣の天敵って言われてるな」
(天敵ほどのものじゃない)

 エレノアはちょっとだけむっとした。
 あの程度のを天敵呼ばわりして腹を立てたみたいだ。

「魔剣の天敵……だからカケルが知ってるんだ」

 そういうわけじゃないけど、あえて弁明もしなかった。

「じゃあ、あたしがなんとかする」
「メリッサが?」
「うん。強さは普通なんだよね」
「まあな、図体通りの強さだ」

 そんなに強くはないが見かけ倒しでもないやつだ。

「だったらあたしがなんとかする」
「どうするんだ?」
「普通の強さで一体だけなら、差し違えれば――」
「却下」

 最後まで聞くことなくメリッサの提案を却下した。
 不死の聖女メリッサ、モンスターが一体しかないのなら差し違え覚悟ってのは確かに有効な手段かも知れない。
 かもしれないが、それはやらせない。

「でも」
「メリッサはみてろ。面倒臭いけど、面倒臭いだけだ」

 メリッサを置いて、俺はエレノアを構えたまま前に出た。

「やるぞ」
(うむ)

 エレノアとともに踏み込んで、白い大蛇――オピスを両断した。
 過去の時代で何百回も斬ってきた感触そのままに両断。

 真っ二つにされたオピスはすぐに再生、過去とまったくで、同じ見た目の白い蛇二体になった。

「すっごいな、こんなモンスターがいるんだ」

 メリッサがつぶやく中、俺は更にエレノアを振るう。
 分裂した蛇の攻撃力はそのままだが、体力、いわゆるHPは減ったままだ。
 10の体力を持つヤツに1のダメージを与えた場合、引いたあとの9の体力の蛇が二体できあがるって話だ。
 9に1の攻撃をしたら今度は8の体力が二体、8にしたら今度は7のが二体……って感じで増殖していく。
 最終的に体力が0になったらそれ以上分裂する事なく倒れる、ってのがこのオピスってモンスターだ。

 だから、一体で出てきたが数百体を相手にするって思えばいいだけのこと。
 ギアをあげて斬った。

「むっ」
(……これは)

 違和感を覚える、それは俺だけじゃなかった。
 エレノアも反応してる、彼女も反応してる以上勘違いではなかった。

「どうしたのカケル?」

 その間俺の手が止まったから、メリッサは心配そうに聞いてきた。

「何でもない」

 彼女にはそう言って、俺はオピス斬り再開する。
 斬って分裂させて、分裂させたヤツを更に斬る。

 斬って斬って斬りまくって――。

「ふ、増えすぎ! これどうするの?」

 初めて見たメリッサは戸惑ったが、それでも斬り続けた。
 増殖していくオピス、膨らみ上がっていくオピスの集団はすぐにピークを迎え、それ以上増えることなく同じ速度で減っていく。

 そうしてオピスを全滅させた後。

「すごい……今まで見たカケルの中で今日が一番すごいかも」

 と、メリッサが目を丸くしていた。

 その一方で、俺とエレノアは違和感の正体を突き止めていた。

(斬った後にそのままで増殖ではなかった。じゃっかんパワーアップしての増殖だった)
「ああ」

 そう、過去のオピスと違って、斬れば斬るほど白い蛇は強くなっていった。
 最後あたりのオピスは全力で斬らないと刃がうろこにはじかれそうな位硬くなってた。

「何もない」
(って事はないな)

 俺とエレノアはそう意見を一致させた。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
+注意+
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