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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

エレノア編

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203.子は親を超える?

 オリビア。
 ドラゴンの一頭で、かつて戦った相手だ。

 前にデルフィナからこう説明された。
 ドラゴンってのは力も魔力も強く、知性もかなり高い超生物だ。それ故にドラゴンは強い矜恃をもって、「力ある者」としての振る舞いを意識している。
 一方でそのドラゴンは死ぬ間際に、ロウソクの最後の煌めき、あるいは超新星の如く力も体も爆発的に増大する。その時は知性も理性も消滅して、ただ暴れるだけの存在と成り下がる。
 その時の体の色から、レッドドラゴンと呼ばれ、恐れられている。

 ドラゴンは強い矜恃とプライド故に、知性もなく暴れ回るだけの存在になって晩節を汚すことを恐れるため、そうなる前に自分で人生の幕を下ろす事が多い。

 が、まれに生に執着して、生きるためにもがいた結果、力に飲み込まれてレッドドラゴン化するドラゴンもいる。

 オリビアがその一頭で、メルクーリ王国内でレッドドラゴンになって暴れ回って、1000人以上の死傷者を出た。
 それをおれが倒した。
 巨大な赤い竜、彼女は、おれが戦ってきた相手の中で、もっとも強い相手だった。

     ☆

 立て札を眺める。
 なるほど、ロドトスはそのオリビアを倒すために、兵を集めてる訳か。

(よもやまた知っている名が出てくるとはな)
「おれからすればお前とオリビアは同等の存在、どっちも人間の寿命を遥かに超えた種族だ。お前とあった後じゃオリビアの存在に驚かない」
(ふむ、それもそうか)
「しかしロドトスとオリビアか……どっちもそんなに興味はないな」

 立て札を眺めながらつぶやく。
 この過去の世界で気になってる事は一つ、エレノアを消滅させる為に動いてる勢力だ。
 もしこの過去とおれたちがいる時代が繋がってるのなら、その勢力が何をやってるのかを見極めて、場合によっては叩いた方がいい。
 だから、ロドトスがオリビアを攻めることなんてどうでもいい。

 そう思ったんだが。

「おーちゃんと会いたいな」
「じゃあ会おう」
(おい待て! それでいいのか貴様は!)

 エレノアが速攻で突っ込んできた。
 基本、おれが思ってることはエレノアにある程度伝わってる。
 その時その時の細かいところまでは伝わらないが、大まかな方針とか感情は彼女に筒抜けだ。
 もちろん、エレノアを消滅させる勢力を叩く、という方針も伝わってる。
 だからこそのこのツッコミだ。

「ひかりがオリビアにあいたいって言ってるんだ」
(くっ、この親ばかが)
「じゃあお前は止めるのか?」
(むっ?)
「ひかり、おかーさんが待てって言ってるぞ」
「おかーさん、おーちゃんに会いに行っちゃだめ?」

 ひかりはエレノアをじっと見つめた。
 幼い娘相応の、おねだりする可愛らしい視線でエレノアを見つめた。

(ぐっ……)

 ひかりのおねだりを一蹴できないエレノアである。
 こいつ、おれの事を親ばか親ばかいいながら、自分がおれ以上の親ばかだからな。
 ひかりからおねだりされたら――。

(そ、そうだな。過去のオリビアがどのような人物なのか、みておくのもいいかもしれんな)

 ――断れないに決まってる。
 なんか照れ隠しでお為ごかしを口にするのはもう愛嬌って感じだ。

 さて、それじゃ決まった。
 ひかりの為にオリビアに会いに行こう。
 エレノアの件はその後だ。

「……で、オリビアは?」

 行く事を前提に話を振った。

「ごめんなさい、知らないです」
『あたしも』
(われはこの時代にもオリビアがいると今知ったのでな)

 知ってそうな人間、この時代と繋がってる三人は一斉に知らないと答えた。
 同じ魔剣だけどひかりはもちろんしらない、イオはこの時代に生まれてもいないからもちろん知らない。

 と、思っていたのだが。

「わたし、知ってるかも知れません」

 予想に反して、イオはそんな事を言い出した。

「知ってるかも知れないってどういうことなんだ?」
「前にギルドの依頼を受けたことがあるんです、他のドラゴンを調査して、レッドドラゴンになる恐れのあるものがいるかどうかって」

(かなりの大仕事だぞそれは。ドラゴンからすれば『お前ちゃんとケジメつけるんだろうな』って聞かれるようなものだからな)
「だからイオに話が来たんだろ。今のイオはギルド屈指の冒険者、エースだからな」
「そんな……」

 イオは恥ずかしそうにうつむいた。

「それで、オリビアさんの事も色々調べられました。オリビアさん、レッドドラゴンに変わる前はエデッサと言うところに生涯住んでいたようです」
(これはすごい情報だな)
「ああ。助かったよイオ」
「はい。あの……カケルさん……」

 イオはもじもじして、物欲しげに上目遣いでおれを見つめた。
 すぐに何を求めてるのか理解して、イオを抱き寄せてキスをした。
 求めたご褒美(、、、)をゲットしたイオはうっとりした様子で体を預けてきた。

 人間の方のタニアはハッと息を飲んだ、こっちも羨ましげだ。
 一方で立て札の前の村民は「なんだこいつらは」って軽く敵意の混じった目でみてきた。無視だ。

「じゃあエデッサに向かって出発だ。エデッサってどこにあるんだ?」
「ごめんなさい、そこまでは」

 イオは申し訳なさそうにいった。

「タニアは?」
「ごめんなさい、聞いたことありません……」
「エレノアは」
(知らんな)
「ひかりも……まあ知らないよな」

 さっきのイオの件もあって、一応ひかりにも聞いてみたが、ひかりもぷるぷる首をふった。

「近くまでいったらわかるよ。おーちゃんといつも一緒にいたから」
「そうか、こまったな」
「――っ! ちょっと待ってください」

 と、タニアは走って行って、村民達に聞いて回った。
 しばらくして、落胆した様子で戻ってきて。

「だれも知りませんでした……」

 といって、ものすごく肩を落とした。
 イオみたいにおれの役にたっておねだりしたかったんだろうな。
 落ち込みすぎて可哀想に見えてきた。後で何かあったら理由をつけてキスしてやろう。

 それはいいんだけど。
 どうするか。

(兵士になればいいのではないか? ロドトスはオリビアを討伐するのだ、兵士の募集について行けばそのうち会えるだろう。それか途中で情報を得られるだろうさ)
「それもそうだな」

 結局、兵士の募集に応じる事になった。

     ☆

 村から移動して、ファーラーという街にやってきた。
 閑静な農村とちがって、こっちはそこそこ賑わってる街らしい。
 タニアに話を聞くと、ここいらじゃ一番大きい街で、村民が出稼ぎにくることも少なくない。

 兵士募集の集合場所に行った。
 屈強な男達、杖をもってる魔道士達。
 見るからに「戦えそうな人間」があっちこっちにいた。

 兵士の中に紛れ込ませるためと、いやらしい目で見られないために、迷彩オーラでイオ、タニア、ひかりの三人を普通の男に見える様にした。
 エレノアと同等以上の力でなければ見破られない迷彩オーラ、これを纏わせとけば平気だ。

「あとはオリビアにやられない様にするだけだ。討伐しにいくんだ、一戦は免れないだろうな」
(大丈夫だろうさ、レッドドラゴンになったヤツをも倒せたのだ)
「そうだな」

 まわりをみた。
 兵士の募集にいろんな人間が集まってきてるが……大したヤツはいなさそうだ。

「こんなのをいくら集めてもオリビアにかなわないんじゃないのか?」
(捨て石にするつもりなんだろうさ)
「お前がか? それともロドトスか?」

 どっちがそう思うのが気になった。

(さあな)

 エレノアはごまかした。
 まあ、どっちでもいい。

 さて、いつまでここにいればいいのか――。

「ひかり?」

 ひかりが一人の男をじっと見つめている事に気づいた。
 若い男、ぼんやりした顔の、あまり記憶に残らないようなどこにでもいる男。
 優男ではある……まさかひかりっ。

 娘はやらんぞ――なんてセリフが一瞬頭にうかんでしまったおれ。
 ――が。

「おーちゃん」
「え?」

 ひかりは走って行って、男に抱きついた。

「うん、やっぱりおーちゃんだ」
「あれ? あなた……人間じゃない?」

 男が訝しげにつぶやく声は、男じゃなくて、あきらかに女の声だった。

 まさかこいつ……オリビアなのか?
 しかしなんで? それにどうやって?

(くくく、ひかりに一本取られたな)

 おれが不思議がってる横でエレノアが楽しげに言った。
 とりあえずデコピンしといた。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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