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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

エレノア編

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219.イオの過去(下)~ひたむきな女の子

「いっえええ! ライトニング!!」

 イオは同時に雷の魔法を二発放った。
 人型をして剣と盾を装備しているトカゲのモンスター――リザードマンは二発の雷に打たれて黒焦げになった。

 真横から別のリザードマンが襲ってくる。剣を何とか杖で防ぎ、蹴っ飛ばされる。
 腕がしびれ、腹がズキズキ痛む中、イオは必死に魔力を練って呪文を唱える。

「ライトニング!」

 着地する前に呪文を発動、追撃してくるリザードマンのカウンターになった。
 モンスターは雷に打たれて黒焦げになった。

「くそっ!」
「シドクスさん!」

 パーティーを組む仲間の声が聞こえた。
 みると、最後の一体のリザードマンと切り結んでいる。
 どういうわけか(、、、、、、、)劣勢に陥った仲間の男、イオは魔力をねって叫んだ。

「離れてシドクスさん!」

 叫んだのとほぼ同時にライトニングを放つ。
 リザードマンに直撃した、男は離れるのが遅れて雷が肩をかすめた。

「シドクスさん!」
「おう大丈夫、かすり傷だ」

 イオはホッとした。

「よかった……」
「お前のおかげだイオ。リザードマンを三体も倒すなんてすげえな」
「そんな……シドクスさんにはかなわないです」
「まっ、おれはBランクだからな」

 シドクスはにやりと口の端をゆがめて笑った。

     ☆

 イオ・アコスは鍛錬を重ねて強くなった。
 それをほぼ並行して、様々なパーティーを経験したが、どれも長続きしなかった。

 どういうわけか、どこに行っても彼女はまともに戦わせてもらえない。
 強い冒険者からは足手まといといわれ、優しい冒険者からは小動物のように庇護される。
 どれも彼女が望む扱いじゃなかった。

 イオはパーティーを組んだ仲間の力になりたい、肩を並べて一緒に戦いたい。
 そう思い鍛錬をかさねて強くなった。

     ☆

 夜、野宿のたき火を挟んで向かいあうシドクスとイオ。

「いやあ、イオちゃんすごいねえ。あの後もバンバントカゲ野郎を倒してさ。今日だけで十匹倒してない?」
「九です、そんなに倒してないです」
「そうか? でも十でいいじゃん。そんなすごいイオちゃんが今まで無名なのが不思議だ。ギルドに入ってだいぶ立つよな」
「はい……いろいろありました」
「そうか」

 イオはシドクスをちらっと見た。
 ギルドの求人欄に出ていたシドクスのパーティー募集。
 Bランクという高ランクの冒険者だから、また足手まとい扱いされるのかと思いつつも、イオは応募した。

 イオは失敗をあまり恐れない。
 こと冒険者のパーティーに参加させるように頼むことにためらいはない。

 パーティーを組んで戦力外になったケースの十倍以上に、頼んだ時点で断られている。
 それでもイオはめげなかった、失敗することを恐れないで、次々に頼んだ。

 そうして今、シドクスとパーティーを組んでいる。
 Bランク冒険者は通常、イオのような無名な冒険者と組まないのだが、彼は話しを聞いて、イオをじっくり観察してから彼女を受け入れた。
 そしてテストといって、ギルドからリザードマン討伐の依頼を受けて、イオを連れてきた。

 イオはシドクスに感謝した。
 テストという形だが、イオははじめてまともに戦った。
 実戦らしき実戦はこれが初めてだ。

「ありがとうございます」
「なんだ藪から棒に」
「ううん、なんでもないです」
「そうか? さてそろそろ寝ようか、早めにねて日が昇ったら出発しよう」
「はい!」

 イオはたき火のそばで腕枕して寝っ転がった。
 とは言え、半分しか寝ていない。

 強くなりたい、その一心で鍛錬を続けた結果、彼女は寝てる間も自然に魔力の鍛錬を出来る様になっていた。
 呼吸するように魔力を練り上げる筋トレ。依頼を受けてでてきた野外でも、野宿の最中でも彼女はそれを続けた。

 寝っ転がって魔力を体に巡らせていると、ふと、なにかが覆い被さってくるのを感じた。

 目を空けると、至近距離にシドクスの顔があった。
 体をよじらせて逃げようとするが、動かない事に気づく。
 シドクスが両手を掴んで、イオを組み敷いていた。

「し、シドクスさん!? 何をするんですか」
「なにって、イオちゃんもはじめてじゃないだからわかるだろ」
「ええ!?」
「夜に男と女の二人っきりなんてやる事は一つ。というかこうなることを分かっててついてきたんだろ?」
「わ、わかりません! こんなのわかりません!」

 もがくイオ、シドクスが豹変して、顔が好色的にいやらしくなったことに嫌悪感を覚えた。

「一緒に楽しもうぜ、おれ、テクニックには自信があるんだぜ」
「やめて、やめてください!」

 近づいてくるシドクスの顔、イオは顔を背けて必死によける。
 背けた先に自分の魔法の杖を見つけた。
 イオは必死にもがき、シドクスのてを振り払って杖を掴む。

 ゴッ!

 思いっきり振ると鈍い感触がした。
 イオを組み敷くシドクスは白目を剥き、そのままたおれてきた。

「ひぃ!」

 更に嫌悪感が強くなって、イオは彼を突き飛ばした。
 突き飛ばされたシドクスはぐったりして動かなくなった。

 イオは逃げ出した、星の明かりしかない夜道を必死に逃げた。
 必死に走って、逃げて。
 夜が明ける頃にようやく街が見える所まで戻ってきた。

 それをみて、疲れが一気にきたイオはその場でへたり込んだ。

 涙がでた。
 シドクスに襲われただけじゃない、今までの全てが涙を押し出した。

 頑張ったのに、あんなに頑張ったのに。
 ちゃんとしたパーティーでは戦力にされてなく、優しいパーティーではマスコットのように保護された。
 ようやく戦わせてくれるところがあると思ったら、あんな体狙いの下品な男だった。

 悲しくなって、イオは泣きじゃくった。

 日がすっかり昇って、彼女はくしゃくしゃになった顔で街のギルドに戻った。
 イオは立ち直った。

 彼女は失敗を恐れない、失敗続きの人生だから、更に一つ失敗したくらいで彼女はめげない。
 が、少しやけになったのは間違いない。

「アレクシスが重傷を負ったってよ」
「あのアレクシスが? 何があった」
「森でアンデッドモンスターが大量に発生してるんだが、そこでやられたらしい。モンスターがまだまだ湧いてるから冒険者を大量に募ってるところだ」

 ギルドに戻ったイオが耳にしたのは、ギルド創設以来の危機。
 話を聞いて、自分のランクよりも遥かに危険度が高い依頼。

 それでもそこから実戦が出来る、純粋に力を求められる場で実戦が出来る。
 イオはそこに向かった、疲れ切っている体にむち打って向かった。

「頑張る!」

     ☆

 頑張り屋の女の子。
 どこまでも変わらない、純粋で、ひたむきな女の子。

 それまで悪路を必死に走ってきた女の子が、運命の出会いで高速の一本道に乗るあげる出会いまで。
 後、わずか。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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