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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

ミウ編

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249.救出

 アイギナ王国、ソレク街道。

 夜、そこで野宿をする一団があった。
 車輪のついた木製の檻がいくつもあって、それが全部馬に引かれている。

 檻の中に老若男女、様々な人間が入っている。
 大半は使用人の格好をしていて、中には上級使用人――貴族の執事らしき格好のものもいる。
 全員が公爵家の者、メリナ公爵の使用人だった者たちだ。

 官位制度の厳しいアイギナでは「公爵の使用人も10位官」という言葉があるように、例え使用人でも出自が奴隷でも、公爵の持ち物であれば下級官吏に匹敵する身分として扱われる。

 当然の如く、それをいいことに「虎の威を借る狐」的な振る舞いをする使用人も多いが、それは重大な犯罪、あるいは主の顔に泥を塗る行為でなければほとんど許される。
 つまり、今ここにいて檻の中に入れられている人間は少し前まではあっちこっちで威張り倒す存在。それが今や檻に入れられ、無理矢理連行され大半の人間が憔悴しきっている。
 護送しているのはアイギナ兵なのが、憔悴の一員となっている。

 護送隊のリーダー格である二人の男が、たき火の前で肉を焼き、酒を飲んでいた。

「ざまあねえな」
「全くだ、公爵様の家人つっても、こうなったらもうおしまいだな」

 その言葉が風に乗って使用人達の檻に届き、いくつかの悲鳴を上げさせた。
 まわりで監視してる兵士が「騒ぐな」と一喝する。
 それを見て、リーダーの男達がまたゲラゲラと笑う。

「大体公爵様がいけねえんだ。身の丈をわきまえねえで野心のまま行動するから」
「おいおい、公爵様はまだまだ公爵様だぞ。コウシャクサマ。口を慎めよ」
「おっと、こいつあいけねえ」

 そんな事をいいながらも、二人は「かんぱーい」と酒を飲んだ。

「あの、すみません」
「静かにしろ!」

 檻の中から女が声をあげた、それを近くにいた兵士がとがめる、が。

「娘が、娘が病気みたいなんです。昼間からすっごい熱で、今もすごくうなされてて……」

 一生懸命にアピールするのは一人の母親。その横で娘らしき女の子が仰向けになっている。
 顔を赤らめ、額に脂汗。息もあがっていていかにも苦しそうって顔だ。

「へえー」
「病気か、まあ、唾でもつけときゃなおるんじゃねえの?」
「ばーか、それはケガしたときだろ? 病気の時は……病気の時はなんだっけ?」
「思い出した、水を飲めばいいんだ」
「そうそう、水飲んどけー」

 リーダーの二人は更にゲラゲラ笑う、何かしようって雰囲気がみられない。
 当然、檻の中には水なんてない、兵士達も動こうとしない。
 アピールした母親はそれでも食い下がるが、兵士に檻ごしに槍を突きつけられて泣く泣く引き下がった。

「なあ、こいつらを目的地まで運んだらどうなるんだ?」
「全員公爵様の使用人だから多分まっさら(、、、、)だから、二回目って事で10クレ奴隷でうられるんじゃねえの?」
「全員奴隷か」
「そんなもんだろ」
「なあ、俺……何人か気に入ったのがいるんだけどよ。そいつらをもらってっちゃだめか」

 男のにやついた、下品な顔と台詞に、女を中心に息を飲む音が続発した。

「……だめだ。こいつらはちゃんと護送しねえと。つまみ食いなんかしたらお前と俺の首が飛ぶぞ」

 もう一人の男の諫める言葉に安堵の空気が広がる、が。

「つまみ食いはダメだけど、印をつけておくのはいいんじゃねえのか?」
「印?」
「ああ。ほれ」

 男はたき火の中から火のついた木を一本、まるでたいまつのように差し出した。

「焼き印でもいれときゃ目印になるし、他に買われなくてすむんじゃねえの?」
「その手があったか」

 男はたいまつを受け取って、立ち上がって檻の方に向かって行く。

 夜の野外、火に照らし出される男の顔、酒に酔った下品な顔。
 悲鳴がいくつか啜り泣きに変わる。


「おい、そこのお前。そうだ、まん中にいるお前だ。お前前にでろ」
「いや、いやです!」
「いやだあ? おいお前ら、まわりをどかせろ」

 命令を受けた部下の兵士が檻の中に槍を突き入れ、男が狙っている女のまわりにいるもの達をどけようとした。
 どかした後、男は手を入れて女の腕を掴んだ。

 そして、たいまつを見せつけるようにちらつかせる。

「動くなよ、動かなきゃ一瞬だ」
「いやああああ、やめてえええええ!」

 悲鳴を上げる女。
 ここでは男が正義だった。
 彼女達は負けた側だ、主である公爵が負けた連帯責任を、こういう形でとらされている。

 リーダーも兵士も敵、まわりの人間は火の粉が降りかからないのを祈るだけで精一杯。

 火が、女の肌に近づいていく。

 ザシュッ!

 瞬間、たいまつが消えて、男の腕が宙を舞った。

「……へ?」

 想像すらしていなかった事態、男は呆けてしまった。
 まわりも呆けている、状況を理解出来たものは誰もいない。

 その間に男の首が飛んだ。
 彼は最後まで、自分に何が起きたのか分からなかった。

「な、なにものだ!」

 ここで流石にもう一人のリーダーが反応し、誰何した。
 それと共に兵士も我に返り、男の首を刎ねた相手に槍を突きつけ、取り囲んだ。

「悪趣味だな」

 現われた男はつぶやくように言った。
 不思議な事に、それだけでまわりの人間が圧倒された。

 二振りの剣を持つ黒い剣士、存在するだけでまわりを圧倒する強大な力。

「魔剣が二振り……まさか!」

 気づいたときにはもう遅かった。
 魔剣使い使いが護送隊を蹴散らすまで、10秒とかからなかった。

 蹴散らされ、意識が残っている兵士は恐怖を。
 そして助けられた、売られるのを待つだけのもの達は。
 檻の中から、感激の眼差しを彼に向けたのだった。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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