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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

アイギナ王国編

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186.聖剣と姫

 クシフォスを握ってみる。
 ドクン――。
 今までに比べるとかなり弱いが、確かな脈動があった。

 折檻されて、怯えている子供のような、そんな感じがした。
 これならセレーネに渡しても問題はないだろう。

(呆れてものもいえんわ)
「どうした」
(われに劣るとはいえ、曲がりなりにも魔剣の域にいるヤツをこんな風にしてしまうことだよ)
「今までやったヤツはいなかったのか?」
(いるものか)
「お前は? 過去にやってことはないのか?」
(今までわれを扱えた(、、、)人間はいなかったのだ)

 全部エレノアに操られてた、って意味かな。

(貴様といると飽きぬよ、次から次へと新しいものを見せてくれるのだからな)
「もう少ししたらまた何か見せてやるさ」
(うむ? ああ、限定くじか)

 頷く。
 大きい何かを成し遂げた時に決まって出てくる限定くじ引き券で引ける限定くじ。
 その時になんかあるだろう。

 エレノアから楽しみにしてるって感情が伝わってきた。
 おれも、少しだけ楽しみになった。

     ☆

 一旦ハニアに飛んでから、アンフィスに向かった。
 無数の足跡、行軍の跡を追いかけていくと、両軍が交戦してる地点に到着した。

「うん? 押されてるのか?」

 視力をエレノアに貸し出したままだから、自然と目の上に手でひさしをつくって遠くを見渡そうとした。

(双方撤退しているな。痛み分けというところだろう)
「そうか」

 おれはその場に立ち止まった。
 しばらくすると、引き返してきた王国軍の先頭がやってきて、おれの前で止まった。

「ショウ!」

 戻ってきたのはセレーネだった。
 みた感じ大して返り血も浴びてない、つかれてもいないみたいだ。
 それがきになって、聞いてみた。

「撤退が早かったな」
「うん、この人が――」

 セレーネは横にいる兵士をさした。
 一目で分かる、オーラで姿を変えてセレーネのそばに置いたネオラだ。

「――深追いはよくない、一旦引いた方がいいっていったから」
「怪我とかは?」
「ないよ」
「それであっさり引いたのか」
「だってあたしには判断出来ないから」

 セレーネはけろっと言った。
 判断出来ないから出来る人間の意見を聞く、腹が減ったからご飯を食べる、くらいのあたり前感が伝わってくる。

 おれはネオラをちらっと見た。

「鮮やかな引き際でした」

 言ってすぐに引いたって事か。

(素直だな)
「素直すぎて逆に怖くなるくらいだ」
「怖い?」

 セレーネはきょとんとした。
 本人は分かってないみたいだが、今はいい。

 それよりも――とクシフォスを取り出して、セレーネに差し出した。

「これ――鎮国の聖剣クシフォス」
「聖剣?」
(アイギナにとっては、という意味だ)
「なるほど」
「どうしたのこれ」
「取ってきた、お前がつかえ」
「うん、分かった」

 セレーネはあっさりクシフォスを受け取った。
 拍子抜けした、ああ……いまのセレーネはこうなのか。

(くく、この先が楽しみだ)

 楽しみって言うより、楽しんでるエレノアにデコピンをした。
 そうして改めてセレーネにいう。

「これからはずっとそいつを使え。国王がいる、鎮国? の聖剣をもった王女がいる。それで大義は完全にこっちのものだ」

 前もって考えておいた、セレーネがぐずったときに説得するためのいい訳だ。
 必要なくなったけど、一応言っておいた。

「そういうことか! うん、わかった! ありがとうショウ!」

 セレーネはクシフォスを握って、じっと見つめた。
 クシフォスの刀身が赤く脈動した。
 まわりの兵士達ネオラをのぞくが「おお」とざわめいた。

 兵士達もアイギナの人間だ、クシフォスが特別な存在なんだろう。

「うん、大丈夫、いじめないよ」
「クシフォスと会話したのか」
「いい子にしてるから、もういじめないで。って言ったきたんだ」
「それであっさりいじめないって返したのか……」

 おれはすこし考えて、セレーネに言った。

「セレーネ、わかってると思うけどクシフォスは今子供だ」
「うん」
「子供だから、言うことを聞かなかったらしつけろ」
「しつけるの?」

 セレーネはクシフォスとおれを交互に見比べた。
 違う二つの意見、どっちを聞き入れるか迷ってるって顔だ。

 しばらく迷ったが、やがて顔をあげておれをまっすぐ見て。

「わかった、ショウの言うとおりにするね」

 クシフォスの刀身が波打った。
 見るからに焦ってるって感じ。

「ショウって……やっぱりすごい人。クシフォスってあたしでも知ってるくらいすごい剣で、ものすごい封印で守られてるのに。あっさり取ってくるんだもん」

 一方でそのクシフォスを持ったセレーネは、ますますおれに熱い視線を向けるようになったのだった。

     ☆

 クシフォスを手に入れたセレーネにもう一度出撃を提案した。
 再出撃したセレーネはクシフォスを思う存分に振るった。

 ネオラがかき集めた敵兵のほとんどはクシフォスをみてぎょっとして、直後に斬り伏せられてしまう。

 セレーネ姫がクシフォスをもって現われた。
 その情報がたちまち敵軍に広まり、士気が瞬く間に目に見えて下がった。
 交戦から一時間も経たない内に総崩れになって、敗走をはじめる様になった。

(くく、残念だったな。あの娘が疲れる前に勝負がついて。クシフォスをもって貴様の動きをしたあの娘がみたかったなあ)

 軽口をいうエレノアにデコピンする。

 セレーネとクシフォス。
 おれが与えた力は予想外の楽勝を彼女にもたらしたのだった。

 そしてそれは、快進撃の始まりだった。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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