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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

エレノア編

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202.次の標的

「ごめんなさいカケルさん! 大丈夫ですか!」

 イオが慌てて謝ってきた。

「気にするな、ただの事故だし、割り込んだのはこっちだ。それよりもこれはそういうことだ?」

 おれは地面に転がってるヘビの死体を見下ろしながら聞いた。
 倒す過程で大量に分裂されたことで、辺り一帯がヘビの死体であふれかえってる。

「わからないです、起きたら急に襲ってきて」
「そうか」
「でも、こんなに分裂するモンスターだったなんて……カケルさんが帰ってきてよかった。わたし一人じゃどうしようもなかった」
「そうでもない、お前一人でも楽勝だった」
「そんなことないですよ」
「いけるさ」
「はい……」

 イオは嬉しそうに、それでいて恥ずかしそうにうつむいた。
 多分慰めに取られたけど、今はそれでいい。
 機会があったらもう一回やらせれば分かる話だ。

 それよりも、めんどいなこのヘビの死体。

「みじん切りにするか」
「あっ、それなら任せてください」
「おう、任せる」

 イオがやる気になってたから、彼女に任せた。
 帽子をかぶりなおして、意気込んで魔法の杖を構える。

 瞬間、魔力の高まりを感じた。

(ほう?)

 エレノアも反応するほどの、巨大な魔力の流れだ。
 立ちこめる魔法の光がイオを包み込んで、魔道士の服が無風の中なびく。

 その魔力は杖の先端に集中していき、一つの小さな玉が生まれた。
 ピンポン球程度の、子供のひかりの手にも収まる程度のサイズ。
 が、それはバチバチと、雷を纏っていた。

「それは?」
「敵がいるときは飛ばすんですけど、こうします」

 イオは魔法の杖を動かした。雷の玉は杖の先端にまるでくっついたまま動いた。
 玉はヘビの死体にあたって……音もなく削りとった。

 まるで強力な洗剤が汚れを拭き取っていくかのように、雷の玉が死体を削って、一瞬で灰にした。

「すごいなそれ。普段は飛ばすっていったか」
「はい! 圧縮した雷の玉で触れたものを塵に変えていくんです。アグネとジュリアとの会話でヒントをもらって、ちょっと前に完成しました」
「へえ、やるじゃないか」
「そんな事ないですよ……」

 イオはテレテレしながら、雷の玉で死体掃除をしていった。
 玉が触れたものは例外なく塵に変えられ、イオの魔力の高さを静かに主張していた。
 Aランクの冒険者、大魔道士、百雷のイオ。
 出会った頃に比べるとだいぶ成長したなあ、とおもった。

 ふと、人間の方のタニアが絶句しているのが見えた。

「どうしたタニア」
「すごい……魔法使いさんだったんですね。わたしもあんな風になりたいな……」
『なれるよー』
「え? な、なれるかな」
『うん! あなたはあたしだからね、すくなくこんな風にはなれるよ』

 幽霊タニアはハイテンションにそう言って、タニアの家に取り憑いた。
 彼女が憑いた家は途端に違う雰囲気になって、直後、空に向かって氷の矢を撃ちまくった。

 まるで要塞が敵を迎撃するかのように矢を撃ちまくった。
 タニアだけが持つ特殊能力だ。おそらくは長年あの屋敷の地縛霊だったことで建物に取り憑いて要塞化する能力をもった。
 おれは攻撃的だから、タニアのこの能力はあまり活かせずにいる。

 ひとしきり撃った後、タニアは家から離れて元にもどった。

『こんな風にね』
「すごい……あなたもすごい人だったんだ……」
『あたしはあなただよ。だからあなたもこうなれる、大丈夫』
「そう、かな……」
「じー」

 いつの間にか人間の姿に戻ったひかりが、タニアの前に立って、彼女をじっと見あげた。

「な、なに?」
「おねえちゃん、おとーさんのおんなさんになった?」
「え?」

 ひかりのストレートな質問に、タニアの顔は一瞬で真っ赤になった。

「そうなんだね!」
「そ、それは……」

 タニアはちらっとおれをみて、おずおずとうなずいて、そのまま恥ずかしそうにうつむいた。

「それなら大丈夫だよ。おとーさんのおんなさんは『いーおんな』になるってみんないってるから」
「そ、そうなの」
「うん! みんなそうだよ。ねっ、おかーさん」
(われは元からすごいがな)
「でもデルフィナおねえちゃん言ってたよ、おかーさん丸くなったって」
(んな――)

 絶句するエレノア。

「ははは、流石デルフィナ。体験した人間だからこそ感じる何かがあったんだろうな」
(……ひかり、今度からあやつはデルフィナおばちゃんと呼んでやれ)
「やめんか」

 大人げないエレノアにデコピンした。
 そんな会話をしてるうちに、イオはヘビの死体を綺麗さっぱり掃除したのだった。

     ☆

 おれは女達と一緒に村に戻った。
 例の男女は失敗したが、「エレノアを消す」という言葉が気になった。

 村に戻って、あのアカンサという占いババアにあって、エレノアの事も見てもらうか、エレノアの事を聞こうとおもった。

「ねえねえおとーさん、なんか騒がしいね」
「村民が一箇所に集まってるっぽいな。また占いか?」
「違います、あそこはなんかお触れが出たときに札を立てる場所です」
「お触れ?」
「はい」

 一応はこの村の民のタニアが言った。
 おれ達は近づいていき、タニアが言ったように、大量の村民が集まってる立て札の所にやってきた。
 村民達はそれを見て、口々に何かいっていた。

 タニアはおれをちらっと見て、意気込んで走って行った。
 札をじっと見つめている中年の女に話しかけた。

「あの、何かあったんですか」
「タニアちゃんかい。ロドトス様がねえ、また兵を集めるってさ」
「兵を? ロドトス様天下を統一してるのに?」
「今度は人間相手じゃないんだって」
「なにと戦うんですか」
「えっとなんだっけ……そうそう」

 中年女は立て札をもう一度見て、言った。

「竜王、オリビアの討伐。だってさ」

「――っ!」

 竜王オリビア?
 竜……オリビア……。
 それってまさか。

「おーちゃんのこと?」

 ひかりのつぶやきに、おれは眉をしかめたのだった。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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