挿絵表示切替ボタン
▼配色







▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる
くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

アイギナ王国編

しおりの位置情報を変更しました
エラーが発生しました

ブックマークしました。

設定

更新通知 0/400

設定を保存しました
エラーが発生しました

カテゴリ

ブックマークへ

以下のブックマークを解除します。
よろしければ[解除]を押してください。

ブックマークを解除しました。

184/288

183.ハニアの戦い、二回戦

 何回目かの突撃の後、ハニアは陥落した。
 エレノアの一撃でぽっかり穴を開けられたハニアは要塞としての機能をなくして、ただの白兵戦になった。

 兵力の差はまだあったが、セレーネの突撃の勢いは完全にそれを上回った。
 穴の空いたハニアになだれ込んだ段階で向こうは完全に戦意を喪失して、総崩れの敗走状態になった。

 降伏した一部の兵士をのぞいて、他はハニアから撤退していった。
 それをセレーネは追撃をしかけようとした。

 突撃、突撃、とにかく突撃。
 まるでそれだけしかできないと言わんばかりに、セレーネは忠実にそれだけを実行しようとしていた。

「追うなセレーネ!」

 大声をだして彼女を呼び止めた。
 777倍の声、戦場の中でもよく通って、彼女の耳に届いた。

 セレーネはピタッ、と止まった。
 神輿をおりて、彼女の前に立つ。
 纏っていたオーラを外し、アイギナ王から自分の姿に戻る。

「よくやった、これまででいい」
「おわなくていいの?」
「ある程度は逃がして伝令役にさせる。みたまんまの事を、この部隊はアイギナ王が率いてるものだって伝えるためにな」
「うん、わかった」

 セレーネは素直に頷いた、ちょっと前とは正反対な素直さだ。

 彼女は剣をおさめた、ふう、と息を吐いた。
 肉体の疲労と、緊張の糸が切れたからか、セレーネはふらついた。

 倒れそうになった彼女をとっさに抱き留めた。

「ありがとうーーあっ」

 セレーネは慌てておれを押しのけた。
 一旦おれのうでの中から抜け出したが、結局はふらついてまた抱き留められてしまう。

「どうした」
「だって、ショウのそこは……あの人のものだから」
「うん?」

 あの人って誰だ?
 ……ああ、ヘレネーか。

 セレーネはおれをショウと呼ぶ。
 彼女の前に現われたときオーラで変装したからだ。
 その時ヘレネーを横に抱いて、魔剣を振るっていた。

 そうか、セレーネはそれに見とれてたっけ。

 おれは腕に力を込めた。

「よくやった」
「……うん」

 セレーネは頬をそめて、そっとうつむいた。
 そして遠慮がちに、おでこをおれの胸に当ててきた。

 かわいいな、もう少しねぎらってやろうか――と思ってたら。
 セレーネの体がふっ……と脱力した。
 糸の切れた人形のように崩れ落ちた。

 抱き留める、顔をのぞき込む。
 まぶたが落ちて、寝息を立てている。

「つかれたんだな……よくやった」

 ねぎらうのはまた今度だ。
 おれは彼女を抱いて、魔法コテージを取り出す。

 彼女を中で休ませた。
 外に出ると、一人の兵士が待っていた。
 男の兵士だが、見覚えがある。
 おれは、かけているオーラを解いた。

 男の兵士が女に代わった。
 奴隷兵部隊、第二小隊長、ネオラ・コメネナ。
 おれは彼女にオーラを纏わせて姿を変えさせて、セレーネのそばに潜り込ませていた。

「ご苦労、よくやった」
「あれでよかったんですか?」」
「遠くからでも見えていた、よく言いつけ通り、敵兵をセレーネの前に集めてくれた」
「はい……」

 ネオラはうつむき加減に、しかし嬉しそうにした。

 セレーネに自信をつけさせるためには、出来るだけ彼女に分厚い壁を突破させる必要がある。
 しかも、弱体化させてない壁だ。

 おれとかナナとか、それか他の出来る(、、、)女にやらせて、弱体化させた敵をセレーネの前に並べるのはたやすい事だ。兵士レベルならいくらでも手加減できる。
 けどそれじゃあまり意味がない、無傷の敵兵を出来るだけ並べるのが肝心なのだ。

 そこでネオラだ。
 彼女は不思議な技をもつ。
 相手の力と勢いを利用し、好きな方向に誘導する技だ。
 おれでさえ初見の時いい様にバランスを崩された。

 それを利用した。
 ネオラを変装させて、セレーネのそばに潜り込ませた。
 その技を使って、敵兵を誘導して、無傷のままセレーネの前に送った。
 送って送って送りまくった。
 セレーネの前に敵兵が絶えないように、送らせ続けた。

 セレーネは敵兵を斬りまくった。
 自分の実力で普通にやってるよりも遥かに分厚い敵の壁を突破した。

 おれは何も手を貸しちゃいない、その分うれしかった。
 嬉しさがそのまま高揚感につながった。

 おれは近くにいる兵士に命令を下す。
 奴隷兵でもおれの女でもない、ただの兵士にデルフィナとの連絡、ハニアの占拠をすすめるように命じた。
 そして、ネオラに振り向く。

「ネオラ、つかれたか」
「ううん、大丈夫です」
「そうか、ならもう一仕事だ」
「はい! なんでも!」

 ネオラは奴隷兵にありがちな、背筋を伸ばしてかかとを揃える軍隊式な返事をした。

「そっちじゃない、おれの相手だ」
「カケル様の……あっ……」

 ネオラはその意味に気づいて、ぽっ、と頬を染めた。

「いい子だ」

 そんなネオラの膝裏に腕を回して抱き上げて、魔法コテージの別の部屋に連れ込んだ。
 最高の働きをしてくれた彼女をベッドの上で可愛がった。

     ☆

 夜、ハニア郊外。
 地面に突き刺さっているエレノアを引き抜いた。

 ハニアから一キロも離れている、あの投擲はハニアの要塞を貫いたあと、更に一キロも飛んだのだ。

(おそいぞ、われを放っておいて何をしていた)
「ネオラを可愛がっていた」
(貴様が過保護なのかスパルタなのかよくわからん)
「さあな、ただ一つだけわかる事がある」
(なんだ)
「セレーネもいい女になるってことだ」
(我も予言しよう)
「うん?」
(貴様と貴様の女どもがいなくなった後のこの世は地獄だ。黄金の時代のあとというのは決まって反動がくるものだ)

 そういうものなのか。

「まあ、そんな事はどうでもいい。今は目の前のことだ」
(そうか、目の前の事(、、、、、)か)

 おれは正面を見た。
 闇夜の中、地平線の向こう。かすかに砂煙が巻き起こっているのが見える。

「やっぱり夜襲をかけてきたな」
(当然だな。こっちの数をしれば、戦力を立て直しての逆襲は至極当然)
「数は」
(3000あるかないか、ってところか。ああ、ついてに言っておくと迎撃も織り込み済みの夜襲だなあれは、そういう気分がする)
「そうか」

 エレノアを構える。
 面白い、それなりの準備を整えた3000の敵か。

 普通なら奪った後に即奪われ返す事もあるだろうが。
 残念だったな、ここはとおさん。

(うむ、今分かったぞ、貴様はやはり過保護だ)
「……」
(女二人の安寧のために単身で3000の兵に立ち向かうのだからな)

 楽しげに言い放つエレノアにデコピンした。
 その通りだが、こいつの言われるのはシャクだ。

「いやか?」
(いいや? われを全力で振るってくれるのなら文句はない)
「安い女だなお前」
(くくく、そのとおり。われは貴様にとって安いおんなよ)

 更に楽しげに笑うエレノア。
 こいつもいい女だな、言わないが。

 柄を握り締めて、深呼吸する。
 カッ、と目を見開き、真っ正面の敵を見据える。

「いくぞ」
(うむ)

 ハニアの戦い、二回戦。
 エレノアが大満足するような戦いは、誰知れず、夜のうちに終わって。

 セレーネも、ネオラも。
 女達は次の戦いのために、ゆっくり体を休ませることが出来たのだった。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
+注意+
特に記載なき場合、掲載されている小説はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている小説の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による小説の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この小説はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この小説はケータイ対応です。ケータイかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。
小説の読了時間は毎分500文字を読むと想定した場合の時間です。目安にして下さい。
↑ページトップへ