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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

エレノア編

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209.メルクーリの証

 タニアから話を聞いた。
 どうやらシラクーザとカランバというのは、ロドトスの圧政に耐えかねて、打倒ロドトスのために村を旅だった若者のことらしい。

 たまに風の噂で義勇兵としてあっちこっちで戦ったり、軍団を立ち上げて辺境の一部を占拠したり。
 と、そういう活躍が伝わってくるらしい。

 後の五大国の名前が二つも同時にでて、目的がロドトス――帝国打倒となれば完全に関係がないときりすてられるわけがない。
 おれは、そいつらが最終的にロドトスの帝国に変わって五大国を作りあげた可能性が高いと思った。

 つまり、ロドトスを倒す時はそいつらと共闘するなり、横から乱入するなりしたほうが効率がいいってことだ。

 ロドトスを倒す――エレノアを倒す?
 口が「へ」の字になってしまうのが自分でも分かった。

(自信がないのか?)
「……九割方勝てる」
(貴様と出会ってからで一番弱気だな)
「全盛期のお前が向こうについてるんだぞ」
「うん、おかーさんすごく綺麗だったね」
(そうだろうそうだろう)

 威張るエレノアにデコピンをする。
 同じ魔剣のひかりがそれを「綺麗」だって表現するのは何となく分かるし、娘にほめられて舞い上がるエレノアもわかる。
 わかるがちょっとムカつく。

 しかし、その通りだ。
 ひかりが「すごく綺麗」だというように、あのエレノアは全盛期のエレノアだ。
 ロドトスが持ってるのがあのエレノアである以上百パーセント勝てるとは言い切れない。
 どうにかする必要がある

「どうしたのおーちゃん、さっきからうずうずしてるよ?」
「おろ!? な、なんでばれたの!」
「おーちゃんの事なら分かるよ」

 ひかりはそういい、天使のように微笑んだ。

 って、そうなのか。
 おれにはそんなにうずうずしてるように見えなかったけど。

 そんなオリビアは一瞬だけおれをちらっと見た。
 何か言いたげな顔だ。

(くくく)
「なんだ」
(やつを見てある生き物を思いだしてな)
「ある生き物?」
(ポチ、というのが貴様に一番わかりやすいだろ?)

 思わず「まわりくどいわ!」と突っ込みそうになった。

 ポチ、言うまでもなく犬っぽい名前、なんだったら忠犬や悪い意味での飼い犬を言い表す時にも使う。
 それがオリビア?

 もう一度オリビアを見る、うん、やっぱり何か言いたげだ。

「なんか言いたい事があるのかオリビア」
「――っ! うん」
「いえばいいのに。なんで黙ってたんだ」
「言っていいって言われてないから」

(ポチよなあ)
「竜の王なんだがな」

 苦笑いを禁じ得なかった。

「で、言いたい事ってなんだ? 言ってみろ」
「その二人、あたし知ってる」
「なんでだ?」
「兵を借りに来たことがあるから」

     ☆

 ドラゴンになったオリビアの背中に乗って、大空を飛んでいた。
 イオも、タニアも一緒に乗ってる。

 最近すっかり強くなって、一本芯通ってきたイオだったが、真っ青になって固まってる。どうやら高所恐怖症だ。
 オーラの腕を出して、そっと包んでやったら少しだけ顔が和らいだ。

 一方のタニアは割と平気な感じで、下を興味深そうに見ている。

 ちなみにひかりはオリビアの頭に乗ったり首にぶら下がったりと、一番空の旅を満喫している。

「で、シラクーザとカランバの居場所が分かるのか」
『人の子なら、一度会えば世界のどこにいようとある程度感知できる』

 ドラゴンになったオリビアは大仰な口調になっていた。
 そういうもんなんだろうなドラゴンって、これまた妙に納得した。

「そうか。感知できるって何を感知するのか? 魂とか?」
『匂いだ、人の子よ』
「匂いかよ!」
(くくく、やはりポチよな)

「ちなみに今どっちの方に行ってる? 近い方に行ってるよな」
『うむ、スキロス・カランバという男のほうだ』

 オリビアが答えた後、自然に会話が途切れた。
 到着するまで特に聞くことはないから、おれも黙った。

 しかし。

『そろそろつくぞ人の子よ、この先に――』
「戦ってる」
『むっ?』

 777倍の感覚で捉えた。
 オリビアが飛んで行く先で戦闘が行われている。

(1対20、ってところか)
『むぅ……たしかに戦っている』
「スキロスは中にいるか?」
『1の方だ。手傷を負っているようだな』
「降りよう」
『少し待て、降下には時間がかかる』
「ならこっちが先に降りる」
『なに? どうするのだ人の子よ』
「イオとタニアをたのむ。ひかり」
「うん!」

 ひかりが戻ってきて魔剣になった。
 それを手に取って、エレノアも抜いて。
 オーラを纏ってオリビアの背中から跳び降りる。

「「カケルさん!?」」

 イオとタニアの声が聞こえたけど、気にしない。
 速度をあげてどんどん降下する、百メートル近い高さから一瞬で地面にたどりついた。

 力を放出して地面にたたきつけて、勢いを殺して着陸。
 爆発のようなものを起こして、無事に着陸した。

 それが結果的によかった。
 急に空から人が振ってきてことで、戦いが中断された。

 さっとみて、瞬間的に状況を判断。
 総勢21人、1人が20人に囲まれてる。双方ともおれをみてポカーンとしてる。

 オリビアが言うには1人の方がスキロスだったな――なら!

 エレノアとひかりでそいつらを瞬殺した。
 それなりの使い手だけど、ロドトスにもオリビアにも、ましてやあの白い蛇にも及ばない。
 ただの人間ってレベルで、一瞬で20人の首が泣き別れした。

「こんなもんか」
(おとーさんすごいね。跳び降りるのかっこよかった)
(ふ、ふん。あっちのわれの方が綺麗だがな)

 なにを張り合ってるんだお前は。
 エレノアにデコピンしつつ、男に振り向く。

 ふと、腰元からあるものが落ちた。
 着地の時の衝撃で落としてしまった。

 それは扇子、この世界にやってきて、はじめたあったヘレネーにもらった扇子。
 もらってから、ずっと肌身離さず持っていた、メルクーリの紋章が入った扇子である。

 開いてみる、うん、落としただけで壊れてないな。
 よかった――。

「その紋章!?」
「うん?」
「あなたはメルクーリゆかりの方ですか?」
「な、なんだいきなり」

 スキロス・カランバとされる男が食いついてきた。
 おれが持ってる扇子――その紋章に食いついた。

「よかった……メルクーリを……メルクーリをようやく見つけた……」

 感激するスキロス。
 これって、もしかして……。

(結局、貴様が主役の一人らしいな)

 エレノアは楽しげに言い放ったのだった。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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