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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

ミウ編

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250.だれでもいいわけじゃない

「やっちまえ!」

 襲いかかってくる三人の兵士、俺は静かにエレノアを抜いた。

 斬首、袈裟斬り、胴斬り。
 一瞬で三人を切り捨てた。

 それから隊長らしき男と向き直って、見つめる。
 少し待った、俺がここに来た目的のために少し待った。

「待ってくれ、ユウキ侯爵だろ? 我々は――」
「知ってる」

 向こうが俺を認識して名前を呼んだ、そして俺はそれに応えた。
 これで条件達成、そのまま縦に男を両断した。

 半身が崩れ落ち、半身がしばらく立ってまま、それから白目を剥いて倒れる。
 直後、兵士が逃げ出した。

(おとーさん、おわなくていいの?)
「いいんだ、これで目的は達成したんだからな」
(そーなの?)
(うむ、セレーネの息が掛かった人間が状況を知りつつ介入した。連中にはその事の伝書鳩になってもらわねばならんからな)
(むずかしいね)
(ひかりはそれでよい。まずは魔剣として成長する事だけを考えればよい。その後の事は後からついてくる)
(うん!)
(ちなみに最後の一撃、縦に斬ったあれはな――)

 無邪気に返事するひかり、そして魔剣のなんたるかを娘に吹き込むエレノア。
 普通の母娘と違う、だがそこがいい。

     ☆

 メリナ公爵の使用人達を檻の中から出してやった。
 中に何人か体調を崩してる人間がいたから、魔法の玉で回復してやった。
 それをしたから、俺は二重に助けてくれた人間として、ほぼ全員から好意的な目を向けられるようになった。

「感謝いたします」

 一通りすむと、使用人の中で一番歳のいった、威厳のある男が俺に言った。
 人間はある程度生きると立ち居振る舞いが日常に固定されてくる。
 お忍びをしても王族は王族っぽく見えるし、物乞いにシンデレラストーリーが訪れても育ちがそこかしこにでる。

 この男は、一目で「執事」だと分かる振る舞いをしていた。

「あなた様のおかげで助かりました」
「気にするな、頼まれごとを果たしただけだ」

 さっきの兵士達と同じように、こいつらにもある程度噂を広めてもらわないといけないから、おれはそう言った。

「……はい」

 やっぱり執事をやっている男だ、そいつはすぐに俺が言ってないけど言いたいことを理解した。そんな顔をした。

 俺は大量の銀貨が入った布袋を男に渡した。
 メルクーリ以外まだ紙幣を使ってないから、金がかさばる。

「これは?」
「旅費だ、それを使って主の元に返れ」
「……」
「どうした」

 むずかしい顔をする男に聞く。
 いや、男だけじゃない。よく見ればまわりの使用人達も、大半がそういう複雑な顔をしている。

「公爵様の元に戻っていいものか」
「俺がこうして出張ってきた意味を理解してるんだろう?」
「はい」

 男は即答した。はっきりと即答したそれは認識を間違ってるようには思えない。
 ならなんでだ?

「公爵様は敗れたお方、この先公爵様についていっても未来はあるのかと」
「……」
(くくく)

 エレノアが笑った、最高に面白がってるトーンだ。

「侯爵殿下、我らをどうか助けてはいただけませんでしょうか」

 執事の男が言うと、全員が一斉に俺にすがる目を向けてきた。
 つまりあれか。

 メリナから俺に鞍替えをしたいってことか。

     ☆

 ワープの羽根で屋敷に戻ってきた。
 リビングに出て、ミウと出くわした。

「お、お帰りなさいご主人様」
「ただいまミウ……どうした」

 俺を見つけたミウがおずおずと俺の背後やまわりをみる。
 何かを探している様な振る舞いだ。

「ご主人様……お一人ですか?」

 上目遣いで、おそるおそる……顔色をうかがうように聞くミウ。

「ああ、一人だ」
「えっと、その……」

 ミウは珍しくもじもじしながら更に聞こうとする、が。
 聞きたいけど切り出せない。そんなミウに俺から言った。

「この屋敷のメイドはミウだけだ」
「――はい!」

 彼女が一番知りたいことを教えてやると、大輪の花が咲いたかのように微笑んだ。
 助けに行く前に一度屋敷に戻ってひかりをつれていった。その時にミウに話をした。

 それで俺が新しいメイドを連れて戻るかが気になったんだな。

「ミウ」
「はい」
「モフモフするぞ」
「分かりました。今すぐ来ます」

 ミウはそう言ってリビングを出た。ここにいるのが人形で、もふもふのためにオリジナルと入れ替わるようだ。

 ソファーに座って、ミウを待つ。

(ねえおとーさん)
「ん?」
(どうしてあの人達を連れてこなかったの?)

 ひかりは当たり前の疑問を口にした。
 そう、俺はあいつらを連れてこなかった。
 路銀だけをやって、そのまま帰ってきた。

 連れてこなかったのは――俺の使用人にしなかったのは。
 主が大変な時に見限って鞍替えするような連中に用はないからだ。

 病気してる子を直したから変に期待されたようだが、俺はそういう人間じゃない。
 ああ、もっと簡単な話だった。

「あの中にいい女はいなかったからな」
(そっか!)

 ひかりは納得した。
 そう、いい女は居なかった。
 全員が全員主を見限るような連中に、いい女など居るはずもなかった。

(くくく、貴様らしい)
「悪いか?」
(いいや?)

 エレノアは楽しげに言った。

(それでこそ貴様だ)

 実に楽しげにそう言ったのだった。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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