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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

エレノア編

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215.進化

 シルリアの麓。
 オリビアの背中に乗って山を離れようとしたら、地上にマラトンの泉と同じ、神聖なる力がたまっているのを感知した。

 オリビアを空中で待たせて、おれはエレノアとひかりを持って跳び降りた。

 着地した後、力の出所を探す。
 すぐにそれは見つかった。

 降りたところから十メートル程度離れたところに巨大な穴がある。
 地底に繋がる洞窟の様な穴は、まるで魔剣立ちに反応したかのように、例の白い蛇がぞろぞろと出てきた。

 エレノアとひかりを抜いて、構える。

「こいつとももはや旧友って感じがしてきたな」
(われはいい加減こいつの顔を見飽きてきた。相手にするとくたびれるだけだ)
(ひかりも、あんまりすきじゃない……)
「魔剣の天敵だしな」

 エレノアはうんざりした程度だが、ひかりは本気で嫌がってる感じだ。

「ともかくやろう。こいつらを放っておいていざって時乱入されてもしたら骨だ」
(うむ)
(ひかり、がんばる!)

 魔剣を握り締めて、さあ斬りかかろう――とした時。
 空から杖を持った少女が降り立った。

 跳び降りてきた彼女は着地の瞬間に魔力を放出して勢いを殺した。
 魔法使いの大きな帽子が一瞬ふわりと浮かんで、慌ててそれを掴んでかぶり直す。

 跳び降りたのは――

「イオ!?」

 驚いて空を見上げた。
 オリビアは上空にいる、おれが跳び降りた時とまったく同じところで羽ばたいてる。
 ざっとみて20~30階くらいの高さにある。
 そこからイオが跳び降りてきたのだ。

「どうしたんだ? 上でなんかあったのか」
「ううん」

 イオは首を振って、おれを見つめた。

「カケルさん、ここはわたしにやらせて」
「おまえに?」
「うん」

 イオは頷き、おれをまっすぐ見つめてくる。
 顔は真剣そのもの、瞳はメラメラと燃えてる。

 ……なぜ? と思いつつも、エレノアとひかりをおさめて、頷く。

「分かった」
「ありがとう!」

 イオは笑顔でそう言うと、魔法の杖を握り直して、ぞろぞろ出てきた白い蛇と向き直る。

(ほう)

 瞬間、音が消えた。
 イオの体が淡い燐光をまとう。
 膨大な魔力が渦巻きだした。

(なにかやろうとしているようだな)
「ああ、しかも今までとまったく違うことだ」
(ちがうことなの?)
「多分な、そういう雰囲気だ」

 完全に推測でしかない、しかしそう思わせる空気が今のイオにはある。
 イオの横顔は怖いくらい真剣だ、何かに挑む様な真剣さを感じさせる。

 魔剣の天敵だが、一方で人間にはちょっと強いモンスター程度の力でしかない。
 イオが普通に戦って倒せる相手だ、こんな顔をするような相手じゃない。

 となれば、相手は白い蛇じゃない。
 イオ自身ということになる。

 魔力がおそらく限界まで高まって、イオは、詠唱して雷の魔法を放った。

 稲妻がイオ自身を撃ち抜いた!

(イオおねえちゃん!? 失敗したの?)
(いいや)
「むしろ成功だ」

 落雷はイオを撃ったが、地面には届かなかった。
 雷がイオの脳天におちたが、彼女の体に吸収された。
 雷を吸収したイオの体に変化が起きた。

 まるで実体のない、雷そのもの(、、、、、)のような姿になった。

 瞬きした瞬間目の前からイオが消えた。
 一瞬で動いたイオは白い蛇どもに肉薄して、一緒に雷になった(、、、、、)魔法の杖を振るった。
 魔法じゃなく、棒として振るわれた杖は白い蛇をマップダツにした。

 イオの一撃、太刀筋でみればたいしたことはないが。

(速度が桁違いだ)
「雷の力を取り込んで、エネルギー化か、精霊化したって感じだな」
(危険きわまりないことをよくやるもんだ)
「やっぱり危険なのか」
(当然だろう、自分に自分の魔法を全力で撃つ時点で正気の沙汰じゃない)
「たしかに」

 しかしイオはやってのけた。
 エレノアが「正気の沙汰じゃない」と表現した事を成功させた。

 白い蛇はあっという間に一掃された。
 今までのイオでも軽く倒せた連中だったのが、更に圧倒して殲滅した。

 白い蛇が全滅した後、イオの体から徐々に魔力が抜けていき、本来の姿に戻った。
 と思ったら足元がふらついた。
 かけよって、倒れそうになったのを抱き留める。

「大丈夫か」
「大丈夫です、魔力を全部使っただけだから」
「疲労って事か」

 ならば心配はないのだが。

「なんでいきなりこんな事を?」
「ひかりちゃんに刺激されたから」
(ふえ?)
「魔剣なのに進化するひかりちゃんをみて、わたしも負けてられないな、って」
「そうか」

 イオにキスをした。
 軽く触れる程度のキス、弱まってるから今はそれだけにした。

「今度それをもっとよく見せてくれ」
「うん!」

 イオは弱々しいながらも、はっきりと嬉しそうに頷いた。

「さて、オリビアに――」

 瞬間、頭の中を白い光が貫いていった。
 考えるよりも先にイオを置いて、地面を蹴って真上に飛んだ。

 全力での大跳躍、圧倒いう間に空中のオリビアを抜いてその上空に到達。
 途中で抜き放ったエレノアとひかりをクロスにガードさせた瞬間、衝撃が来た。

 体の芯に響く、ずしりとした衝撃。
 オリビアを襲ったであろう何かをガーとした。

「う、おおおおお!」

 雄叫びとともに、襲ってきた何かを真横に流した。
 それでも流しきれなくて、それ(、、)は斜め下に、おれも地上に押し戻された。

 とっさに態勢を立て直して着地して、それ(、、)をみる。

(なん……だと?)
(え? えええええ!?)

 魔剣の母娘が驚く。
 無理もない。
 それはエレノアだった。

 くじ引き所でしかあうことのできない、人の姿のエレノアだった。

 ただし、雰囲気が違う。
 あそこにいるエレノアは娘にデレデレの親馬鹿だが、目の前のエレノアは冷笑をうかべまがまがしいオーラをはなち、マントをなびかせている。

 魔王。

 その単語が思わず脳裏をよぎる程の姿だ。

「おまえ……エレノアか?」
「われの姿をみて即座にその言葉がでるとは。いよいよもって貴様の正体が気になってきたぞ。それに、われとそっくりのその二振りの魔剣もな」
「そんなことよりも何があった? なんでお前が人の姿になってる」
「肉体をもらったのよ」

 エレノアは冷笑したまま答える。

「今、地上でもっとも強靱で、もっともわれの力をなじませた肉体をな」
(ロドトス……)
「あいつの肉体を乗っ取ったのか?」
「その通りだ」

「おいエレノア! どういう事だ」
(わ、われに言われても……)

 珍しく、あからさまに戸惑っているエレノア。
 この時代に来てから彼女の記憶が頼りにならないことが多いが、それでもいつものエレノアだった。

 こんな風に戸惑ってるエレノアの姿ははじめたみた。
 それをさせた相手。
 過去のエレノア……魔王の様なエレノアをみた。

 物理的に肉体をもったのにもかかわらず、そこにいるエレノアは純化された力の固まりに見えた。
 魔剣のオーラ、おれが使ってるオーラを遥かに上回る量を凝縮させて人の形にした。
 そんな風に見えた。

 そしてそれは、とても美しかった。

 純化された存在は、これこそ本当のエレノアだと思った。
 真・エレノアとも言うべき存在なのだと思った。

「……ふっ」
「何がおかしい」
「いや、楽しいんだ」
「楽しい?」
「今の一撃で分かった、お前はロドトスよりも強い」
「当然だ、われを人間ごときと一緒にするな」
「おれが今まで戦ってきたどの相手よりも強い、しかも群を抜いてな。多分その姿になったからなんだろうな」
「……何が言いたい」
「いやなに」

 ひかりを握り直す。
 離れたところできょとんとしているイオをちらっと見る。

「おれ()負けてられないってことだ」

 言った瞬間、左右に二人の気配を強く感じた。
 魔剣の傍らに、そっと寄り添うようにして佇む二人の少女、イメージがにじみでた幻像。

「われが……二人?」

 向こうのエレノアは息を飲んで、目を見開かせて動揺した。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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