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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

エレノア編

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208.オルティアとタニア

 黄金のくじ引き券、その半券をとりあえずしまって、まずは目の前の相手に集中する。
 一番反応したのはイオだった。

「オルティアさん!?」

 まさかここで出会うとは思ってもいなかったので、思いっきり驚いて悲鳴に近い声を上げてしまった。
 オルティアはイオをじっと観察する様に見つめてから、静かに口を開いた。

「その呼び方、そして表情。あなた、わたしの事を知ってるのね」
「えっ……あっ……」

 手で口を押さえるイオ。
 ようやくここが過去の世界で、オルティアも過去の人間だと思い出したようだ。

「わ、わたしはべつに……」
「人覚えはいい方なんだけど、そこまでの魔力を持った人間は一度見たら忘れないわ。あなた――いえあなた達何者?」
「……」

 イオは困り果てた顔で、おれに視線で救いを求めた。

「……大賢者オルティアを一方的に知っててもおかしくはないだろ?」
「エレノアとまったく同じ波動を持つ魔剣、大魔道士クラスを凌駕する魔力を持った若い女、そして竜王オリビア」
「おろろ、わたしの事をしってるの?」
「竜王オリビアこそ、一方的に知っててもおかしくはないわね」

 同じセリフでやり替えされた。
 実際のところオリビアの事を一発で見抜ける人間がいるとは思えない。
 今の彼女は竜の姿じゃないし、義勇兵に潜入した時の様に姿を変えられるしで、見た目は一定じゃないはずだ。

 それでもオルティアは何の迷いもなく言いあてた。
 しかもエレノアの事と、イオの事を。
 両方言い当てた、知らないのに、その本質を一瞬で。

 大賢者オルティア、全てを知るもの。
 その二つ名は伊達じゃなかった。

 ちらっとオリビアを見る。
 彼女の時と同じように、全て話した方がよさそうだ。

 期待もある、オルティアに話したらどんな反応をされるのか。
 大賢者と呼ばれる程の彼女がどういう反応をするのか、それがきになった。

「おれは未来から来た。こいつは未来のエレノアだ」
「何年後?」
「え?」
「何年後から来たのかしら」

「迷いなくそこを聞くのか。……何年後だろ? すくなくともロドトスの名前が風化して、ああ、オリビアが寿命を迎えたあたりだな」

「国は? ロドトスの帝国は?」
「ないな。メルクーリ、カランバ、コモトリア、シラザーク、アイギナ。この五カ国が世界を分割してる」
「どれも聞いたことない名前ね」
「ああ、お前がそいつらに顔が効くんだったな」
「あら、そうなの?」
「午後のおやつをもらうかのように、おれに五カ国から同時に爵位をもらってきてたぞ」
「あなたに?」
「おれに」
「へえ……」

 オルティアは興味津々って感じでおれをジロジロみた。
 爵位の話がどうしたんだろ。

「わたしらしい」
「お前だからな」
「あなたに興味が出てきたわ」
「未来で似たことを言われた気がする」
「……」

 軽快なやりとりから一転、オルティアは黙ってしまった。
 黙り込んで、おれをじっと見つめる。

「どうした」
「ロドトスの名が風化するほどの永い時間」
「ああ」
「帝国がおそらくは瓦解し、知らない国の名前が地上の勢力図を塗りつぶすほどの時間」
「何がいいたいんだ?」
「なぜ、わたしが生きてるの?」
「む?」

 オルティアの言葉は衝撃的だった。
 何故生きてる? それってまさか――。

「おまえ、もしかして人間……なのか?」
「わたしはオルティア、ただのオルティア」

 真顔で答えるオルティア。
 聞き慣れた台詞が、完全に違う意味を持ってしまった。

     ☆

 大賢者オルティア。

 最初に現われたとき、彼女はフード付きのマントで全身を覆った、しわくちゃの老婆だった。
 直に触った人間から精気を吸い取り、それが約千人分で元の姿に若返る事ができる。
 その能力と、歴史に度々姿を現わした大賢者ってことで、おれは彼女の事を人間じゃない何かの長命種だと思っていた。

 それを、彼女は完全に否定した。

     ☆

 オルティアと一旦わかれた。
 (ある意味)おれの仲介でオルティアとオリビアが話しあって、オリガの事例もだして、竜王の肉はなんら意味を成さない事を彼女に告げた。

 オルティアもうすうすとそれを気づいていたようで、それでもわずかな望みにかけて――って感じだったらしい。
 それを告げられて、いともあっさり引き下がった。

 エレノアからロドトスを解放する方法は後日相談することにして、彼女と連絡方法を交換して、一旦わかれることとなった。

 そして今、マラトンの泉のほとり。
 おれは一人でくじ引き券の半券を眺めていた。

(なにかがたりんのだな)

 一人じゃなかった。
 エレノアが真顔(、、)で言ってきた。
 半分のくじ引き券、オルティアと出会った瞬間に出てきたが、半分しかない券。
 エレノアの言うとおり何かが足りないと思うのが自然だ。

(オルティア――と断ずるには、足りないものが多すぎるな。われとタニアの記憶にしてもそうだ)
「そうだな」
(が、明快にもなった。この欠けたピース(黄金の半券)を揃えるのが最終目的になりそうだ)

 無言で頷く。
 異世界にきてからの――いや、異世界にくる直前から、おれとくじ引きはきっても切れない関係になる。
 ここにきて黄金のくじ引き券、しかも半分とくれば当然残りの半分をどうにかするという考えになる。

 黄金のくじ引き券は探せるものじゃない、それは何かを成し遂げた時に出るものだ。
 問題は何を成し遂げるかだ。

「お前の記憶、タニアの記憶、オルティアの体。さしあたってはこの辺だな」
(一度くじをひくあそこに行ってみてはどうだ? なにか手がかりがあるかもしれん)
「さっきからそうしようとしてる、どうもあそこには行けないみたいだ」
(手詰まりだな)

「カケルさん……ちょっといいですか?」

 背後から話しかけられた、タニアだ。
 振り向くと、眉をしかめた彼女の姿がみえた。

「どうした」
「さっきの話を聞いて、気になった事があるんですけど」
「なんだ、言ってみろ」
「シラクーザとカランバって、人の名前ですか?」
「国の名前だ……ああ人名でもあるな」

 ヘレネーもイリスも、名字は国の名前と同じシラクーザだ。

「やっぱり……」
「どういうことだ?
「その……わたししってるんです、シラクーザさん。前にロドトスを倒すって、村から出て行った人の名前です。カランバさんはその人を連れて行った人の名前です」

「……」
(……)

 同時に言葉を失うおれとエレノア。
 ロドトスを倒すために村を出たシラクーザ、同行していったカランバ。

 偶然……にしては出来すぎだろうな。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
+注意+
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