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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

魔剣エレノア編

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24.剣だけが取り柄じゃない

 オリクトはパッと見、大きな岩だった。かと思えば溶岩のようにどろっとした様子でこっちに向かってきて、でも溶岩を連想させた割には熱さが一切伝わってこない。

 岩のような質感のスライム。そんな感想を持った。

 飛び込んで、エレノアを振り下ろす。

「むっ! 硬い」

 かなり本気の一撃は切っ先数ミリめり込んだだけだった。

 ドロドロと軟体動物の様に動く割に、そいつはメチャクチャ硬かった。

(くるぞ!)

「ちぃ!」

 エレノアの注意で、そいつの体を蹴って横っ飛びする。

 刃を食い止めた次の瞬間、おれを飲み込もうとしたのか、体が大きくせり上がって「ガバッ!」ってしてきた。

「あの硬さで取り込まれたらひとたまりもないな」

(中からだと意外ともろかったりして)

「定番だな」

 冗談っぽくいうが、試すつもりはさらさらない。

 オリクトが体を伸ばしてさらに襲ってきた。

 先端に鋭い牙の様なものに見える。飲み込む気満々だ。

 横にかわして、がら空きのそこに、両手で構えたエレノアを上から振り下ろす。

 鈍い感触がする、手がしびれた。

 バッドを全力で地面にたたきつけたくらいのしびれを感じたのに、伸ばしてきた体の三分の一もきれてない。

「くっそがああああああ!」

 叫ぶ。ありったけの力を込めて、エレノアの刃を押しつける。

「うおおおおおおおおおお!」

 ガガガガガガ。刃と岩がこすり合う音が続き、オリクトの体を両断した。

「すごい……」

 背後からイオの声が聞こえた。それが聞きたかった。

 が、浸っている余裕はなかった。

「なっ――」

 おれは驚愕した。

 全力を出してたた斬ったオリクトの一部があっという間にくっついて、元のひとかたまりに戻った。

 特性はスライムとほとんど同じって事か。

(なるほど、これは危険な訳だ)

 エレノアの声が頭の中で響く。余裕があるけど、感心していた。

「……上等だ!」

 息を吸って、エレノアを構え直して、オリクトに斬りかかる。

 めった斬りにした。ガッガッガッガツ。とにかくエレノアをオリクトの体にたたきつけた。

 火花が飛び散る、岩のかけらが飛びかう。

 更に気合入れて叩いた。

「はあ……はあ……」

 すっかり息が上がった頃、オリクトはバラバラに――粉々になった。

「ここまですれば――」

(まだだ!)

「――っ!」

 おれは驚愕した。目の前でオリクトのかけらが徐々に集まって、また一つに戻ろうとしている。

 物理攻撃じゃらちがあかないのか。その上叩きすぎて手がしびれてる、もう一回同じ事が出来るかどうかってレベルだぞ。

「カケルさん! 詠唱終わりました」

「――っ! 撃て!」

 イオに叫んだと同時に、エレノアをガードに構えたまま飛び下がる。

 空から稲妻が落ちて、オリクトに直撃。

 そいつは動かなくなった。

 そいつを見下ろす、ちょっと複雑な気分。

 横にイオがやってきて、言った。

「すごいですカケルさん、オリクトを一人でバラバラにする人はじめて見ました。というかそんなの聞いたことないです!」

 イオは尊敬の目で――いや声も尊敬しきった様子でいうが、正直複雑だ。

 出来れば一人でこいつをやりたかったんだけど……。

「ごめんなさい、わたしぺらぺらと。早くとって早くここから離れましょう」

「早くここから離れる?」

「はい。オリクトは今しびれてますけど、すぐに動けるようになります」

「結構復活早いのか? そこにさらに魔法を打ち込んだらどうなる?」

「撃ってる間は動きを止め続ける事ができるんですけど、わたし一人じゃ……」

「……撃てる間隔が止められる時間より短いって事?」

 イオは「ごめんなさい」と申し訳なさそう謝ってから言った。

「オリクダイト採掘パーティーは最低でも魔法使い五人。安全確保のために七人以上が推奨されてます」

「それくらいいないとまわらないって事か」

「はい。一人でも出来るといえば出来ます。一発落として、その間にとれるだけとって逃げるやり方です。それもすごく危険で、動きを止められる時間は結構まちまちですから、とってるうちに動けるようになったオリクトに襲われる危険が」

「なるほどな……わかった、とりあえずとれるだけとろう」

 そういうことなら仕方ない、さっさととれるだけとって、ぎりぎりまでとってワープの羽を使ってとんずらしよう。

 そう思って、二人と一緒に採掘をはじめようとしたんだが。

「カケルさん! う、動いてます!」

 イオが大声を出す。なんとオリクトがもう動き出していた。

 エレノアを構えてイオをかばうように前に出る。

「時間が短いぞ、こんなものなのか?」

「こういう時もあります……かなり短い方ですけど」

「イオの魔法は!?」

「次まで時間かかります!」

 イオは泣きそうな声で答えた。くそ、これじゃ採掘できない。

 ワープの羽でいったん逃げて出直そう。

 そう思ったとき、ヘレネーの姿が目に入った。

 ヘレネーはずっと黙ったまま、オリクトと遭遇したときからずっと黙ったままでいる。

 目はこっちをじっと見つめている。表情は変わってない。

 なんだろう――と一瞬頭に浮かんで、すぐに消えた。

 頭の中に電流走る、ひらめく。

 おれは叫んだ。

「ヘレネー! こいつに向かって魔法の玉を投げろ!」

「はいっ」

 要請通り、ヘレネーはおれからもらった魔法の玉(黒)を取り出して、オリクトに投げつけた。

 玉はへろへろと飛んでいって、岩のような体にあたる。

 魔法の玉(黒)の効果は、投げつけた相手に弱点属性で魔法攻撃する事。

 オリクトの場合、雷になるはずだ。

 瞬間、玉がはじけた。電光が雷鳴を伴ってはじけた。

 おれは――そこに飛び込んだ!
 オリクトにしがみつく。一緒になって雷の魔法を受けた。

「カケルさん!?」

 イオの驚く声が聞こえる。当たり前の反応だ。

 だけど、これで良い。ここまで(、、、、)は計画通りだからだ。

「大丈夫ですかカケルさん」

 心配そうにかけてくるイオ。その後ろについてくるヘレネー。

「大丈夫だ、大したダメージじゃない」

 おれは体を動かして見せた。強がりじゃない、本当に大したダメージじゃない。

 強いていえば肘を角にぶつけたみたいにちょっとしびれる位だ。

「それよりも二人は採取をやってくれ、オリクトはおれが止めておく」

「えっ? でもしかし」

「こんな感じかな……?」

 それでも心配そうなイオに、おれは大丈夫だっていう証拠を見せることにした。

 今までやったのと同じように、炎と氷の魔法と同じ間隔で、雷の魔法を使う。

 動けないオリクトに、雷が落ちた。

「雷! そっか、カケルさん魔法を受けたから」

「ああ、魔法攻撃を受けて生き残って、それで素質があれば使える様になるんだろ」

「はい!」

「つまりそういうことだ――それと」

 更にイメージして、もう一発雷の魔法を撃った。

 二連続で、オリクトの体に落ちる。

「どうやらおれなら連発も出来るみたいだしな」

 当たり前の様にいう。

 雷魔法の素質、そして連発する魔力(なのかな?)。

 どっちもきっと、「全能力777倍」のおかげだ。

「だからここはおれに任せて、二人は採掘を」

「はい!」

「わかりました」

「ああ、持てる分量とか考えなくていいぞ、どうせ帰りはワープだからな」

 二人に言って、おれはオリクトの方を向いた。

 動き出したらすぐに魔法をたたき込めるように集中する。

 微妙に予定してた展開と違ったけど。

「カケルさんって……どういう人なんでしょうか。剣も魔法も完璧だなんて……そんな人初めて見ました」

「歴史を読み込めばわかりますよ」

「歴史? なんで歴史なんですか?」

「歴史上にある英雄達の若い頃の逸話と、本当にそっくりな方ですから」

「なるほど!」

 ヘレネーとイオの会話を聞いて、とりあえずは良しとした。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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