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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

エレノア編

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199.限界を超える

 タニアの先導で山をどんどん登っていく。
 ちゃんとした山道だけじゃない、獣道っぽいところもつかって、まるで迷路を進むかのような歩き方だった。

「おい、本当にマラトンの泉はこっちなのか?」
「本当に道をしってるの?」

 若い男女の二人は不満を漏らした。
 いらいらしてて、それをタニアにぶつけている。

「ほ、本当です。こっちであってます」
「それならいいんだけど」

 タニアに言われて、二人は渋々引き下がった。
 その直後にまた正規の山道を外れて獣道に入ったから、二人はあきらかにむっとなった。

(まあ、ただの人間ではそれが関の山だろう)
「気のせいじゃなかったか」
(確信しておいてその言い方はないな)

 エレノアはクスクスと笑ってから、真剣なトーンで続けた。

(間違いなく近づいてる。われの力と正反対の――神聖なる力が近くなるのを感じる)
「お前を消滅させる方法ってのは本当だったのか」
(すくなくとも方向性はあっている)

 たしかに、っておれは思った。
 エレノアと同じものをおれも感じている。
 タニアが先導して向かう先、多分マラトンの泉とやらがある方角から清らかな力を感じ取る。
 エレノアの力、おれが使いこなしてる漆黒のオーラとは対極にある力だ。

 それが徐々に強く、いや濃くなってくのを感じる。
 すこし気を引き締めた、この力が実際にあるのなら――。

「おい、あれ!」
「オピス様、神の使いオピス様よ!」

 二人組が歓喜の声を上げた。
 みると、道の先に巨大なヘビがいた。

 たいまつがあってもほとんど道が見えない様な深夜の山の中で、全身が白く、あたりを照らし出す淡い光を放っている白い蛇。
 神聖な力は、そいつから感じたものだ。

「ね、ねえ。例のアレを」
「神の使いオピスよ、われらに――」

 ――っ!

 体が動いた、地を蹴って突っ込んで、タニアをかっさらって横にとんだ。
 生臭い風が背後を通り過ぎる。

 前兆なく白い蛇――オピスが放ってきた攻撃からタニアを救出したあと振り向くと、二人組は首を刎ねられていた。
 最期まで自分に何が起きたのか理解できなくて、二人の体が崩れ落ちる。

 白い蛇は更に襲ってきた。
 おれ達二人をまとめて飲み込めるほど巨大な口を開いてかみついてきた。

「きゃああああ!」

 タニアをだいたまま飛び下がる、距離をとった。

「に、ににに逃げましょうカケルさん」
「素直に逃がしてくれそうにないみたいだ」
「あっ……追ってくる」
「あの調子だと逃げ帰ってもずっと追いかけてきそうだな」

 白い蛇からつよい敵意を感じる。
 地平の底までも追いかける、そんな執念が伴った敵意だ。

「そんな……」
「安心しろ。ヤツを倒す」
「えっ? でもあれ――」
「ここから動くな、おれが何とかしてやる」

 目をまっすぐ見つめていうと、タニアはおずおずと頷いた。
 彼女を離して、エレノアを抜いて一歩進み出る。

「やるぞ」
(骨がおれるぞ、覚悟するがいい)

 オピスのこと、エレノアはどうやら知っている様な口ぶりだったが、詳しく聞いてる余裕はなかった。
 白い蛇はものすごい勢いで突っ込んできた。

 今度は尻尾を鞭のようにしならせて、振ってくる。

「はあああ!」

 エレノアを振って、ヘビを両断した。
 鱗がやたら硬い、手がちょっとしびれるくらい硬かった。

 真っ二つにされて、地面に転がる白い蛇。

「見かけ倒しか」
(ここからだ)
「むっ?」

 白い蛇が動き出した。
 両断した切断面がもにょもにょとうごめき、それぞれ再生しだした。
 しばらくすると、まったく同じヘビが二匹になった。

「再生するのか?」
(奴らの特性、われら魔剣に倒されても、能力そのままに分裂するのだ)
「能力そのまま?」
(うむ、斬った分のダメージは負っているが、その能力のまま分裂してもう一体産み出される)

 説明するエレノア、やっぱり知ってたみたいだ。

「やたら詳しいな」
(ここにあるのは知らなかったが、存在自体はよく知っている)
「後で洗いざらい話してもらうぞ」
(ここを切り抜けられればな)

 ヘビが二匹同時に突っ込んできた。
 エレノアを振って、二匹とも真っ二つにする。
 すると二匹が四匹になった。

 見た目がまったく同じ、動きも、内包する力もまったく同じ。
 一匹の蛇がまったく同じ力をもった四匹の蛇になった。

「やっかいだな」
(貴様の天敵だな)
「お前の、だろ。体力自体は減ってるんだな?」
(斬った分だけな)
「なら!」

 四匹になって、上下左右と襲いかかってくる蛇をめった斬りにした。
 一匹あたり五発、エレノアでの斬撃を叩き込んで細切れにする。
 普通のモンスターならこれで細切れになって絶命してるところだが、蛇はパーツごとに再生して、30匹近くになった。

 深夜の山の埋め尽くすほどの白い蛇、体が放つ白い光は周辺をまるで昼間のように照らし出す。
 面白い、面白くなってきたぞ。
 久しぶりに面白くなってきた。
 エレノアを握って、オーラを体に纏って。
 こっちから、白い蛇に向かって突っ込んでいった。

「うおおおおお!」

 斬って、分裂させて。
 斬って、分裂させて。
 斬って斬って斬って、分裂させまくって。

 あっという間に蛇の数が三桁を超えた。
 そいつらの攻撃をうけて、かわして、反撃する。

 木々がなぎ倒され、山の地形が変わる程の戦い。

 その中、一匹がタニアにむかって突っ込んでいった。
 タニアが「ひぃ」って腰を抜かした。

「だれがそっちに行っていいっていった」

 そいつのしっぽを掴んで引き留める、とまったところにエレノアでめった斬りにした。
 メチャクチャに斬りつけて、原型など留めていないくらいの挽肉にしてやった。

 そいつは、再生しなかった。

(体力の限界を超えたのだ)
「生命力がつきれば再生はしないのか」

 無限に再生するものかと思ってたから、ちょっと拍子抜けした。
 もはや「うじゃうじゃ」っていっていいくらいの白ヘビの大群と向き直る。
 壮観だ、かるく野球場一つ埋まるくらいの数になってる。

 そいつらにむかって、エレノアと共に突っ込んでいく。l
 分裂の限界に達した蛇どもを、一匹また一匹と殺して回った。

 一匹から生まれた蛇の大群を殲滅したころには、すっかり夜が明けていた。
プロローグがあるので、これでが実質第200話です。
ここまで来れたのは皆様のおかげです、本当にありがとうございます!
このまま300回、400回と目指していきます。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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