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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

魔剣エレノア編

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23.倒してしまっても構わんのだろう?

 ヘレネーとイオ、二人を連れて草原を歩いていた。

 おれの目的はもちろん山ウシ。それを狩って換金すること。今日はまだ一頭しか狩れてなくて、稼ぎが全然足りてない。

「千人の部隊に一人で挑んだんですか」

「はい。半数近くは見逃しましたけれど、見逃していただいた兵士もほとんどがトラウマを訴えて兵士をやめました……驚かないのですね」

「わたし見てますから。カケルさんがモンスターを大量にやっつけたのと、サンドロスを一人でやっつけたところを。だから」

「サンドロス。あの地獄の帝王サンドロスですか」

「はい! だから千人なんて驚きません。カケルさんやっぱりすごいなあ。とは思いますけど」

 おれの後ろで、ヘレネーとイオがなんか仲良く雑談している。早速意気投合したみたいでなによりだ。

 それはいいんだけど……山ウシが見つからない。結構歩いてるのに、一向に見つからない。

 さっきも見つかった瞬間逃げ出された。

 考えたくないけど……。

(避けられてるのではないか)

 エレノアが言った。

「やり過ぎたのかな」

 そうかもしれないと思った。もしかして山ウシの間じゃおれは危険人物として認識されてるかもしれない。

 もうちょっと歩いて、ようやくの事で山ウシを見つけたけど、今度は先客がいた。

 いつだったか見た、十人くらいいるみんなが同じような鎧をつけた傭兵団だ。

 せっかく見つけたのに残念だ――と思ったら更にショックな事が起きた。

 その山ウシと目が合った途端、傭兵団と戦ってる山ウシが急に反転して逃げ出した。

 おれを見た瞬間、目の前の敵をも無視して逃げ出した。

 ……こりゃもうダメだ。

     ☆

 街に戻って、ヘレネーとイオと一緒にアンドレウ商会にやってきた。

 さっきの事をアンドレウにそのまま話した。

「それはそれは……」

 アンドレウはハンカチで額の汗を拭って、なんともいえない微妙な顔をした。

「確かにユウキ様はやりすぎたと言えばやり過ぎたかも知れませんな。ここ数日だけでも、お一人だけで数百人分の働きをなさってましたから」

「もし本当にそうなら山ウシ狩りはしばらく無理かも知れない」

「はい」

「で、他になんか稼ぎになるものはないか? 出来れば割がいいものを」

「そうですな……」

 アンドレウは真顔で考え込んだ。

 しばらく考えて、顔を上げておれの後ろにいるイオを見た。

「あなたは確か、Cランクのイオ・アコスでしたな。雷魔法が得意な」

「はい」

 頷くイオ、声がちょっと困ってる。

 なんでこっちに来たんだ、という反応だ。

「ユウキ様とパーティーを?」

「はい」

「雷魔法の使い手がいれば……稼ぎになるものがないわけでもないのですが」

「歯切れが悪いな」

「なにぶんかなりの危険を伴いますので」

「とりあえず聞かせてくれ」

「はい。オリクダイトの採掘でございます」

 採掘? なんとかダイトってことは鉱石の一種かな。

 あまり危険に聞こえなかったけど、背後でイオが息を飲んだのが聞こえた。

「アンドレウさん、それはさすがにちょっと……」

「わかってます。ですがユウキ様が『割がいい』とおっしゃいましたので」

「それはそうですけど……」

 イオは複雑そうな顔をしておれを見た。

 彼女にそんな顔をさせてしまうオリクダイトの採掘とやらが、おれは気になった。

     ☆

 山ウシが生息する草原に三人で飛んで、その先にある岩山に徒歩で向かった。

「オリクダイトって言うのは、あの山でとれる魔造鉱石の名前です」

「魔造? 魔法で作った鉱石って事か?」

「あそこに住んでるオリクトっていう魔物がいるんですけど、その魔物はいつも特殊な濃い魔力を漏らしてるんです。ほとんど物質化してるくらいの魔力を。その魔力が巣のまわりの岩にこびりついては乾いて、こびりついては乾いて。それを何百・何千層と重ねていったものがオリクダイトです」

「見た事があります」

 ヘレネーが続けて言った。

「オリクトが放つ魔力は日によって異なりますため、重ねた層が虹色にも似た美しい模様になってました。神秘的で、とても美しかったと記憶しています」

「なるほどね」

 何となくそれを想像した。説明からして、木の年輪がカラフルになったものって感じなのかな。

「それが高いのか?」

「ええ、美しさもさることながら、採取の難易度が非常に高いと聞いてます」

「ぶっちゃけ、オリクトって不死身なんです」

「不死身!?」

 その単語にはさすがに驚いた。

「ものすごい強いだけじゃなくて、どんなに攻撃されてもすぐに再生しちゃうんです。唯一の弱点が雷で。雷の魔法で攻撃するとしばらく動きが止まるんです」

「なるほど、動きを止めてその間にせっせとオリクダイトを採取、って事か。で、アンドレウがこの話をしたのも、イオが一緒にいたからなんだな」

「はい、わたしが雷の魔法を使える事を知ってたみたいですから。雷魔法が使えないパーティーだと死にに行くようなものって言われてるくらいですから」

 そんなにか。

 言いたいことはわかる。パーティーを組んで強敵を倒しに行く時って、それにあったメンバーなり装備なりを揃えていくのが一般的だ。

 オリクトってモンスターの場合だと雷魔法一択ってことになる。

「わかった、じゃあそいつと会ったらおれが足止めするから、イオはその隙に雷魔法を唱えててくれ」

「はい」

 前衛が食い止めてる最中に魔法使いが弱点の魔法をたたき込む。

 オーソドックスな戦法で、イオはためらいなく即答した。

「で、ヘレネーにはこれだ」

 おれはポケットから魔法の玉(黒)を取り出して、ありったけをヘレネーに渡す。

「これは?」

「攻撃用のアイテムだ。相手に投げつければ発動する。ヘレネーの判断で使ってくれ」

「わかりました」

「それと、採掘もやってくれ」

「はい」

 軽く打ち合わせをすませて、岩山を登って行く。

 ふと気がつけば、まわりに妙なオーラが漂いはじめた。

 変に鮮やかな緑色というか……それでいて触れても吸い込んでも特に何も感じない不思議なオーラだ。

「これか? オリクトのオーラって」

「多分」

 頷くイオ。更にちょっと進むと、岩壁があきらかに違ってきてるのがわかる。

 例えるのなら今までのが剥き出しの岩だったのに、そこはまるでペンキを重ね塗りしたような場所だ。

 ここか――とおもった時にそいつが現われた。

「オリクトです!」

 イオが叫ぶ。

「よし、行くぞ!」

 エレノアを握り締め、オリクトに向かって飛び出した。

 ちらっと二人の女を見る。

 二人の瞳は、おれを信頼しきっている様に見える。

「エレノア」

(なんだ?)

「倒してしまうぞ、力を貸せ!」

 信頼されてるのなら――こたえてやるさ。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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