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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

エレノア編

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216.エレノアを超えた一瞬

 エレノアの姿が陽炎のごとく揺らいだ――次の瞬間目の前に迫っていた。
 振り下ろしてくる手刀をひかりで受け止める、魔剣同士の剣戟音が響き渡る。

「早いな!」
「その二振りの魔剣、気に入った。貴様を葬った後われが使ってやろう」
「お前にしてはシャレのきいた冗談だ」

 エレノアが眉をひそめた。
 力が弱まったからひかりを振り抜いて押し返す。

 弾き飛ばされたエレノアは空中で両手を広げて、全身から赤い光を放った。
 それと同時に、周囲の空間がゆがみ、無数の剣が出現した。

 エレノア。

 魔剣だった彼女と同じ形をした剣がまわりの空間を覆うかのように出現した。
 ざっと数えて百以上。

「小手調べだ」

 エレノアが口角をゆがめて手を振り下ろす、剣が一斉に飛んで来た。

(油断するなよ)
(おかーさんと同じ匂いがするよ)
「分かってる!」

 エレノア、そしてひかり。
 二振りの魔剣でで飛んで来た剣を迎撃した。
 降りしきる雨よりも更に密集した魔剣の投擲、最初から全力・フルスピードで全て打ち落とす。

 一撃一撃が重い、何よりその性質(、、)がエレノアそのものだ。
 一本残らず打ち落とした、落とされたヤツはすぅと消えて行く。

(右だっ!)
「くっ!」

 ガキーン!

 エレノアの警告でとっさに体が動いて迎撃した。
 懐に潜り込んできたエレノアの攻撃をはじく。

「よく止めたな――むっ」

 エレノアが眉をしかめる、魔剣と打ち合った腕に黒いオーラがついている。

「なんだこれは」
「こういう――ことだ!」

 ギアをあげて魔剣で斬撃を放つ。
 パワーよりも手数を優先した斬撃、秒間100回は超える程のスピードで斬りつける。
 斬るたび、エレノアが受け止めるたびにオーラが爆ぜてダメージを与える。

 くじ引きで引いて、編み出した技の一つ。

「ええい、こざかしい技め」
「もっと行くぞ」
「図にのるな」

 打ち合った衝撃でエレノアが後ろに下がる。
 空中でパチンと指を鳴らすと、おれの足元からゾンビやらガイコツやら――死霊の軍勢が現われて足首をつかんだ。

「少し休んでおれ」
「今更こんなので!」

 オーラを一気に吹き出させて、死霊どもを吹き飛ばす。
 拘束をふっとばして更にエレノアに肉薄。

 三度打ち合う、物理的なパワーは互角、魔剣の力は向こうがより純粋で上回っている。
 倒すためには――と頭を巡らした瞬間。

 上空から殺気が舞い降りた。

「人の子はやらせない!」

 龍から竜人の姿になったオリビアが大鷲のように急降下しながらの攻撃をエレノアにしかけた。
 竜王オリビアの渾身の一撃、それを。

「トカゲは引っ込んでおれ」

 エレノアはかわし、つむじ風を巻き起こす回し蹴りでカウンター。
 ほぼ直角で、跳び降りたオリビアが真横に吹っ飛ばされた。
 大木を何本もなぎ倒して、ようやく勢いが止まる。

「か、カケルさん」
「来るな! そこにいろ」

 オリビアが何らかの手段で下ろしたタニアが離れた場所からおれの名を読んだ。
 オリビアすら一蹴するエレノアの力、タニアじゃかなわない。
 一喝して止めて、エレノアに飛びかかる。

 人の姿になったエレノアは強かった。
 ワープの羽根を使った短いワープでの奇襲。
 オーラを付着させて手数を倍にした攻撃。

 二振りの魔剣、そしてくじ引きでゲットしたアイテムの数々を使いこなしてもまだ互角だった。
 このまま戦闘が長引くかと思いきや。

「むっ」

 エレノアが動きがほんの一瞬だけ止まった。
 手足の動きがぎこちなかった、何かに引っかかったかのような、そんな動き。

 時間にして0.01秒もないだろうが――それで充分。

「うおおお!」

 肉薄してバランスを崩し、わるあがきの反撃もエレノアで弾き飛ばす。
 致命的にがら空きになった脳天にひかりを振り下ろ――。

 今度はこっちの動きが止まった、体が硬直して、斬撃がピタッと止まる。
 斬る?
 こっちで?

 ひ か り で エ レ ノ ア を ?

 斬撃が0.01秒とまった理由が脳裏によぎった瞬間、向こうのエレノアが態勢を立て直して反撃した。
 右腕を薙いで綺麗な弧を描くと、そこから魔剣が数十本召喚された。
 魔剣が飛ばされる、慌てて後ろに下がって打ち落とすと、エレノアがここぞとばかりに詰め寄ってきた。

 一瞬のためらい、完全に形勢逆転。
 エレノアの猛攻にすっかり防戦一方になった。

(なにをやってる貴様は!)
(おとーさん……)

 力がほぼ拮抗しているせいで、あの一瞬のためらいが致命的だった。
 防戦一方になって、押されっぱなしで完全に主導権を握られてしまった。

「とどめだ!」
「くっ!」

 エレノアが更に無数に魔剣を召喚し、ほとんどを飛ばしつつ、その一本を掴んで直に振り下ろした。
 押されている――やられるっ。

 相打ち覚悟で反撃をと思った瞬間、真横から何かが飛んで来た。
 知覚できるよりも遥かに早いスピードでそれが飛んで来た。

 雷をまとったそれは、エレノアの脇腹に体当たりした。

「イオ!」

 イオだった。
 力を使い果たしておいてきたイオが、さっきみせた技で奇襲をかけた。
 この瞬間だけ、イオはおれとエレノアのスピードを上回った。

 しかしそれは続かなかった。
 体当たりした直後、イオは何もしゃべれず、雷化から普通の姿にもどって、地面にどさっと倒れ込んだ。

(今だ!)
「分かってる!」

 地をけって踏み込んだ、意識の外からの体当たりで少なからずダメージを受けて硬直してるエレノア(人間)エレノア(魔剣)を振り下ろす。

「くぅっ!」

 とっさに力を振り絞って後ろに飛ぶエレノア。
 着地した彼女の脳天からつーと、一筋の鮮血が流れた。

「くっ、体の具合が。勝負はお預けだ」
「逃がすか」

 追いかけようとするが、エレノアがパチンと指を鳴らして、死霊の軍勢で壁を築く。
 数百体の死霊が一遍に召喚されて立ち塞がった。
 エレノアとひかりで瞬殺したが、あっちのエレノアはすっかり逃げおおせてしまった。

(今からでは追いつけぬな)
「ああ」

 エレノアとひかりをおさめて、倒れている女達をみた。
 オリビアは脇腹を押さえてやってきた。

「大丈夫かオリビア」
「ごめん、やられちゃった」

 おどけて返事した。
 痛手を負ってるがたいしたことはないみたいだ。

 一方、イオは倒れていた。
 抱き起こすと、額に大粒の脂汗を浮かべて、苦しそうにうめいている。

(休ませたほうがいいな)
「ああ」
(しかし驚いたよ、我らの知覚の外から割り込んできたぞ)
「おれもびっくりしてる」
(あのイオがなあ)

 しみじみというエレノア、おれも似たような感情を抱いていた。
 出会った時は頼りないどこにでもいるような魔法使いだったのに、いつの間にか成長して、一瞬とは言えおれと二人のエレノアの上をいった。

「か、カケルさん……」
「どうした」
(うわごとの様だな)

 エレノアの言うとおり、イオに意識はなく、うわごとをつぶやいているだけだった。

「わたし……もっと……カケルさんのために」
「……」
「もっと……もっと……もっと……」

 「もっと」を繰り返すイオ。
 その姿がいじらしくて、愛らしくて。

 おれはそっと、触れるだけのキスをした。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
+注意+
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