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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

エレノア編

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193.素敵な冒険

 始まりは商店街でのくじ引きだった。
 大当たりを引いて、異世界にいける権利をもらった。
 更にもう一回大当たりを、全部の能力が777倍になって、この世界にやってきた。

 いろんな出来事があって、事件も起きたりして。
 それを解決していった結果、この世界でもくじを引くことができて、さらにいろんなスキルを手に入れた。

 その中でも、大きな事件を解決したり、達成したりする特別なくじを引ける。
 くじの内容は普段のくじ引きとは更に違う効果の大きいものばかりだから、引けるのはいつも楽しみだったりする。

 そうして、アイギナの事件を解決したおれは、それでゲットした黄金色のくじ引き券をもって、エレノアとひかりを連れてくじ引き所にやってきた。

 魔剣であるエレノアは、何故かここでだけ人間の姿になれる。
 ここでだけ、娘のひかりとふれあうことができるのだ。

「おかーさんおかーさん。みてみて、ひかり、ちょっとだけ背が伸びたんだよ」
「ほう、どれどれ……ふむ、たしかに少し伸びているかもしれんな」
「でしょー。このままならすぐにおかーさん抜いちゃうね」
「うむ、見事我を抜いてみろ」

 くじ引き所の中、人間になった母娘が和気藹々と喋っている。
 天真爛漫なひかりはいつものことだが、エレノアは娘を前にデレデレしっぱなしだ。
 これがあの全人類から恐れられている魔剣エレノアだなんてな。

「あの……何回もいうようですけど、ここに変な家族団らんを持ち込まないで下さい」

 エレノアたちを眺めているおれの背後から女が声をかけてきた。
 このくじ引き所のスタッフで、いつも世話になってる人だ。

 おれは振り向き、困り顔の彼女に聞き返した。

「変か? 今回は割と普通だろ」
「どこがですか、ほら――」

 そういい、エレノア達をさす。

「この成長の速度なら、百年くらいすればわれを抜いてるだろうな」
「わーい、じゃあもうすぐだね!」

「普通の母娘は百年スパンでの話はしません」
「はは」
「はい、ではくじを引きますか? 今日は特別くじがありますよ」
「やっぱりあるのか」
「はい。どこかの誰かさんが女王・王女制覇をやっちゃいましたので」
「そっちか」

 黄金色のくじ引き券を取り出して見つめる。
 アイギナの事件を解決したからって思ってたけど、微妙にちがったか。

「はい、じゃあ引きますか?」

 おれがくじ引き券眺めているうちに、スタッフがくじ引き機の用意をすませた。
 普段とちょっと違う、ゴージャスな感じのくじ引き機。

「エレノア、ひかり。くじ引くぞ」
「うむ、わかった」
「わーい。行こうおかーさん」

 ひかりはエレノアの手を引いて、その手を振りながらやってきた。
 団らんを持ち込むな、といいつつも、スタッフはくじ引き機の前にいつもの様に踏み台を用意した。

 こいつ、ツンデレの気があるんだよな。

 エレノアとひかりはその台に上って、丁度いい高さのくじ引き機に手をかけた。

「おとーさん、今日は何回?」
「一回だ」
「これの内容は?」

 エレノアがスタッフに聞く。
 ひかりにみせるデレデレ母親の顔とは違って、知的で年季の深さを感じさせる態度だ。

「全部大当たりです。普段では出ないとんでもないものばかりですよ」
「ふむ。内容は……いつもの如く秘密主義か」
「はい、すみません」
「まあ、引ければ分かる」

 エレノアはひかりと一緒くじ引き機を回した。

 がらがらがら……ポトッ。

 出てきたのは金色の玉、ガランガランガラン、とスタッフはハンドベルを鳴らした。

「おめでとうございます、大当たりです」
「何があたったんだ?」
「素敵な冒険ペアチケットです」
「素敵な冒険? 曖昧だな」
「ペアチケットなのはいかにもくじ引きらしいけどな」

 スタッフが持ってきたチケットみたいなのを受け取る。

「素敵な冒険か……」

 チケットを眺めて、おれはさてどうしようかと考えた。

     ☆

 くじ引き所から屋敷に戻って、街に出て冒険者ギルドに来た。
 ドアを開けて中に入る、冒険者が何人もいて、一斉にこっちに視線を向けて来た。

 尊敬やら畏怖やら、ライバル心剥き出しのヤツもいる。

 そういうのを無視して、目当ての人を探した。

「カケルさん!」

 見つける前に向こうから声をかけてきた。
 魔法の杖をもって、魔女のとんがり帽子をかぶったいかにもな外見の魔法使い。

 イオ・アコス。
 出会った時は半人前だったが、今やSランクの冒険者として誰からも一目おかれている有名人だ。

「お久しぶりですカケルさん」
「ああ」
「お活躍聞きました」

 イオは声を抑えてささやいた。
 アイギナの件は積極的に関わったように見せてないから、彼女はこうしたのだ。

「今日はどうしたんですか?」
「誘いにきた」
「誘い……ですか?」
「フィオナの結婚式の時約束しただろ?」
「あっ……」

 イオはハットした、思い出したみたいだ。

 あの時、おれはイオに「お前も結婚式挙げたいか?」って聞いた。
 イオは結婚式は別によくて、おれとは冒険に出たいと答えた。
 どこか冒険に出るときに誘う――っていう約束をしてた。

「覚えててくれたんですか」
「約束したからな」
「カケルさん……」

 目を潤わせるイオ。
 くじ引きの「素敵な冒険ペアチケット」は、彼女を連れて行くことにした。

     ☆

 イオを連れて、屋敷に戻ってきた。
 庭に立ってひかりを呼びつけた。

「ひかり、魔剣になってくれ」
「うん!」

 ひかりは素直に魔剣の姿になった。
 エレノアとひかり、二振りの魔剣。

「ひかりちゃんもつれていくんですか?」

 イオが聞いてきた。
 おれはペアチケットを見せつつ、答える。

「ペアチケットで二人までだけど、エレノアとひかりはどうかなって」
「そうなんだ」
「さて、いくか」

 おれはペアチケットを使った。
 すると、チケットは光り出した。

 庭にあふれんばかりの光を放つペアチケット。
 同時に、頭の中に声が聞こえた。

 エレノアとも違う質の声。
 声は、使用者の名前を教えろっていってきた。

「結城カケル、それにイオ・アコスだ」

 答えると、光はおれとイオを包み込んだ。
 その光は更にまぶしさを増して、まわりがなにも見えなくなるくらいまぶしくなった。

     ☆

 次に気がつくと、見た事の無い場所にいた。
 まわりをみる、海が下に見える。
 何曜サスペンスのクライマックスに出てくるような、荒れ狂う海の崖の上な場所だ。

「カケルさん」

 イオはすぐそばにいた。

「はぐれなかったようだな」
「はい! エレノアさんもひかりちゃんもいるみたいです」
「お前の魔法の杖もな」

 ここはまでは狙い通り。
 多分「武器」なら人数に数えられないで持ってこれるだろうと思って、ひかりを魔剣にしてつれて来た。
 それは大当たりで、ひかりも一緒に連れてこれた。

 来れたのだが。

「ここはどこだ?」
「さあ」
「素敵な冒険ってふれこみだけど、今のところ素敵には見えないぞ」
「少し歩いてみましょう、何か分かるかも知れないです」
「そうだな――」
(おとーさん!)

 ひかりの警告が脳裏に響く。そして殺気が迫る。
 とっさにエレノアを抜いて迎撃する。

 ガキーン!
 金属音が轟き、衝撃波があたりをなぎ払う。
 イオは「キャッ!」と悲鳴を上げて、尻餅をついてしまった。

 いきなりなんだ――と思ったおれは襲ってきた人間に目を疑った。
 もっと正確にいうと、襲ってきた人間が持ってる武器に目を疑った。

「……エレノア?」

 若い男が持っている黒い大剣、それはおれが持っているものとまったく同じ。
 見た目だけじゃない、放つ存在感がエレノアそのものだった。

 間違いない、あっちのもエレノアだ。
 ……どういう事だ?

(ロドトス……)

 おれの疑問に答えたのはエレノアだった。

 ロドトス。
 それは何度も彼女の口から聞いた、かつての彼女を持っていた覇王の名前。

 そして覇王が持っているのも、紛れも無いエレノア。
 状況的に、可能性は一つしかない。

「過去、か」

 触れ込み通り素敵な冒険になりそうな、そんな気がした。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
+注意+
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