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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

ミウ編

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242.三つ巴の戦い

 青空の下、五爵邸別館。
 訓練のための大広場、その朝礼台の上に置かれた椅子に座って、見下ろしていた。

 大広場は二つのグループに分かれている。

 片方はナナ匹いる二百人の奴隷兵。
 最初の頃は好き勝手に動いててやる気もなかった女達だったが、今はナナの指揮で統率された動きをしている。
 数こそ二百人という少数だが、正面からぶつかっても千人二千人の相手にもひけを取らない精鋭部隊だ。

 もう片方は、ひかりとチビドラゴンを守っているドレイク兵100体。
 百体の亜竜は過去から連れてきた魔剣の使徒。
 単独の戦力は弱いが、ひかりがそこにいる限りほぼ無限に再召還できる。

 両方が真っ向から衝突する模擬戦をやっていて、それを俺が朝礼台の上から眺めてるって訳だ。

(ひかりの方が押されているな)
「そうだな、数も練度も足りない。無限再生がなかったら一瞬で100体皆殺しにされて終わりだ」
(ここからだな)

 エレノアが言った直後、ひかりのそばにいるチビドラゴンの体が光った。
 その体が一瞬光の粒子になってひかりの体に吸い込まれた後、ドレイク兵と同じように召喚された。

 今度は巨大なドラゴン。
 フォルムは以前戦ったレッドドラゴンとほぼ同じ、だけどサイズが一回り小さく、体色も赤くはない。
 ドラゴン・オリビアをひかりが召喚した。

 さすがは元竜王、オリビアが出てくると劣勢だったのが一気に押し返された。奴隷兵達は次々と蹴散らされて、ニキやネオラといった小隊長クラスが何とか踏ん張っている状態。
 そのオリビアを先頭押し返すひかりたち――が、奴隷兵側からナナが飛び出した。

 それまで後方にいて指揮に徹していたナナが剣を振るって、オリビアに挑んでいった。

 ナナの長剣をオリビアのかぎ爪が受け止める。
 それまでになかったビリリと肌を突き刺すほどの気がこっちにも伝わってきた。

 暴風のごとき斬撃を次から次へと繰り出すナナ。一回斬りつけるたびに100%追加攻撃の効果がでて二度の破裂音が空間を震わせる。

 オリビアはその巨体、そして鋼よりも硬い肉体、更に膨大な魔力を全て活かして、自ら放った魔法で援護しつつナナとの肉弾戦に応じた。

「……互角、だな」
(そのようだな。伸びしろを考えればそのうちオリビアの上を行くかもな)
「オリビアの伸びしろは考えないのか?」
(ふむ? 伸びると貴様は思うのか? 数百年も生きた女に更に成長しろと?)
「わからん、だがその方がいい」
(くくく、また貴様の悪い虫が出てきたようだな)

 悪い虫とは失敬だな。俺は成長する女の方がよりいい女だって思ってるだけだ。
 ナナは出会ってからだいぶ成長した、一方オリビアは一回死んで転生したこともあって出会った頃から強くなったという感じはしない。
 もし成長するのならいいな、ってだけの話だ。

(ヤツが成長するかはともかく、今はもう限界のようだな)
「む?」

 エレノアがそう言った直後、オリビアの巨体が急に脱力した。
 ナナの斬撃に押されて徐々に後ずさり、さっきまでとは別人のように力負けしている。

 オリビアだけではない、ドレイク兵も劣勢だ。
 ナナとオリビアの一騎討ちの横で兵達の戦いも続いていて、最初の頃と同じようにドレイク兵がやられてはひかりが再召還してたが、ここに来て召喚が途切れた。
 やがてドレイク兵が最後の一体まで蹴散らされて、奴隷兵達がひかりを取り囲んだ。

 その横でナナもオリビアを制圧している。

(ひかりの力の限界だな)
「ひかりの? 過去の時代じゃもっともってなかったか?」
(強力な者を召喚する方がより力を消耗する、当然のことだろ?)
「オリビアを出したから一気に力をもってかれたって事か」

 遠くからみるひかりの姿は確かにつらそうだった。全力でかけっこをした後みたいに肩で息をしている。

(我ならオリビアを5回は召喚できるな)
「隙見て自分アピールするなよ、ひかり相手に大人げない」
(ひかりは可愛いが魔剣としては負けられん)

 エレノアの口調はわりとマジだった。
 俺よりも遥かに親馬鹿なこいつだが、「魔剣として」が枕詞につく事に関してはひかりに結構な対抗意識を燃やしてる。

(貴様の方がよほど親馬鹿だ)
「そんな事はない」

 俺はそう言って椅子から立ち上がった。ひかりの事はもちろん世界一可愛い娘だけど親馬鹿なんて言われるような事を何もしてない。

(自覚がないというのは罪なのだがな)
「なんとでもいえ――訓練変更!」

 俺は大声を上げた、ひかりを取り囲んでる奴隷兵達がびくん! と身じろいだ。

「誘拐目的の敵から要人を守り切れ」
「総員! ひかり様を守れ!」

 一瞬で俺の意図を理解したナナが号令を下した。
 奴隷兵達の動きが変わった、それまでひかりを取り囲んで「王手」をしていた200人が、一斉にひかりを自陣の「王将」として守る動きになった。

 俺は立ちつくしたまま動かなかった。
 代わりに背後から三つの影が飛び出して奴隷兵に向かっていった。

 前もって作らせておいた、朝礼台下に置いていた人間サイズの藁人形だ。
 作りは質素、しかし頭と胴体、そして四肢が一通り揃っている藁人形。

 その藁人形が奴隷兵に襲いかかった。

 先頭の藁人形が大剣をぶん回して、後ろの藁人形が片方は雷魔法で援護射撃して、片方は補助魔法で他二体のフォローをしている。

「こ、この動きは――」
「イオさん!?」

 奴隷兵達から混乱の声が上がった。
 そう、三体の藁人形はそれぞれイオ、アグネ、ジュリアのものだ。
 パワーも速度も使ってる魔法も、ほとんど再現した動きになってる。

 見た目が藁人形をのぞけばほぼイオパーティーそのものだ。

 人形使い。
 黄金くじ引き券で引いたスキルを俺が使って、藁人形を操作してる。
 ちなみにスキルが俺のものになった訳じゃない。
 この世界に転移してきた時に何度も引けるのと同じように、このスキルも一度までならお試しでつけられるって言われた。

 だから俺が試して、誰にスキルを与えるを考えよう、って訳だ。

「浮き足立つな! 著名な冒険者パーティーと戦う事もある!」

 動揺していた奴隷兵達だったが、ナナに一喝された事で落ち着いた。
 生粋のパワーファイターであるアグネ人形にネオラが向かっていって、そのパワーを左へ右へと受け流すことで無力化した。

 アグネ人形を助ける為にイオ人形を動かして雷を落としたが、それを一小隊総勢20人が力を合わせて魔法障壁を張った。
 イオの雷レベルに絞った魔法は、20人の魔法障壁に防がれた。

 その間ニキが第一小隊を率いて突入してイオ人形とジュリア人形を分断。接近戦が苦手な二人をそれぞれ制圧した。

 イオのパーティーは、奴隷兵の前に敗れ去った。

「よかった……なんとか勝てた」
「これって閣下が操作してるんだよね。すごいなあ……」
「閣下ってこんなことも出来るんだ」

 一連の戦闘のあと、気が緩んだ奴隷兵が口々にそういう。
 何人かは潤んだ目で俺を見つめてくるから、後で可愛がってやろう。

(本物だとこうはいかぬだろうがな)
「当然だ、イオはもっと強くなってるからな」
(しかし、ここまで使えるのならもう貴様で使えればいいのではないか? 人形使いのスキル)
「俺が使うと俺の女の様に動かせたがる」
(それがどうした)
「そんな事をするよりも実際に俺の女にそばにいてもらった方がいい。俺が操作すると俺がしってる動きしかしないが、オリジナルなら俺が知らない動きもしてくれるからな」
(理由になってるようでなってないが、まあ、貴様がそういうのならそれでいい)

 一応は納得してくれたエレノア。

 人形使いのスキルが出来る事は分かった。
 人形って名のつくものを操作して、自分が出来る事をさせられるみたいだ。

 イオの雷は喰らってて俺にも使えるし、アグネの動きはシンプルだから真似しやすい、ジュリアに至っては動きはあまりなく補助魔法を仲間に適切にかけ続けてるだけだから楽だった。

 全部俺が出来る事、だから今の様な事ができた。
 その気になれば俺はくつろいだまま、人形に俺自身の世話をさせることも出来る。

 大体がこんな感じだな。
 使いこなすと割とチートなスキルだ、実質分身の術という使い方ができる。

 これを誰にやるかだな。

「ご主人様」
「ん?」

 朝礼台の下から俺を呼ぶ声がした。
 可愛らしい耳とふさふさの尻尾が特徴の獣人メイド。ミウ・ミ・ミュー。

 この屋敷をたった一人で切り盛りしている我が家の有能メイドだ。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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