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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

エレノア編

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204.娘のペットに『お座り』

「お前が……オリビア……?」

 目の前の男をみた。
 そいつはどう見ても人間で、しかも男だ。

 オリビアって名前、そして前にオルティアから聞いた話、ひかりから聞いた話。
 全部総合すると、オリビアってのはメス――女だったはずだ。
 それが男……?

「オリビアだって?」
「どこにいる!」
「また紛れ込んだか!」

 おれのつぶやきが水に投げ入れた石のように波紋を広げた。
 まわりに兵士が一斉に集まってきて、そいつを取り囲んだ。

 直後、兵士達は問答無用とばかりに飛びかかった。
 とっさにひかりの手をつかんで引き寄せた。

 残された男は兵士たちに取り押さえられて、地面に組み敷かれる。
 だというのに、不安も焦りも見当たらない。

(ほんものだな)
「……ああ」

 エレノアのつぶやきに同意する。
 この状況でまったく動じないでいられるなんて、ただ者じゃない。

「おろおろ、ばれちゃったね。うーん、完璧に偽装したと思ったのだけどなー」
「観念しろオリビア!」
「だれか将軍に知らせよ! 屠龍槍を持ってきていただけ!」

 兵士達が一斉に動き出した。

 次の瞬間――世界の色が変わった。
 空の色、地面の色、建物の色。
 ありとあらゆる色が反転した。

「な、なんだこれは!」
「気をつけろ! ヤツが何かを企んでるぞ!」
「ええい! やられる前にヤルまでだ!」

 兵士が慌てつつも、攻撃をしかけた。
 地面に押さえつけられた相手に槍とか矢とか魔法とか、ありとあらゆる攻撃が一斉に放たれた。

 それが――はじけ飛んだ。
 爆煙と共に兵士達が吹っ飛んだ。

 煙の中から、巨大なドラゴンが姿を表した。
 巨大だが、知っているレッドドラゴンよりも一回り小さい。
 その代わり、瞳に知性と、あふれんばかりの威圧感を放っていた。

 ドラゴン――竜王オリビア。
 目の前にいるのは本物だと、おれは確信した。

 オリビアは色が反転した世界の中で暴れ回った。
 尻尾で兵士をなぎ倒し、前足でつかんで骨をボキボキ鳴らすほど握り締める。
 まとめて襲ってくる兵士の一団には口から火を噴いて黒焦げにした。

 不思議な現象が起こった。
 オリビアが倒した人間の兵士はそのままだが、壊したり焼いたりした街の建物は自動で修復されていった。
 まるでビデオの逆再生をみてるかのように、元に戻っていく。

 人間は倒す、しかし街は戻す。
 なるほど、それがこの反転した世界の効果か。

 兵士を一掃した後、オリビアの視線はこっちに向けられた。
 くるか――、と思ったが。

「『十界百雷陣』」

 イオが大魔法を放った。
 全力の落雷を同じ空間に、百発まとめて放つ彼女の必殺技。
 牢固な要塞さえも軽く打ち砕く強力な魔法だ。

 雷は全部オリビアに直撃した、雷の一発一発が爆音を轟かせる。

「やったの!?」

 雷がやみ、イオがつぶやいた直後。
 煙の中から尻尾が飛んで来た。

 イオはとっさに魔法陣を展開したが、砕かれ、彼女は吹っ飛ばされた。

 追いついて、キャッチする。
 そのまま異次元倉庫から魔法の玉を取り出して、治癒に使う。

「ごめんなさいカケルさん」
「気にするな」

 イオをおいて、彼女をかばうように前に出る。

「おろおろ、こんな魔法が使える人間がまぎれていたなんてびっくり。おっ、なんかもっとすごいのがいるね」
「お前がオリビアか」
「そういうあんたは?」
「無名の男だ」
(この時代ではな)
「おろ、おろおろ?」

 煙が完全に晴れて、無傷のオリビアが姿を見せた。
 ドラゴンは巨大な首を左右に繰り返しかしげて、おれを見つめる。

「すっごいよく見たら……なんか隠してる? なんだこりゃ」
「――。ふっ!」

 エレノアを抜いて斬りかかった。
 完全に見抜けないが、何かあるって悟られてる。

 エレノアの迷彩オーラ、彼女を隠したオーラ。
 同等の力じゃないと見破れないってオーラにオリビアが気づいた。

 受け身は危険、こっちからしかける!

 エレノアで斬りかかった、オリビアが竜の爪でそれを受けた。

 爆発した。
 イオの雷が起こした以上の爆発が起きた。

 ギアをあげる。
 このオリビアを相手に少しでも手を抜いて、後手に回った瞬間危険がつきまとう。
 だから初手から全力で、エレノアで斬りかかった。

 全力で斬りかかったせいで、オーラを維持できなくなった。エレノアが丸見えになった。

「ロドトス本人が紛れ込んでいたんだ」
「エレノアの事はわかるか」
「おろろろ? なんかでも違くないこれ。あんただれ? エレノア寝取ったの?」
「やな言い方をするな」
「まいっか、倒したら全て分かるっしょ」

 オリビアとの戦いは激しかった。
 エレノアを使って斬りつけたと思えば傷は一瞬で治り、尻尾を振ってきてガードしたら飛ばされた。
 その勢いで建物を粉々にした後飛び出した、尻尾をつかんで同じように建物にたたきつけるように投げ込んだ。

 街を壊して、その街が直って、また街を壊す。
 オリビアとの戦いは激しかった。

 戦いはほぼ互角。さてどうするかって思っていたら。

「おろろ、このままじゃいかんねえ」
「弱音か?」
「まさかまさか――ここらで一つ、パワーーーーアップゥ」

 微妙に気の抜けるかけ声と共に、オリビアはガッツポーズみたく前足(うで)を天高く突き上げた。
 何のつもりだ、と思った。
 パワーアップといいながら、力が上がったようには感じられない。

「脅しか?」
(くる!)
「むっ!」

 右から炎が渦巻きながら飛んで来た。
 エレノアではじくと今度は左から無数の氷の槍が飛んで来た。
 全部叩き落としたと思ったら、地面がひび割れて足場を奪われ、空からイオの十倍はある雷が落ちてきた。

 それをきっちり対処し、はじいたり防いだりしてると。

「すごいね、あんた」

 背後からオリビアの声が聞こえた。
 ドラゴンは巨体に似合わず、悟られない程の超スピードで背後に回った。

 前足が突っ込んできた。
 地面がおれごと縦二十メートル深さの大穴が出来た。

「ざっとこんなもんかな――ってあれ?」

 腕を引いたオリビアが目を丸くした、目の前の光景を信じられない、って顔だ。

「エレノアが……二本?」

 オリビアの攻撃を防いだ、エレノアと、直前に飛び込んできたひかりで。
 母娘の魔剣、二振りの魔剣でオリビアの攻撃を完全に防いだ。

 二十メートルほどの穴から飛び出した。色が反転した世界で、穴は自動的に修復していった。

「強い」
(うむ、下手したらあのオリビアよりもな)
(おーちゃんよりも?)
「パワーはわずかに劣る、しかし戦術――いや戦闘センスがあっと敵に上だ」
(知性のなせる技だな)
(おー、さすがおーちゃんだね)

 戦闘が再開された。
 魔剣が増えた事で戸惑ったオリビアに猛攻をしかけた。

 全力――120%の力で。
 エレノアだけじゃない、ひかりも加えた、おれの全力で。

 尻尾を両断して、かぎ爪のついた前足を飛ばした。
 よろめくオリビアを蹴り上げて、おれも飛んで地面にたたきつけた。
 巨体が巨大なクレーターを産み出した。

 ドラゴンは、クレーターの中で這いつくばるような姿勢になった。
 起き上がろうとしたところに、頭を叩いて同じ体勢に戻す。

 大勢が決した。
 その後もがいて反撃するオリビアに、おれはなんとも叩いて、同じポーズにした。
 彼女を圧倒してそうした。最後のあたりには、犬をしつけているような、そんな気分になっていた。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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