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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

エレノア編

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200.二人のタニア

「上機嫌だな」
(旧友とあったような気分だよ)
「こういうのとだいぶあってないのか?」
(うむ。気が付いたらいなくなっていたなあ。われと、使役した誰かで根絶やしにしたのだろう)
「そうなのか」
(これでもわれの天敵だよ。今回は一匹だったが、これが十匹、いや百匹まとめて現われた時の事を想像するがいい)
「骨がおれるな」

 想像して、げんなりした。
 一匹で三桁まで増殖するのだから。

「……おまえは別に嫌がってないみたいだな」
(われの天敵ではあるが、分裂はわれ相手にしか発動しないからな)
「ってことは」
(これ一匹とイオだと?)
「十匹までやれそうだな」

 白い蛇とイオの力を評価してみた。魔力がグングン成長して、度胸も経験も積んだ今のイオなら、十匹までは普通に倒せる。
 そしてエレノアの言い方だと、彼女以外では分裂はしない。

「他人に丸投げすればいいのか」
(われの相手に特化しすぎた結果だな。それに)
「それに?」
(今は貴様がいる)
「む」

 不意打ちを食らった気がした。

(貴様となら、十匹(、、)までやれそうだ)

 ずいぶん内容が濃い十匹だな、とおもった。
 エレノアをおさめると、タニアがものすごくびっくりしてこっちを見てる事にきづいた。

「どうしたタニア」
「……」
「タニア?」

 返事がない。
 完全にフリーズしてるけど、どうしたんだ?
 一回強めに呼んでみよう。

「タニア!」
「――はっ」
「どうしたんだ一体」
「あ、あの……カケルさん……じゃなくて、あの」
「うん?」
「ロドトス様……なのですか?」
「……ああ」

 エレノアをみた。
 ロドトスと戦った直後からずっと迷彩オーラで隠してきたけど、さっきの戦いに夢中になりすぎて、それがとけたみたいだ。

 たしかにオーラを纏ってない、これなら誰にも見える。
 そして、この時代では。

「ロドトス様の神剣……昔遠くからみたことがあるけど、そっくりです」
「なんだ、お前神剣って名乗ってたのか」
(名乗ってはいない、覇道の途中で勝手についたのだ)
「似合わねえー」
(くく、われもそう思う)

 タニアをみる、彼女はものすごく怯えてる――というか恐縮してる。
 まあ、このタイミングのロドトスっていえば世界を統一した覇王だからな。
 そいつが目の前に現われれば、村娘が気後れするのは当然。

 さて、どうするかな。

(カケル)

 タニア……幽霊メイドの方のタニアが声をかけてきた。
 エレノアの中にいる幽霊で普段は声とか聞こえないが、こっちに呼びかける事も出来る。

「なんだ?」
(あたしに任せてくれないかな)
「説得するのか?」
(説明もついでにしちゃう)
「……わかった、任せる」

 エレノアにそっと触れて、まずはタニアを出してやった。
 半透明のメイド幽霊が出てきて、今のタニアの前に立った。
 このままじゃ見えないから、力を注いで、見える様にしてやった。
 すると半透明の幽霊なのはかわらないが、普通の人間でも見えるようになった。
 それをみたタニアはのけぞって尻餅をついた。

「きゃあ!」
『は・じ・め・ま・し・て。タニア・チチアキスだよ』
「え、名前が一緒……顔もわたしと同じ……」
「タニア、あとよろしくな」
『うん、まかせてよ』

 尻餅をついたタニアを起こして、この場は一旦二人っきりにしてやった。

 おれはエレノアと一緒に、神聖なる力の流れを辿ってマラトンの泉にむかって、後始末が必要かとみてくる事にした。

     ☆

 その場に残されたメイド幽霊と村娘。
 片方はニコニコしてて、もう片方は困惑しきっている。

 見た目はまったく同じである、にもかかわらず、見た者の印象はまるで正反対だ。
 メイド幽霊の方はニコニコしてて明るく、亡者だというのに一緒にいて楽しくなりそうな雰囲気を纏っている。
 村娘の方はよく言えば控えめ、悪く言えばおどおどしている。生者ではあるが幽霊とは与えるイメージが正反対だ。

 そんな二人が向き合ったまま、しばしの時が流れた。

「どうして、顔、一緒なんですか? それに名前も」
『あたしにもよく分からないんだけど、あたしってあなたみたいなんだ』
「え? ど、どういう事ですか」
『あたし、未来から来たんだ。ていうかカケルにつれて来てもらったんだけどね』
「み、未来?」
『未来であたしはある屋敷で怨霊になってたけど、カケルに助けてもらったんだ。多分長い間ずっと怨霊になってて苦しんでたと思うの』
「長い間怨霊……あっ」

 村娘はハッとした。何かを思い出したかのように、ぱっときた道を振り向いた。

『そそ、アカンサって人のうらない。アレって多分当たってるんだよ』
「吉が一で凶が九……」
『で、カケルの言うこともさ。やったことだから本当なんだよ。あたし、カケルに助けられてすっごい幸せ。吉が十だよ』
「そういう……ことだったんだ。でも、未来からって」

 納得するところもあったけど、根本的に未来から来た、という事が理解・納得出来ない様子だ。

『あたしはさ、幽霊だからかもしれないけど、もう分かってるんだ』
「な、なにを」
『あなたとあたしは同じ人だってこと』
「それは……」
『えい!』

 メイド幽霊は村娘に抱きついた。
 主に召喚してもらった形で、彼女はものに触れるようになっている。
 それで抱きついた。

 瞬間、二人の体が光った。
 だきついて――ふれあった瞬間光り出した。

 ドクン。

 重なった鼓動が――片方にはすでにないはずの鼓動が互いに重なって、耳元で響いた。

『はは、わかるわかる。そっちも分かったって今は分かる』
「うん……すごく分かる。あなたはわたし」
『あたしはあなた』

 抱擁をやめて、一歩分の距離を取って、手を取り合う二人。

『あえてよかった』
「わたしも。いますごく不思議な気分。それに……」
『ちょっと幸せ?』

 にこりと、ちょっとだけイタズラっぽく微笑むメイド幽霊。
 村娘はしずしずと頷く。

 時空を超えて出会った同じ魂、心が通じ合っていた。

『じゃあ、もっと幸せになるのを教えたげる』
「もっと幸せ?」

 食いつく村娘。
 最初の頃の陰鬱とした空気は消えて、彼女の目に、期待の光が流れる様になっていた。

『うん! 世界で一番幸せだよ』

     ☆

 マラトンの泉にもう一匹白い蛇がいた。
 相変わらず斬ると分裂する面倒臭いヤツで、同じように手間取ったが、分裂しきったあと皆殺しをして退治した。

 蛇が死んだ瞬間、泉はただの泉になった。
 近づいた瞬間エレノアがやたら口数が増えるくらいの濃い神聖な力は、その瞬間跡形もなく消え去った。
 まわりも一回りして、同質の力はない事を確認してから、元の場所にもどった。

 二人のタニアがそこにいた。
 生きてるタニアはなんだか恥ずかしそうにうつむいて、メイド幽霊の方はその横に浮かんで、手をつないでニコニコしてる。

「話はおわったのか?」
『うん! あたしが分かってるところまで納得してもらえた。だってこうだもん』

 幽霊タニアが手をあげた。
 二人がつないでる手は、ぼんやりと光っている様に見えた。

『あたしが同じ人間なのはお互いわかるからね』
「なるほど、同じ魂だからってことか」
『うん!』
「……」

「で、なんでさっきからうつむいてしゃべらないんだ?」
『恥ずかしがってるんだよ。自分から言えないからあたしが代わりにいうね。というかあたしも自分の事なんだけど』

 幽霊タニアがそういって、おれをまっすぐ見つめて、言った。

『カケル、エッチして』
「ああ」
「そ、即答……」
「いやなのか?」
「わ、わたしでいいの……?」
「もちろんだ」

 そういって近づき、人間タニアを抱き寄せてまずはキスをしようとした――が。
 幽霊タニアが間に割り込んできて、それをとめた。

『まってカケル』
「なんだ?」
『あたしも』

 ニコニコしてた幽霊タニアが、恥じらうようにして、言った。

『あたしも一緒に』
「わ、わたしたち一緒に、あの、その……」
『してほしいの』

 恥じらって言えない人間タニア、積極的な幽霊タニア。
 タイプと反応は違うが、二人とも同じ気持ちのようだ。

 そんな二人をみる、もちろん問題などどこにもない。

 人間の方をお姫様だっこして、幽霊の手を引いて。
 魔法コテージをだして、二人を中に連れ込んで、ベッドの上に寝かせた。

 人間と幽霊、同じ顔をした、同じ魂の二人。
 初めての二人をかわるがわる、一晩中可愛がってあげた。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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