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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

エレノア編

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220.強くて可愛いおんなのこ

 エレノアを追い払った後、その場に魔法コテージを出して、イオを抱きかかえたまま中に入った。
 オリビアとタニアがついてきた。
 オリビアは平然として、タニアはイオをみて心配そうな顔をしている。

「脇腹はもう大丈夫なのかオリビア」
「人の子とは違う、もう大丈夫よ」
「カケルさん! イオさんは大丈夫なんですか」
「人の子なら大丈夫よ。あの魔法は激しく消耗するけど、それだけ」
「知っているのオリビア」

 オリビアは微かに頷く。

「強大な魔力をエサに自分の体を動かす力にする。そのためには更に魔力を、そして体力を消耗する。単純計算でただ魔法を放つよりも三倍は消耗する技。だから人の子は今――」

 オリビアは楽しげ口角を持ち上げて、言った。

「――死ぬほど疲れてるだけ」
「そう……だったんですか、よかった……」

 おれはイオを抱いて部屋に入り、ベッドにそっと寝かせてやった

「普通に撃つより三倍の消耗、それを二回もか」

 脂汗を浮かべて、熱にうなされるイオの頬を撫でた。

「まったく……無茶しやがって」
「おろろ……。人の子よ、少し話がある、外に出よう」
「え? 話ってなんですかオリビア様――ひゃあ!」
「ひかりも一緒にきて」
「待っておーちゃん」

 戸惑うタニアを、オリビアは無理矢理引っ張り出した。
 呼ばれたひかりも魔剣から人の姿に戻ってオリビアの後を追いかけて走って行く。

「どうしたんだあれ?」
(はて、なんだろうなあ)

 エレノアはニヤニヤした、と思いきやすぐに真剣なトーンになった。

(さっき、われ(、、)を斬れなかったな)
「ああ、ひかりでお前(、、)を斬れなかった」
(とがめるつもりはない、さりとて礼を言うつもりもない)
「そうか」
(言いたい事は一つ……次からはわれを使え、われならば何の問題はない)
「いいのかそれで」
(貴様に振るわれ過去の自分を斬る。面白いではないか)
「本当に面白がってるように聞こえるのが恐ろしい」
(くくく)

 脳内にエレノアの楽しげな声が聞こえる。
 多分、9割くらいは本当に楽しいって思ってるんだろうな、こいつは。

「う……ん」

 ベッドの上に寝かせたイオが苦しそうにうめいた。
 彼女の横に腰を下ろして、顔をのぞき込む。
 あの技はだいぶ消耗するみたいで、イオは戦闘開始前に比べて短い間でびっくりするくらいやつれていた。

 しばらく見守っていると、彼女はゆっくりと目を明けた。

「イオ」

 名前を呼ぶ、反応はない。
 目の焦点があわなくて、虚空をさまよう。

「イオ」
「……カケルさん?」

 もう一度呼ぶと、今度は反応が返ってきた。
 目の焦点があって、おれの姿を捕らえてきた。

「わたし――」
「起きなくていい、そのままねてろ」
「あの……敵は?」
「逃げた。お前のおかげだ」
「よかった……役に立ったんだ」
(役に立ったどころの騒ぎではないな)
「エレノアが珍しくほめてるぞ」
「ありがとう……」

 そう言いながらおれを見つめてくるイオ。
 なにかを訴える様な目、濡れた子犬の様な瞳。

 無言で顔を寄せて、唇にキスをした。

「あの一撃はよかった、エレノアを出し抜いたし、それに綺麗だった。回復したらまた使って見せてくれ」
「え……つかって……いいの?」
「うん? オリビアの口ぶりだと特に後遺症とか残らないようなかんじだったがそうでもないの?」
「ううんそうじゃなくて! あの……本当にいいの?」
「なんで?」
「やめろ……とか言われると思った」

 言葉が尻すぼみになって、更に顔をそらしてしまうイオ。
 イタズラを親に見つかった小さい子供の様な顔だ。

「なんで?」
「なんでって……」
「休めば回復するんだろ? 体力と魔力を目一杯つかうから」
「うん、それはそう」
「ならなにも問題ない。というか、なんでおれの女がいい女になってくのを止めなきゃならん」
「え? い、いい女?」
「おう。言ったろ? あれは強いし、綺麗だった。魔法使いが一瞬とはいえあっちのエレノアを身体能力で上回ったんだ。それが出来るお前は――」

 更にキスをして、キスが出来るくらいの至近距離で見つめて言い放つ。

「いい女だ」
「わたし……カケルさんと一緒に戦ってもいい?」
「今までもそうしてきただろ?」
「もうっと頑張って、役に立てるくらい強くなるために頑張ってもいい?」
「今までもそうしてきただろ?」
「わたし、足手まといじゃない?」
「そう思ったことはないな」
「カケルさんが自分で戦った方が結果的に上手く行くのに?」
「今回はイオがいた方が上手く行っただろ?」

 おれの切り返しに驚くイオ。
 目を見開かせて、口を開けてぽかーんとしてしまう。

 それからの数秒間、イオは一人百面相した。
 驚き、戸惑い、泣き笑い。
 様々な表情が彼女の顔に浮かんでは消えた。

 一体何を思ってるのか分からない、分からないけど。

「わたし、もっともっと頑張っちゃいます」
「おう、頑張れ」
「いいんですか? もしかしたらそのうちカケルさんを越えちゃうかもしれないですよ? 今日一瞬だけエレノアさんを出し抜いたみたいに」
「おう、頑張れ」

 というか。

「なんでおれの女がいい女になってくのを止めなきゃならん」

 それが本当に不思議だった。
 さっきから何回も何回も念を押して聞いて来るイオが不思議だった。
 努力してレベルアップすること、おれと共に戦うこと。
 なんだったらおれやエレノアを上回ること。

 それの、何が問題なんだ?

(しいて言えば貴様が妙なところで朴念仁なのが問題だろうな)

 エレノアが変な事をいってきた。
 確かにイオの意図は理解できないけど、それ、朴念仁なのか?

 それは違うだろ――と思っていたら。

「カケルさん」
「うん?」
「わたし、頑張ります」

 イオは短く、はっきりと宣言した。

 そんな風に無邪気に笑い、まっすぐおれを見つめてくるイオがとにかく可愛くて、疑問をまとめて吹っ飛ばすくらい可愛くて。

 おれはもう一度、彼女にキスをしたのだった。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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