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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

魔剣エレノア編

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21.もう一枚あれば

 夜、屋敷の風呂場。

 二十人は余裕で入れる銭湯みたいな風呂の中で、ミウに背中を流させていた。

「んしょ、んっしょ……」

 タオルを巻いて、一生懸命背中をごしごししてるミウが健気で可愛かった。

「もうちょっと強くやって」

「はいっ!」

 注文をだすと、ミウは言われた通り力を入れて強くこすりはじめたけど、それは長続きしなかった。

 力が徐々に弱くなってって、「ふみゅ……」と泣きが入る。

 だけど、泣き言は言わなかった。

 たまに深呼吸&息を止めて力を強くしてごしごししてくる。

 それでバーストかけたけど、またすぐに息切れして力が弱くなる。

 一生懸命やってくれてるのはわかる。だから不満はない。

「ミウは何かほしいものはないか」

 雑談代わりに聞いてみる。どうせこれからは金をどんどん使っていくんだ。

「んしょ……ほしいもの……んしょ……ですか?」

「ああ、何でもいいぞ」

「本当に……んしょ……何でもいいんですか?」

「おう、言ってみろ」

 もう一回後押しすると、ミウが遠慮がちに言った。

「垢すりが……ほしい、です」

「垢すりぃ?」

 語尾が変な感じで上がった。あまりにも予想外な答えだったからだ。

「ご、ごめんなさい。今のは――」

「いや怒ったわけじゃない。どんな垢すりなんだ?」

「えっと、手袋みたいな形で、ざらざらして、ごしごししたら垢がいっぱいとれてすごく気持ちがいい垢すりです」

 ミウが説明した。

 聞いてて何となくワクワクしてくる。してくるんだが……。

「それ、いくらくらいなんだ?」

「えと、銅貨で――」

 予想通りメチャクチャ安いものだった。ぶっちゃけ換算すると百円くらいの値段のものだ。

「百均レベルのものをねだるのか」

 思わずつぶやいてしまった。それくらい困惑した。(ミウも「百均?」で困惑したけど)

「ダメですか?」

「ダメじゃない。というかそれは買っとけ。生活費とか預けてるだろ。そういうのは遠慮なくかっとけ」

「はい!」

 背中に目はついてないけど、満面の笑顔が簡単に想像出来そうな明るい返事だ。

 ごしごしが続く。

 ふと、ドアノッカーの音が聞こえた。

 玄関の音で、ミウは聞こえてないから教えてやった。

「ミウ、誰かがドアをノックしてるから。見てきて」

「えっ、わ、わかりました!」

 ミウは慌てて風呂場を出て、メイド服をいそいそと着て、玄関に小走りで行った。

 途中で転んだ音がした。軽く泣きが入ったけど、それでもめげずに玄関に向かっていく。

 メイドを増やすか。ミウ一人じゃ負担が大きすぎる。

 大きな買い物だから、銀貨300枚=くじ引き券1枚はきっちり越えるようにサラマスに注文しとこう。

 しばらくして、ミウがバタバタと戻ってくる。

「ご主人様、お客様です」

「どんな人でなんの用?」

「えっと、冒険者? っぽい男の人です」

「……ああ」

 何となく察しがついた。そういうのがまた来たのか。

「要件を聞いてきて。パーティーの話なら断ってかえってもらえ」

「わかりました」

 ミウは言われたとおり玄関に行って、ちょっとしてから戻ってきた。

 やっぱりパーティーに誘いにきた男みたいで、また出直すっていいのこした。

 出直されても断るだけだが。

 そのあとミウにしっかり背中を流してもらって、気持ち良く風呂に入った。

 湯上がりの着替えまでフルコースでお世話してもらって、疲れが完全にとれた気がした。

 代わりに、ミウがへとへとになった。

「みう」

「はい、なんですかご主人様」

 おれに名前を呼ばれると、気合入れてシャキーン、ってなる姿がいじらしかった。

「もふもふするぞ」

「――はい!」

 ミウは一瞬だけ驚いて、すぐに満面の笑顔になった。

 その晩、ミウをゆっくりじっくりともふもふした。

     ☆

 翌日、モンスターと戦った場所に飛んだおれは、そこを満遍なく探し回って、くじ引き券を拾った。

 買い物でたまったくじ引き券と合わせてまた10枚がたまったから、早速くじ引きにいった。

 くじ引きの部屋には先客がいた。見覚えのある男だ。

「おっ、あんたはあの時の」

「触手の……」

 男は商店街のくじ引きで、おれの前に一等賞を当てて、「触手」っていうスキルをゲットしていった男だ。

「そっか、そっちも異世界に着てたんだ」

「ああ」

「うまくやれてるか?」

「ぼちぼちかな」

「ぼちぼちか。あれもぼちぼちか?」

 おれの背後を指さした。一緒に連れてきた、人型のエレノアを指した。

 なんかにやにやしてるから、色々誤解されたかもしれない。

 どうでもいいから、適当にごまかしとくことにした。

「で、ここに来たって事は、あんたもくじ引き券集めてきたのか」

「ああ」

「そうか。わるいがおれが先に来たから、先に引かせてもらうぜ」

「うん」

 頷いてやると、男はスタッフの方に向かっていった。

 そして、くじ引き券の――束を渡した。

「ねえちゃん、100枚だ」

「ちょっと待ってくださいね――はい、100枚丁度です。110回どうぞ」

「よーし、前は30枚だったけど、今度こそ当たりを引いてやるぜ」

 男の意気込み、その内容を聞いておれはビックリした。

 100枚に、前回は30枚?

 ってことは合計130枚を集めてきたのか? こっちは今回ので20枚だってのに、一体どうやって。

 ……あとで集め方を聞いといた方がいいかもしれないって思った。

 男は意気込んで、抽選器を回した。

 ガラガラガラ、ゴトッ。

 抽選器が回る音と、玉が落ちてくる音が続いた。

 黒が続いた、たまに白がでた。

 ほとんどが参加賞で、申し訳程度に五等賞が出る。

 それが――110回も続いた。

「ああ、くそっ! 今回も全部外れかよ」

「残念でしたね」

「しょうがねえ、白が結構出たのがせめてもの救いだ。これを女騎士達に使ってやるぜ」

 なんかとんでもない事をいってるような気がしたけど、聞かなかったことにした。

 男が袋をもらって、魔法の玉をつめた。

 おれはありったけの10枚を取り出して、スタッフに渡した。

「10枚だけなのか?」

 男が横から聞いてきた。

「集まらなかったんだ」

「そんなんじゃあ甘いよ。今の見てただろ? 10枚程度じゃあたらないぞ」

「だな」

 ちょっと苦い顔をした。さすがにアレを見た後じゃ引く気が失せる。

 せっかく来たし、使ってしまった白玉の補充だけでもして帰ろう。

 そんな事を思って、抽選器を回した。

 ガラガラガラ、ボトッ。

「……えっ?」

「うそだろおおおお!?」

 男は頭を抱えて、盛大に悲鳴を上げた。

 一発目に出たのが――黄色の玉
 ハンドベルがなる。

「おめでとうございます、四等賞です」

 スタッフが祝福する、男がますます呻いてしまう。

 背後で一部始終見ていたエレノアが「ぷっ」って小さく吹き出した。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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