挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

くじ引きの異世界編

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

2/288

1.姫との出会い

「そのスキルでいいんですね」
「ああ」

 おれは首を縦に振った。
 数百回抽選器を回した結果、そしてその内容。
 もう、これにする以外の選択肢なんてあり得なかった。

「わかりました。それじゃあ、今から転移します。えっと、最後にもう一つだけ説明を」
「なに?」
「こっちの世界に戻りたいと言う時は強く念じればいつでも戻れます、ただし一度戻ったら二度とあっちにはいけませんので、ご注意を」
「わかった」
「では」

 スタッフが言うと、おれの足元から光が出て、魔法陣が出た。
 さっきの男、一等賞を当てた男の時と同じ光景だ。
 光がおれを包み、目の前が真っ白になった。

     ☆

 視界が戻ると、そこは見知らぬ野外だった。
 木漏れ日が射しこむような森の中。

「えっと……ここはもう異世界なのか?」

 おれはまわりを見た。いきなり野外にいることは確かにビックリしたけど、異世界か? って言われると全然わからない。
 昔遠足とかで行った、観光地のピクニックコースとまるで変わらないように見えるからだ。

「そうだ、そういえばスキル。全能力777倍だっけ」

 何が上がってるんだろうと思った。全能力って言うくらいだから、全部上がってるはずなんだが。
 とりあえず試すことにした。
 しゃがんで、ぐぐぐ、って足に力を溜めてジャンプした。

「うわっ!」

 思わず声が出た。軽くジャンプしたのに、まるで何かに打ち上げられるかのように飛び上がったからだ。
 頭のてっぺんが木にぶつかって、貫いて、一気に飛び上がった。
 地面が遠い、少なく見積もっても二十メートルは飛んでる。

「本当に力が――むっ」

 遠くにある、あるものに気づいた。(後から実は視力も良くなってる事に気づく)
 森の外に馬車が見えた。
 馬車のまわりを騎士のような男達が守っていて、それがまったく違う格好をした集団に襲われてる。

 守る側は三人いて、二人がもう倒れている。
 地面に倒れていてわかりつらいけど、体の下から血が広がってるのが見える。
 襲う側はざっと数えても十人以上はいる。

「襲われてるのか、くっ」

 着地したおれは、襲撃されてる馬車がある方角へ駆け出した。
 足も速くなっている。風をきる感触は自転車を越える、バイクに乗って走った時くらい速いものだ。
 森を一気にとびだして、襲撃される馬車の所に駆けつけた。

「もう観念しろ、こんな所だ、だれも助けに来やしねえよ」

 襲撃側の一人が言った。
 はい決定。言い方も内容も、悪党丸出しの台詞だ。
 おれはためらわず、助けることにした。

(って……どうすればいいんだ?)

 いざやろうとして、気づく。
 何をどうすればいいのかって。
 能力は上がってるけど、それだけ。ぶっちゃけ子供の頃野球をちょっとやってたけど、格闘技の経験はない。
 人を攻撃するための方法なんてほとんど知らないんだ。

(ええい、とにかくあたって砕けろだ!)

 テレビの中で見た、ホームに突入する助っ人選手の姿を思い出して、悪投丸出しの台詞を話した男にタックルした。

「なんだおまえぇぇぇぇぇぇ」

 男の声がドップラー効果のように聞こえた。
 男はと言えば、そのまますっ飛んでいった。
 ビックリするくらいのすっ飛び方だ。おれにタックルされたそいつはギャグ漫画の様にすっ飛んでいった。
 ギャグ漫画じゃないのは、数十メートル吹っ飛ばされたそいつが着地して、数回バウンドして、びくりとも動かなくなったところ。

「な、なんだてめえは」
「貴殿は……一体」

 襲撃側も襲撃される側もビックリしていた。
 まあ、こんな風にいきなり出てこられたらビックリもするだろうな。
 でもって、やっぱり助けて良かったって思う。

 襲ってる側はやっぱり口汚くて盗賊かなんかっぽいし、守ってる側は紋章付きの鎧を着てて、喋り方からして騎士とかそういう感じだ。
 うん、これは助けて正解だ。
 だからおれは盗賊らの方をむいた。

「な、なんだてめえは……」

 怯える盗賊達を、とりあえず全員……ちょっと手加減した……タックルで吹っ飛ばした。

「たすかりました」

 騎士のリーダーらしき男が剣を納めて、おれに礼を言った。

「わたしの名はフォティス」
「あぁ……えっと、おれは結城カケル。漢字だと難しいから、カケルでいい」
「漢字……ですか?」
「あ、ああ。いやなんでもない。普通にカケルでいい」

 フォティスの反応で、この世界に漢字がないんだろうとわかった。
 いきなり普通に会話出来てたから普通に漢字っていっちゃったよ。

「そうですか。カケル殿のご助力、感謝いたします。あのままではどうなっていたことか」

 フォティスがしみじみ言った。
 今立っているのはおれとフォティスの二人だ。
 おれが現われる前、フォティスの仲間っぽいのが既に二人倒されてて、敵は十人以上残ってた。
 倒れた騎士は今起き上がって手当てしてるけど、今でもまともには戦えない様子。
 あのままいけば、確かに「どうなってたことか」だろうな。

「フォティス」

 馬車の中から声がした。
 綺麗な、若い女性の声だ。

「はっ」
「幌を」
「御意」

 フォティスが大げさに腰を折って、それから馬車の幌をあげた。
 中から一人のじょせいが現われた。

「うわ……」

 思わず声が出た、それくらい、出てきた女性が綺麗だったから。
 純白のドレスを着て、輝くティアラをつけている。
 金色のロングヘアーと、ツンと尖った耳。
 そして、気品あふれる振る舞い。
 彼女はフォティスの手を借りて、馬車を降りて、おれの前に立った。

「わたくしの名はヘレネー・テレシア・メルクーリ。メルクーリ王国の第三王女です」
「あ、ああ……おれはカケル……ってさっきも言ったか」

 あまりの美しさに動転してしまって、きっと馬車の中で聞いてたはずなのに、おれはもう一度名乗ってしまった。

「ありがとうございます、カケル様」

 ヘレネー姫は真顔で礼をいった。

「いや、うんと、うん、た、大した事はしてないから」

 おれはしどろもどろになった。
 今までで見てきた女性のなかで、ヘレネーは間違いなく一番綺麗だった。
 おれは、ヘレネーに見とれた。

「本来なら王宮へカケル様をお招きして、厚くお礼を申し上げたいところなのですが。わたくしは前線へ慰問に赴く途中です」
「う、うん……」
「ですが、このお礼は必ずいたします」

 ヘレネーはすぅと手を出した。
 手のひらに持っているものを、おれに渡す。
 うけとって、それを見た。
 立派な紋章が描かれている扇子だ。
 手に持った途端、ぬくもりと、いい香りがしてきた。

「王城へおいでになった際は是非お立ち寄り下さい」
「それを城兵に見せればわかるよういっておきますので」

 フォティスが補足説明した。

「あ、ああ……わかった」

 おれが見とれて、まともな反応が出来ていないうちに、ヘレネーは再び馬車にのって、フォティスと、なんとか動けるようになった騎士二人と一緒に立ち去った。
 残されたおれはその後もしばしポケーとしていた。

「綺麗な人だったなあ……」

 とつぶやくんだけど、過去形にするにはまだはやいと。彼女が完全にいなくなってから、ようやく動き始めた頭で理解したのだった。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ