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くじ引き特賞:無双ハーレム権 作者:三木なずな

アイギナ王国編

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182.攻城槌エレノア

 カケルの動きをする様になったセレーネはますます突破力が上がったが、一方で彼女が先導してる兵がついて来れなかった。
 負傷するもの、たおれるもの。200人いた兵で満足に戦えるものは五割をきった。

「姫様、兵が疲れ切ってます。一時撤退するべきです」

 若い兵の一人、部隊長クラスの男がセレーネに進言した。
 セレーネは即答した。

「わかった! どうすればいいの?」
「え?」
「撤退の方法分からない。あたしはどうすればいい?」

 真っ正面の敵兵を切り伏せ、更に踏み込もうとするのをこらえるセレーネ。
 進言した兵は驚いた。かれは200人の中で昔のセレーネを知っている数少ない男だ。
 まさか進言して受け入れられるとは思ってなかったし、アドバイスを求められるなんてもっと予想していなかった。

「どうしたの? あたしはこのまま進めばいいの?」
「え? いえ! 撤退のドラを。向こうの方が損害が大きいので、こっちが引き上げれば向こうも引きます」
「じゃあお願い」
「はっ」

 兵がセレーネの命令を伝達した。
 撤退用のドラがカンカンカンとならされ、両軍はそれぞれ撤退した。

     ☆

 よる、ハニア郊外の野営陣地、兵達に守られた魔法コテージの中。

 おれはセレーネと向き合っていた。

「ど、どうだった?」
「初陣にしては――いや普通によくやった」
「本当!?」
「兵の練度は向こうが上だが損害も向こうが上だった、お前の中央突破がそうさせたんだ」
「そ、そうなんだ」

(引き際も鮮やかだった。軍気が揺れ始めてから撤退を決断するまでの早さは目を見張るものがある、優勢下でああまで即断で撤退を決断出来るのはわれの記憶のなかでもなかなかない)
「――だ、そうだ」

 エレノアの評価がかなり高かったから、そのままセレーネを伝えてやった。

「だって分からなかったから」
「うん?」
「兵がつかれてるから撤退した方がイイって言われたけど、つかれてるかどうか分からなかった。わからなかったから言うとおりにしただけ。ショウに言われた通り」
「そうか」

(極端から極端へ行く娘だな。面白い)

 エレノアが本気で楽しんでるのが伝わってきた。
 同感だ、面白いな、セレーネ。

「変われば変わるもんだ」
「え? な、なにが?」
「いやこっちの話」

 さて、これからどうするか。
 魔法コテージの中、リビングに置かれたサンドテーブル。

 魔力を注いで作ったハニアまわりのジオラマは同時に双方の戦力も出してる。
 今日の優勢である程度削ったが、このままじゃ落とすまで時間がかかる。

(カケル-)

 天井をすり抜けて、メイド幽霊のタニアとペギーが降りてきた。
 セレーネが撤退した後、彼女には斥候に行ってもらってた。

「どうだった」
(カケルの言うとおり、向こうはハニアに籠もるつもりっぽいよ)
「やっぱりか」
(どうする? 長期戦になると増援が来て挟み撃ちにされるぞ。狭い地形で挟み撃ちにされたら致命的だ)
「される前にカタをつければいい」
(貴様がかわりにやるのか?)
「それじゃ意味がない」

 ここはセレーネの自信をつけさせるための戦いだ、おれが出っ張りすぎたんじゃ意味がなくなる。
 それに、おれももっとみたいって思うようになってきたところだ。
 無意識におれの動きをするようになったセレーネの戦い方を。

(ならどうする)
「セレーネ」
「うん、なに?」
「明日も突撃してもらうぞ」
「うん! 今日と同じでいいの?」
「いや」

 おれは口の端をつり上げた。

「おれが一撃を加えた後だ、お前の突撃だ」

     ☆

 翌朝、進軍するセレーネと兵士達。
 一晩休ませて、応急処置をして、9わり程度の人数は再び戦えるようになった。
 が、敵が出てこない。

 「ハニアの戦い」の後、ハニアは要塞化された。
 かの王子と同じように、英雄が寡兵を率いてここを出発点にして逆襲出来る様に要塞化した。
 一種のプロパガンダだとヘレネーは言った。
 国がどうにかなっても、ここさえ健在なら神話・伝説を信じて国民は希望を持っていられる。
 それを維持するための要塞化が施されてある。

 昨日はあっさり打って出た兵は、今日は要塞に籠もった。

(くく、見るからに堅城といった感じだな)
「そうだな」
(で、どうするのだ)
「お前を投げる」
(――ふぇ?)

 意外だったのか、エレノアは素っ頓狂な声をあげた。

「何日か前に言ったよな、ポンポンポンポン投げるなと。そして投げるのならせめて全力で投げろと」
(あ、ああ)
「全力で投げる」

 合図をおくった。
 セレーネと兵士達をどかした。

 おれと、ハニアの要塞のあいだに障害物がなくなった。
 エレノアを逆手に持つ、投擲の姿勢を取る。

 息を吸って……カッと目を見開く。

「はあああああ!」

 オーラをだして、エレノアに纏わせた。
 魔剣が姿を変える、人ほどの大剣が更に大きく――元の十倍近い巨大さに姿を変えた。

(お、おい、貴様まさか――)

 気合一閃。
 トラックくらいにふくれあがったエレノアを投げるつけた。

 うなりをあげて飛んで行く巨大エレノア。
 それが――要塞を貫いた。

 耳をつんざく爆音、兵士達が七転八倒するほどの地響き。

 それらが全てやんだあと、要塞にぽっかり穴があいていた。
 まるでミサイルを撃ち込まれたかのような、巨大なあな。

「な、なんという……」
「バケモノだ……」
「す、すごい!」

 兵士達が驚嘆した、ポカーンとおれと、作った穴を見比べた。
 そんな中、一人だけ驚かずに即座に動くものがいた。

 セレーネ・ミ・アイギナ。

 彼女だけ止まらず、打ち合わせしたとおり、おれが一撃を加えた後突撃をはじめた。
 面白い子だ。
■ドラマCD試聴サンプル公開
活動報告、もしくはyoutubeに「くじ引き特賞」で検索してみてください。

【タイトル】くじ引き特賞:温泉ハーレム権
【キャスト】
カケル :石川界人さん
ひかり :山下七海さん
ヘレネー:佳村はるかさん
ナナ  :諏訪彩花さん
イオ  :三森すずこさん
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